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ANAのシアトル線“驚異の搭乗率”の秘訣って? 支店長に聞く「強みと戦略」とは

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外国人旅客7割! ビジネス&観光だけじゃない「第3の需要」

 2012年に開設されたANA(全日本空輸)の「羽田〜シアトル」線が、近年非常に好調な推移を見せています。夏場には搭乗率が8〜9割に達することもあるといいます。同路線はボーイング787の共同開発や初号機就航など、ANAにとってゆかりの深い路線ですが、現在の好調の秘訣はどこにあるのでしょうか。

Large figure1 gallery6インタビューに対応する、ANA シアトル支店長 草野博氏(中山 智撮影)

 成田空港やLCCの立ち上げなど「空港畑」を歩んできたANAの草野 博シアトル支店長に話を聞きました。

 羽田〜シアトル線はボーイング787で運航され、日本からシアトルまでの所要時間は約8時間。アメリカ本土のなかで日本やアジアに最も近いという絶好の立地にあります。

 草野支店長によると、直近の夏シーズンでは搭乗率が8〜9割という高い水準を維持。利用客の国籍は「現在では外国籍のお客様が6〜7割程度を占めています」と話します。

 日本発の便は、シアトルに拠点を置くIT企業や製造業、ボーイングのサプライヤー企業など、ビジネス目的の出張者が中心です。一方、アメリカ発の便では日本への観光需要が活発で、円安を背景に家族連れや若年層が東京だけでなく、北海道など地方都市へも足を延ばす傾向が強まっているといいます。さらに、全体の2〜3割を支えているのが、パートナーシップを組むユナイテッド航空との連携を活かした、北米と東南アジアを結ぶ乗り継ぎ(第3国流動)需要です。

 シアトルといえば、AmazonやMicrosoftといったグローバルIT企業、そして航空機大手のボーイングのお膝元として知られています。

 コロナ禍ではリモートワークが急速に浸透したエリアですが、草野支店長は近年の変化を次のように語ります。「Amazonをはじめ大型IT企業が出社回帰を進めたことで、対面(対面会議やアニュアルカンファレンス等)の価値が改めて見直されています。コロナ禍前の水準へ完全に戻ったわけではありませんが、出張需要は着実に回復の動きを見せています」。

実は便利! 空港アクセスと“乗り継ぎやすい”ダイヤ

 また、この路線の隠れた強みが「貨物(カーゴ)」です。

Large figure2 gallery72012年10月1日、シアトル・タコマ国際空港でANAのボーイング787初号機を歓迎するウォーター・サルート(放水アーチ)の記念額(中山 智撮影)

 特に夏のハイシーズンには、ワシントンチェリーや、地元名産で日本のさくらんぼにも似たレーニアチェリーといった高級アメリカンチェリーの輸送需要が急増します。「この時期は日本だけでなく、アジアやオセアニア向けまで貨物スペースがチェリーで満載になります」と草野支店長は明かします。過去には港湾ストライキの際に、任天堂の「Nintendo Switch」を貨物専用機で緊急輸送した実績もあるなど、地域産業と深く結びついています。

 旅客の利便性という点でも、シアトル路線には大きなアドバンテージがあります。シアトル・タコマ国際空港から市内中心部までは電車(Link Light Rail)でわずか34〜40分程度で移動でき、交通アクセスに優れています。

 さらに、シアトル発(羽田行き)の便は夕方の時間帯に設定されています。これは、コードシェアなどで連携するユナイテッド航空をはじめ、全米各地からの乗り継ぎ便を受け入れやすい時間帯です。アメリカ国内の幅広い都市からの乗り継ぎ客をスムーズに集約し、日本やアジアへ送ることができるダイヤ構成となっているのです。

 そして何より、シアトルはボーイング創業の地であり、ANAが誇る最新鋭機「ボーイング787」の生みの親でもあります。「2012年の路線開設時、ボーイング社とは単なるビジネスパートナーを超えた強い繋がりがあり、PGAツアーの『ボーイング・クラシック』への参画など、地域に根差した活動をともに展開しています」と草野支店長は語ります。

 現地のシアトル支店では、空港オペレーションのステーションを含め約20名のスタッフが勤務しています。日本国外の空港でありながら、チェックインカウンターのオープン時のお辞儀や搭乗時の丁寧な挨拶など、ANAならではのホスピタリティをスタッフが自主的に実践しているそうです。また、日本語対応可能なスタッフや、現地の留学生(OPTビザ活用)を積極的に起用し、日本人旅行者が安心して利用できる体制を整えています。

 最後に草野支店長は、日本の旅行者へ向けてシアトルならではの楽しみ方を提案してくれました。

「シアトルはスペースニードルや海を望む美しい街並みはもちろん、車で30分も走れば日本とはスケールの違う湖や豊かな森、トレイルロードが広がっています。有名観光地を急ぎ足で巡るのも良いですが、おいしいコーヒーを片手に郊外の自然やゆったりとした時間を楽しむ『生活するように過ごす』旅がとても似合う街です。治安も良く綺麗な街ですので、ぜひ若い方にも片道約8時間という近さを活かして、アメリカ西北部(パシフィック・ノースウエスト)ならではの空気感を体験しに来ていただきたいですね」。

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