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45歳ひきこもり長女が「抑うつ」症状出ても受診拒否、親子共倒れの危機…絶望する母に社労士が教えた“意外な突破口”

オトナンサー

美容・健康

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精神疾患の疑いがあるひきこもりの人が受診を拒否する場合、家族はどのように対処すればいい?(画像はイメージ)
精神疾患の疑いがあるひきこもりの人が受診を拒否する場合、家族はどのように対処すればいい?(画像はイメージ)

精神疾患の疑いがあるひきこもりの人が受診を拒否する場合、家族はどのように対処すればいい?(画像はイメージ)精神疾患の疑いがあるひきこもりの人が受診を拒否する場合、家族はどのように対処すればいい?(画像はイメージ)

 筆者のファイナンシャルプランナー・浜田裕也さんは、社会保険労務士の資格を持ち、病気などで就労が困難なひきこもりの人を対象に、障害年金の請求を支援する活動も行っています。

 浜田さんによると、子どもが長期間ひきこもっていると、親子の会話すらままならなくなってしまうケースもあるということです。いずれは子どもにきちんと将来の話をしなければならない時が来ますが、何年も会話すら交わさなかった子どもに話を切り出すのは容易なことではないといいます。親としては、話を切り出すきっかけが欲しいと思うことがありますが、その際、どうすればよいのでしょうか。浜田さんが40代のひきこもりの娘を持つ母親をモデルに解説します。

いじめが原因で高校を中退した長女

 私はひきこもりの子どもを持つご家族を対象に、講演会で障害年金の話をすることがあります。ひきこもりの人の中には精神疾患を発症している人もいて、障害年金は大事な収入源になるからです。

 ただし、障害年金の請求時はそろえるべき書類が多く、しかも単に書類をそろえただけでは必ずしも受給が認められるというわけでもありません。そのため、年金の専門家である社会保険労務士に請求を手伝ってもらう家族もいます。

 ある日、講演会を終えた私が後片付けをしていると、思いつめた表情をした1人の女性が近づいてきました。私が話を伺うと、30年近く自宅にひきこもっている45歳の長女がいるといいます。私はその母親の相談に応じることにしました。

 母親によると、明子さん(仮名)は高校生の頃からひきこもるようになってしまったといいます。45歳になった現在も無職、無収入であり、どうやら母親は明子さんに発達障害があるのではないかと疑っているようです。そこで、私はさらに詳しく話を聞きました。

 明子さんが小学生の頃、学校の机の中は教科書やノート、プリント類でごちゃごちゃになっていたそうです。担任の先生からいくら注意をされても改善することはできませんでした。また、ランドセルの中にもたくさんのプリントを押し込んだままにしてしまい、大事なプリントを母親に見せ忘れてしまうこともよくありました。そのたびに明子さんは母親から叱責を受けてきました。

 宿題があること自体も忘れてしまうようで、母親から「宿題はもう終わったの?」と問い詰められると、明子さんははっとした表情になり、慌てて宿題に手をつけていたそうです。

 中学に進学すると勉強の科目が増え、難易度も上がるため、明子さんはどんどん授業についていけなくなってしまいました。先生の話を一生懸命聞いていてもほとんど理解できず、定期テストは20点から30点ほどしか取れなかったそうです。その結果、勉強が苦手で素行が悪い生徒が多く集まるような高校に進学することになりました。

 その当時、明子さんは注意や叱責を受け続けてきたため、すっかり自信をなくしてしまい、自己主張することができなくなっていました。そのせいもあるのか、高校1年生の夏休み明けからいじめを受けるようになってしまったのです。

 嫌とは言えなかったので、いじめは次第にエスカレート。明子さんはとうとう我慢の限界を迎え、高校1年生の冬から不登校になってしまいました。結局、高校に通えず、翌年の春に退学しました。

「せめて高校くらいは卒業してほしい」

 そう思った母親は通信制高校を勧めたこともありましたが、明子さんは「そんなのいらない! もう放っておいて」と大声で叫んだそうです。その後、社会との接点を持つことなく、明子さんはひきこもりのような生活を送るようになりました。

 さらに月日は流れ、明子さんは30歳になっていました。長年のひきこもり生活が原因なのか抑うつ症状も見られるようになり、心配した母親は明子さんに精神科を受診するよう提案しました。すると明子さんは激しく拒否。

「こうなったのはお前ら親のせいだ! 何で私が病院を受診しなくちゃいけないんだ。いい加減にしろ」

 明子さんは大声で泣き叫びました。この一件から親子の溝はさらに深まり、会話もままならなくなってしまったそうです。

 それからというもの、母親は明子さんに受診するよう話を切り出すことができなくなってしまいました。

受診の話を切り出すには?

 母親の話を聞く限り、明子さんは今まで精神科も心療内科も受診していないことが分かりました。

 障害年金を請求するためには、医師の診断書が必要になります。つまり、明子さんはこれから初めて病院を受診することになるということです。

 なお障害年金は原則、その障害で初めて病院を受診した日である「初診日」から1年6カ月を経過した日以降に請求することができます。つまり、病院を受診してすぐに障害年金が請求できるわけではないのです。請求できるその時が来るまで、できるだけ受診は継続しておかなければなりません。

 そこで、まずは明子さんに事情を説明し、明子さん本人が自分の障害を受け入れ、受診に同意してもらう必要があります。言葉でいうのは簡単ですが、それは容易なことではありません。

 母親も同じ気持ちのようで、私の説明を聞いて険しい表情になりました。

「私たち両親も高齢になり、長女には頼れる兄弟姉妹がいません。そこで親の体が動く間にできることはしておきたいと思っているのですが、なかなか長女に話をするタイミングがつかめません。せめて何かきっかけがあればよいのですが…」

 確かに話を切り出すには何かしらのきっかけを必要とすることもあるでしょう。長年、あまり話をしてこなかった親子であればなおさらです。この状況が続くと、親子共倒れになる危険性が高まります。

 そこで私は次のように話しました。

「ご家族に大きな出来事があった時は、話を切り出すきっかけになりやすいです。きっかけになりそうなものとしては、『親が退職した』『親が退職を間近に控えている』『親が入院した』『親が高齢者施設に入居した』『一方の親が亡くなった』などがあります」

 母親は残念そうに言いました。

「今のところ、それらの出来事に当てはまるようなものはありません。やはりそこまで待たなくてはいけないのでしょうか…」

「これらはあくまでも一例なので、この際、きっかけは何でもよいと思います。せっかく講演会に参加されたのですから、お母さまからお嬢さまに『今日、講演会でこんな話を聞いてきたんだけど』と言って、講演会の資料をお嬢さまと一緒に読み合わせてもよいかもしれません。これだけでも十分話をするきっかけにはなると思います。本日の資料は講演会に参加しなかった人でも読めば内容が分かるように作成してありますので、ぜひご活用ください」

「そうですね…。話を切り出す理由は何でもよいかもしれませんね。あとは私の勇気だけですね。さっそく自宅に帰って長女に資料の話をしてみます。本日はお話を聞いていただき、どうもありがとうございました」

 明子さんが母親の説得に応じ、受診をすることができるよう、私は祈ることしかできず、会場を後にする母親の背中をずっと見送っていました。

 ひきこもりの人に発達障害や精神疾患の疑いがある場合、放置すれば日常生活に支障を来したり、症状が悪化したりする可能性が考えられます。本人の将来のためにも、可能であれば、異変に気付いた段階で家族が速やかに医療機関を受診させる必要があります。

社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也

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