中高年シングルに必要な支援とは?(画像はイメージです)
未婚者の増加により、単身の老後対策としてさまざまな選択肢が増えてきました。しかし、行政による、現在の中高年シングルへの目配りは十分とはいえないように思います。そこで、未婚・離婚・死別など理由を問わず、50代以上を中心としたシングル女性たちが交流し支え合う市民団体「わくわくシニアシングルズ」の代表を務める大矢さよ子さんに、中高年シングルの現状や彼女たちに今必要な支援について、独身の筆者が話を聞きました。
中高年シングルの貧困問題を“自己責任”で片付けてはいけない
現代社会において、未婚者は増えているものの、独身に対する風当たりは依然として強いと実感しています。例えば、独身向けの政策が可決された際には、“自分が結婚しなかっただけ。それなのに、なぜ国が支援しなきゃいけないの?”といった批判のコメントを多く目にします。筆者自身も将来の不安を抱えながら暮らす独身の一人であり、無慈悲なコメントに傷つくこともあります。
大矢さんにこうした思いを伝えたところ、「中高年シングルの貧困は社会制度が生んだ問題です」ときっぱりとした口調で答えてくれました。その理由について、「高齢者の貧困問題は65歳になったときに突然発生するわけではありません。出産・子育てを理由に仕事を辞めると、非正規雇用の職にしか就けなくなる時代が長く続いていました。また、40代以上の中には氷河期世代も含まれます。特に、女性は入職当初から非正規雇用のままという人が多いです」と実情を話します。
続けて、大矢さんは「最近は、男女で給与が異なる会社は少ないですが、『女性の賃金は安くてもかまわない』という考え方も家父長制度のもとでありました」と問題を指摘します。
また、現在40歳以上の独身と現在20代・30代の独身者の20年後・30年後では違いがあることを教えてくれました。大矢さんは「今は『女性も働く』という考えが根付いてきました。一方、40代以上の人が社会に出たときには、男女で給与は入社時から違うこともありましたし、今とは状況が異なります」といいます。
女性支援にも“偏り”が…
大矢さんは女性支援の偏りについても問題視しています。「『女性支援』といっても子育て中の女性やシングルマザーに特化したものばかりです」と指摘。続けて、「子どもがいる女性であっても、子どもが成人すれば支援の対象から外れます」と、現在の支援制度のひずみを話してくれました。
筆者自身、子育て中の女性の苦労を察しつつも、それでも男女ともに単身者が支援から漏れることに問題意識を抱いています。その理由は、1カ月あたり20万円以下の生活費でやりくりしている独身も少なくないためです。
それでも、独身のための政策の話になれば、「自分の生活費だけ稼げばよい人たちに何を支援するんだ!」という批判が必ずといっていいほど出てきます。
そうした中で、大矢さん自身はシングルマザーであったものの、既婚歴のない女性たちの思いにも共感し、彼女たちにも温かな眼差しを向けています。
中高年シングルに必要な支援とは?
筆者が大矢さんに中高年シングルに必要な支援を聞いたところ、「大きくいえば、『最低賃金』のアップですが、身近なことでいえば『居場所』ができればいいと思います」と答えてくれました。
大矢さんは「自分が相談の対象であると思っていない人も多いです。困ったときに相談に行ける場所があるとよいですね」と胸の内を明かしてくれました。
なお、わくわくシニアシングルズは「中高年シングル女性の交流会」を開催し、居場所の提供も行っています。年に数回開催されるこの交流会はシングルマザー、既婚歴がない女性、離婚した女性が主な対象です。参加者は異なる属性であるものの、“配偶者がいない” “何か困り事がある”という点では共通しており、お互いに分かり合えることも多いということです。
解決すべき課題は…
大矢さんに、現在一番解決したい課題を聞いてみたところ、「『住まい』と『雇用』です」と話します。
大矢さんは住まいに関する問題について「都内だとワンルームの家賃は6~7万円程度です。手取りが16~17万円の女性は少なくありません。彼女たちにとって、家賃を支払うのは大変なことです。女性の場合、セキュリティーも考慮する必要があります」と実情を教えてくれました。
また、雇用については「年齢を重ねると、最低賃金の仕事ばかりです。年金だけでは生活できないので、働けるうちは働かれている方が多いですよ」と、その現状を重々しく語ります。
近年、多くの国民が老後資金について強い関心を抱いています。大矢さんは「300~500万円を貯めるのは大変ですが、何か起きればあっという間に使い切ってしまいます」と言います。筆者もこれだけの金額を貯める大変さを実感しつつも、老後資金問題の深刻さを改めて痛感しました。
筆者は既婚歴のない自分とシングルマザーや離婚した女性は異なる属性だと決めつけていました。しかし、大矢さんと話をする中で、“配偶者がいない”という共通点でつながり、声を挙げ、政策につなげていくことの大切さを実感しました。
西田梨紗
