自賠責保険の継続さえできない!
街の自動車整備工場やバイクショップで保険代理店の“廃業”が進んでいます。保険業法の改正に、こうした自動車保険の兼業代理店の「業務品質向上」が盛り込まれたことに前後して、中小代理店の淘汰が進んでいる状況に対し、国土交通省は自賠責保険の観点から、各事業者を対象としたアンケートのほか、業界団体へのヒアリングも始めました。
自動車保険の兼業代理店について言及する金子国交相(2026年7月28日、中島みなみ撮影)
金子恭之国土交通相は2026年7月28日の閣議後会見で、兼業代理店問題について言及しました。
「アンケート結果が取りまとまり次第、それを踏まえて金融庁や損保協会等と連携をし、対策を検討してまいります」
今回の問題は、保険会社が兼業代理店の契約打ち切りを前提とした働きかけを強めていることが要因とみられています。
「ご指摘の保険代理店の件につきましては、一部の二輪車販売店や整備工場から自賠責保険の取り扱いが継続できるか不安に感じるという声が上がっていることにつき承知をしております」(金子国交相)
アンケート調査は同年6月30日~7月31日を期間に、全国のバイクショップや整備工場に対してオンライン形式で実施されています。保険会社の働きかけを中心に、廃業を伴う兼業代理店の整理の実態を問うものです。
金融庁はビッグモーター事件や保険会社の保険代理店への出向社員らによる相次ぐ情報漏洩などを防止するため、保険業法を改正。保険会社の自助努力で代理店と「対話」し、代理店の業務品質の向上を目指したのですが、代理店と保険会社の接点となる現場では、代理店の廃業を前提とした整理統合が広がっているという自動車業界からの指摘が相次いでいました。
一方、保険各社は「双方の了解なしに一方的な契約解除はあり得ない」と否定し、双方の見方は対立しています。
また、これとは別に、国土交通省保障制度参事官室は、業界団体へのヒアリングを対面で行っています。
自賠責ナシでは運転できません――対策検討
国土交通省は自動車ユーザーの“皆保険”である自賠責保険のアクセス性が狭められることによる「無保険車」対策の視点から、保険会社と代理店の動向に注目しています。金子国交相は改めて強調しました。
「自動車は二輪車を含め、自賠責保険が締結されているものでなければ運行に供してはならないとされており、被害者救済の観点からも無保険車対策を講じることは重要でございます」
国交省では、保険代理店の動向とは別に、販売時に自賠責保険加入の働きかけを業界団体に対して行います。日本自動車整備振興会連合会、日本二輪車普及安全協会、中古自動車販売協会連合会などが対象で、地方組織には兼業代理店も抱えています。
この点について、金子国交相は次のように述べました。
「昨年1月には、インターネットにより自賠責保険申し込みが可能となる『One自賠』のサービスが二輪車でも一部始まりました。ユーザーが自賠責保険に加入しやすい環境の整備に向けては、自賠責保険を取り扱う既存の兼業代理店が継続して事業を行うことができるかといった視点も踏まえながら、様々な関係者のご意見を伺うなどして有効な方策を検討してまいります」
