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「進水式=完成じゃないです」→じゃあどれくらいの状態? 艦船の就役までのプロセスとは

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進水式ってそもそもなに?

 世界有数の大きさを誇る大型客船や、自衛隊艦艇の進水式は全国ニュースでも取り上げられ、話題になります。しかし、この進水式を終えてから実際に就役するまでには、かなりの時間を要します。

Large figure1 gallery2 護衛艦「もがみ」の進水式。「支綱切断」によりロープが切られた瞬間、くす玉が割られテープと紙吹雪が舞い、『軍艦マーチ』の演奏によって、「もがみ」は洋上へと繰り出します(画像:海上自衛隊)

「え? 進水式って船が完成した時に行うものではないの?」と思う方もいるかもしれませんが、実はそうではありません。ここでは海上自衛隊の護衛艦を例に、艦艇が完成するまでの流れを追ってみましょう。

 まず、艦船をつくり始める最初の工程を「起工」といいます。これは土木や建築の現場と同じく、土地の神を奉り、工事の安全と成功を祈願する「起工式」が行われます。

 護衛艦を建造する際にもこの起工式が行われます。護衛艦の起工式では、建造に先立ち、地元の神社の宮司を招いて祝詞を読み上げて祈願を行います。その後、自衛隊員が組み立て溶接のスイッチを押すなど、建造の第一歩となる作業を行い、具体的な工程へと進んでいくのです。

 次に行われるのが「進水」です。進水時には「進水式」と同時に「命名式」が行われるのが通例で、一般的にはこの日が人間でいうところの誕生日にあたるとされています。

進水式の段階では船体しか完成していない!

 進水式の時点で、艦船は造船所でブロックごとの接合が完了し、船体(船殻)が完成した状態になっています。船体さえ完成していれば、重大なトラブルがない限りそのまま水に浮かべることができるため、進水式は船体を初めて水に触れさせる儀式なのです。

Large figure2 gallery3 進水式を終えてもまだまだ、任務に就くことはできない(画像:海上自衛隊)

 護衛艦の建造においては、防衛省が主体となって命名式を行います。音楽隊による国歌『君が代』の演奏に続き、防衛大臣が護衛艦の名前を発表したのち、そのまま進水式へ移ります。

 進水式における艦船のハイライトは2種類の方法が主流です。ひとつめは地上から滑らせて進水させる方法、もうひとつは、あらかじめ海に浮かべた状態で儀式のみ行う方法です。

 護衛艦の進水式では「支綱切断」という儀式が行われます。これは船体をつないでいるロープを小型の斧で切り離す儀式で、商船では女性がつとめる場合もありますが、海上自衛隊では防衛大臣またはその代理人が行います。

 支綱切断が行われると、艦艇に取り付けられたくす玉が割れ、風船が飛び、金銀のテープが舞い、音楽隊の『軍艦マーチ』が演奏されるなど、海上は一気に華やかな雰囲気に包まれてフィナーレを迎えます。

 こうして船体はようやく海に浮かび艦船として認められますが、実はこの状態では、まだ任務に就くことはできません。

 というのも、完成しているのは船体と航行に必要な機関のみで、艦橋や各種装備、レーダーなどはまだ搭載されていないからです。船体としての完成度は80~90%、艦船としては50%程度といわれています。

進水式の後は艤装を行う

 進水式のあとに艦船を待つ工程は、完成させるために欠かせない装備を取り付ける「艤装(ぎそう)」です。ここで見た目も整い、海上自衛隊が運用する護衛艦にふさわしい防衛装備、通信装置、操舵機能などが付与されます。艤装は造船工程の最終段階に近い重要な作業で、この時点でも正式には「護衛艦」と呼ばれません。艤装中の責任者が民間の造船会社であるためです。

Large figure3 gallery1 民間企業から海上自衛隊へ艦艇が引き渡されるのが引渡式です(画像:海上自衛隊)

 艤装を終えると「公試」に移ります。これは操舵装置、係船装置、航海計器、通信装置などが正常に作動するかどうかを確認するための試験です。艦内空間の設定や生活空間の整備もこの段階で行われます。

 この頃、自衛隊から艤装員長が任命され、現場の指揮を執るようになります。艤装員長は後にその艦艇の初代艦長となるのが通例です。

 就役が近づくと乗組員が選抜され、任務を行う艦艇としての体制が整います。そして造船所から艦艇の引き渡しが行われます。

 こうして完成した艦艇は「竣工式」に臨みます。自衛隊では「引渡式・自衛艦旗授与式」と呼ばれ、民間造船所で建造された船が自衛隊に引き渡され、自衛艦旗を掲げた瞬間から護衛艦として竣工し、国際法上の「軍艦」として扱われます。

 艤装員長として任務にあたっていた隊員は、多くの場合そのまま初代艦長に任命されます。自衛艦旗を受領すると、その旗を先頭に乗員が護衛艦に乗り込み、最後に艦長が乗艦して自衛艦旗を掲揚し、この時点で護衛艦は完成となるのです。

 竣工式を終えた護衛艦は出航し、母港となる港へ向かいます。そして各地での任務にあたることになります。最近の護衛艦「もがみ」型の場合、起工から進水までが約1年〜1年半、進水から竣工までがさらに1年〜1年半かかります。

 つまり、発注から実際の就役までを考えると5年以上かかることもあります。比較的小型の「もがみ」型でこの期間ですから、大型の護衛艦ではより多くの時間と労力が必要となるでしょう。護衛艦の完成には途方もない時間がかかるのです。

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