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「街が、なくなってる…!」山手線の隣駅で進む“まるごと再開発”の懸念 もうひと駅隣には”駅前高層廃墟”

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池袋の隣なのに…地味な「板橋駅」の現状

 JR埼京線の「板橋駅」で、西口の再開発事業が本格化しています。

Large figure1 gallery13池袋駅方面から板橋駅方面を望む。2019年に電留線が設けられ、この頃から再開発が本格化してきた(画像:写真AC)

 事業は地権者や民間事業者により進められている「板橋駅板橋口地区市街地再開発事業(以下、板橋口再開発)」「板橋駅西口地区市街地再開発事業(以下、西口再開発)」、板橋区が進める「駅前広場再整備事業(以下、駅前広場再整備)」の三つが進行中で、現在は板橋口再開発がビル工事に着手、西口再開発が既存ビルを解体している段階で、駅前広場再整備は設計段階です。

 JR板橋駅は、日本を代表する巨大ターミナル「池袋駅」の隣の駅ながら、その存在は地味で、23区民であっても「JRに板橋駅なんてあった?」という印象を持つ人が少なくありません。板橋区の東端で、北区および豊島区との境目に位置していることや、区内には東武東上線や都営三田線で「板橋」を冠する駅が多いことも影響しているかもしれません。

 実際にJR東日本が発表する「1日平均の乗車人数(2024年度)」は3万2632人で127位、その上下の「蘇我駅」「久喜駅」「東大宮駅」など、郊外のベッドタウンの駅と肩を並べるレベルなのです。

 ただ板橋駅のすぐ北には旧中山道が東西に走り、西に進むと江戸・日本橋からひとつめの宿場町となる「板橋宿」に至ります。こうした歴史から、駅周辺には小さな民家や雑居ビルが建ち並ぶ街並みが広がります。

 そして都営三田線の「新板橋駅」との間での乗り換え客の行き来があることから、常連客で賑わう昔ながらの居酒屋や小料理屋が数多く立地していました。

 しかし今回の一連の再開発では、JR板橋駅の旧駅舎と隣接する遊休地、そして雑居ビルを中心とした古い街並みの一部がそれぞれ一体として生まれ変わることになります。

 まず板橋口再開発では、低層階にJR東日本の商業施設、中層階に区の公共施設、上層階に分譲住宅が入る34階建ての高層複合ビルがあらたに建てられます。

 商業施設は「アトレ」になるものと思われ、これまで個人店舗のほかは中小規模スーパーしかなかったこの地域の買い物の利便性が大きく向上しそうです。

 また上層部の分譲住宅は定期借地権付きのマンションが予定されています。“池袋まで1駅3分、新宿まで2駅9分”の駅直結マンションだけに、分譲時には大きな人気を集めることになるでしょう。

 一方、西口地区再開発は、約40棟あった雑居ビルや住宅をいったん更地とし、再開発用地内にあった街路の一部も廃止した上で、低層階が店舗や事務所、6階以上が住宅となる37階建ての高層ビルと、店舗や事務所が入居する6階建ての低層ビルに生まれ変わることになっています。

「駅前廃墟」の懸念、ここでも?

 さて、このふたつの再開発事業のうち街の表情に大きく影響しているのは、後者の西口再開発です。

Large figure2 gallery14十条駅西口駅前の複合高層ビルの低層階に入居する商業施設「J& MALL(ジェイトモール)」には、ご覧のように空きテナントが目立つ(植村祐介撮影)

 西口再開発の対象となった街区には、ところどころ空き店舗もありましたが、それでもカウンターに人が座ると後ろを通ることもできないほど狭い居酒屋がいくつもあり、互いに顔は知っていても本名や仕事を知らない常連たちが酒を酌み交わす日常が日々繰り返されていました。またいくつかの飲食店はランチ営業で、近隣で働く人のニーズに応えていました。

 ただ、こうしたお店のなかには常連客の高齢化、さらにコロナ禍での客足減などを被っているお店もあったようで、いくつかの店舗は再開発事業がはじまる前に店じまいしています。そして事業が本格化した現在、工事が止まる夜間は駅前一帯が闇に包まれている状況です。

 では、再開発の完了で、JR板橋駅前はかつて以上の賑わいを取り戻すのでしょうか。ここで気になるのが、埼京線の隣駅で、ひと足先に再開発が行われた「十条駅」西口の現状です。

 かつて十条駅の西口は、狭い街路で都道と接続する駅前広場を取り囲むように定食屋、安い居酒屋などが建ち並び、近隣住民の日常生活を支えていました。

 この地区の再開発を進める北区は2020年に既存建築物の解体、除却に着手、2024年に低層階に商業施設「J& MALL(ジェイトモール)」、中層階に公共施設が入居、そして高層階が分譲マンションという高層複合ビルが竣工します。

 しかし、そのJ& MALLは駅を出た人の流入を拒むような設計による回遊性の悪さ、さらに駅から右手に進めばパチンコ店、物販店、飲食店が数多く軒を連ねる「十条銀座商店街」が控えていることもあり、歯抜け状態のテナントには医療施設が目立つのみで、“駅前廃墟”とも揶揄され、「再開発は失敗だったのではないか」と見る向きもあります。

 さらにもうひとつ気になる例は、同じ板橋区内で生活圏も重なる東武東上線「大山駅」の再開発です。こちらは長く続く商店街を都市計画道路で分断し、飲食店や居酒屋がひしめいていたエリアに高層マンションを建てたことで、地域の特色が失われたと非難する声が後を絶ちません。

 JR板橋駅前の再開発の成果が明らかになるまで、あと数年はかかります。しかし、もしこの再開発が十条駅や大山駅の轍を踏むことになるなら、「低層の街並みを一掃して高層複合ビルを建てる」という再開発の手法そのものが本当に正しいのかどうか、問われることにもなりそうです。

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