2024(令和6)年分(2024年1月1日~12月31日)の「確定申告」がスタートしました。会社員で年末調整を行った人の中には、インターネットオークションやフリマアプリで得たお金や、いわゆる“スキマバイト”といった雇用型のスポットワークで得た収入がある人もいるのではないでしょうか。そこで、国税庁課税部個人課税課の分山知衣巳さんに、確定申告の必要があるのか聞いてみました。
20万円を超える所得があった場合は「確定申告」する必要がある
Q.まず「確定申告」について教えてください。
分山さん「所得税などの『確定申告』は、2024年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税等の金額を計算し、確定申告書を提出して、源泉徴収された税金などとの過不足を精算する手続です。
会社員の大多数の方は、年末調整で所得税などが精算されているため、確定申告は必要ありませんが、会社員の方でも(1)給与収入が2,000万円を超える場合、(2)副業や暗号資産取引に係る所得などが20万円を超える場合などは、確定申告が必要です。
確定申告に関するより詳しい情報は、国税庁の公式サイト「確定申告特集」に掲載しておりますので、ぜひご覧いただければと思います」
Q.YouTubeやインスタグラムなどのSNSで趣味の動画を投稿しているだけでも確定申告は必要となるのでしょうか。
分山さん「年末調整が済んでいる会社員の方であっても、動画配信などを利用した副収入などによって20万円を超える所得(収入から必要経費を引いたもの)を得ている場合には、一般的には『雑所得』として確定申告が必要となります」
Q.“スキマバイト ”(雇用型のスポットワーク)などで働いて得たお金は確定申告が必要なのでしょうか。いくら以上だと申告しないといけないのでしょうか。
分山さん「例えば、会社員の方で、年末調整を受けた本業の給与所得以外に、副業として20万円を超える給与をもらっている場合は、一般的には『給与所得』として本業の給与所得と合算して確定申告が必要となります」
Q.インターネットオークションやフリマアプリで洋服やインテリアなど不用品を売却していた場合、20万円を超えた場合、確定申告をしないといけないのでしょうか?
分山さん「年末調整が済んでいる会社員の方であっても、インターネットのオークションやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による副収入などによって、20万円を超える所得(収入から必要経費を引いたもの)を得ている場合には、一般的には『雑所得』として確定申告が必要です。ただし、衣服や家具などの生活に通常必要な動産(貴金属や宝石及びこれらの製品などの一定のもので1個又は1組の価格が30万円を超えるものを除きます)の譲渡については、所得税の課税の対象となりません」
Q.競馬や競艇などの公営競技で年間20万円以上勝った場合はどうなるのでしょうか。
分山さん「競馬、競輪、オートレース、ボートレースなどの公営競技の払戻金を受け取られた方については、『一時所得』として確定申告が必要となる場合があります。国税庁ホームページに掲載している「払戻金の支払を受けた方へ」をご覧いただき、公営競技の払戻金にかかる所得(年間受取額から年間投票額を差し引いたもの)について、申告が必要かどうか、一度、確認をお願いします。
また、パチンコなどによって得た利益があった場合についても、一般的には『一時所得』として確定申告が必要となる場合があります。
一時所得については、収入金額から収入を得るために支出した金額、さらに特別控除額である50万円を差し引いた後の金額を2分の1にした金額が課税の対象となり、年末調整が済んでいる会社員の方であっても、この金額が20万円を超える場合、一般的には確定申告が必要です」
Q.宝くじで100万円に当選した場合はどうでしょうか?
分山さん「宝くじの当せん金は、非課税所得となりますので、所得税はかかりません。そのため、確定申告は必要ありません」
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2024年分の確定申告は3月17日までです。「e-Tax」なら、休日も含め24時間、自宅からなど、いつでもどこからでもオンラインで申告ができます。また、還付申告の場合、書面で申告した場合に比べ、早期還付(3週間程度)のメリットがあります。確定申告の必要がある人は利用してみてくださいね。
オトナンサー編集部