バイクにあまり詳しくないという人でも「ハーレーダビッドソン」の名前は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ハーレーはその認知度の高さから、映画やアニメ・漫画にも登場することが多い車種でもあります。
誕生から100年を超えてもハーレーは進化する
「ハーレー」の名前で愛される「ハーレーダビッドソン」。その誕生は、1903(明治36)年、米ウィスコンシン州ミルウォーキーでした。ウィリアム・ハーレーとダビッドソン兄弟によって作られた第1号車「シリアルナンバーワン」は、まるで自転車のようなフレームに空冷単気筒エンジンを搭載しただけのモデルで、製造されたのはわずか3台のみでした。
ハーレーダビッドソンのバイクはそのエンジン音からして独特といわれる(画像:写真AC)。
そこから歴史を重ねること100年以上。年々厳しくなる環境規制をクリアしながら進化を繰り返し、伝統を守り続けています。
日本に初めて輸入されたのは1913(大正2)年のこと。「MODEL 9E」というタイプで、当時は軍隊や官公庁、また一部の富裕層しか手に入れられなかった高級嗜好品でした。
そんな歴史あるハーレーは様々な映画やアニメ作品に登場し、見る人の印象に残っています。
かっこいい~キャラは乗っている
まず、1991(平成3)年公開の映画「ターミネーター2」ではアーノルド・シュワルツェネッガーが演じたアンドロイドT-800・モデル101がハーレーに乗っていました。シュワちゃんが乗っていた車種は、1990(平成2)年に誕生した「FLSTF ファットボーイ」です。
ファットボーイは、車体は「ビッグツイン」と呼ばれる大排気量シリーズの中のひとつ「ソフテイル」系に属し、エンジンは「エボリューションエンジン」と呼ばれる1340ccのV型2気筒です。
特徴のひとつである「ショットガンマフラー」と言われる2本出しマフラーは、「ターミネーター2」でシュワちゃんがショットガンを駆使していたシーンとピッタリです。
ちなみに2020年、「ファットボーイ 30周年記念モデル」が登場しました。世界限定2500台の販売で、カラーはブラック1色。一台一台の燃料タンクコンソールにはシリアルナンバーが刻まれているそうです。
ところ変わって、日本のアニメ「ルパン三世」の人気キャラ・峰不二子も、ハーレーに跨っています。主人公ルパン三世を翻弄し、悪女の一面も魅力な峰不二子は、乗り回すハーレーの車種も多岐にわたっています。
例えば、1971(昭和46)年から1972(昭和47)年にかけて放送された「ルパン三世」TV第1シリーズのエンディングで峰不二子が乗っていたのは「ハーレーダビッドソン WLA」という車種であることを、当時の作画監督である大塚康生さんが語っています。
「WLA」は第二次世界大戦時に軍事用に生産されたモデルで、戦時中に約9万台が製造され、現在は博物館で保管されるほど貴重な車両となっています。
そして、峰不二子が乗っているハーレーで特に有名なのが、「FLHT エレクトラグライド」という車種。1965(昭和40)年に登場した、ハーレーダビッドソンのツーリングファミリー各車の先祖とも言える一台です。重量約350kgという超大型バイクで峰不二子はアクロバティックな運転を次々と見せてくれます。
峰不二子とハーレーは世代を超える
実は、この「峰不二子とハーレーダビッドソン」という組み合わせは、のちの日本の漫画・アニメに影響を与えています。
最終モデルとなった「V-ROD」(画像:ハーレーダビッドソン)。
そのひとつが、「ルパン三世」とのコラボ作品もある「名探偵コナン」です。登場人物にはバイクを愛用しているキャラが多いですが、そのうち「黒の組織」の幹部であるアメリカ人女性・ベルモットはハーレーを愛用しています。作者の青山剛昌さんも峰不二子をモデルにしていると公言しており、組織に縛られず暗躍するベルモットの豪胆さや自由奔放さの象徴がハーレーとも言えるでしょう。
ベルモットが乗っているのは「ハーレーダビッドソン V-ROD VRSCA」という車種。ハーレーダビッドソン初の水冷エンジンを搭載した車両で、2002(平成14)年に誕生しました。
創始者の子孫であり、ハーレーダビッドソン製オートバイのデザインを統括しているウイリー・G・ダビッドソンに、「正しくこれはハーレーだ」と言わしめた名車でしたが、2016(平成28)年の生産分をもって惜しまれながら販売終了しました。
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ロードムービーの傑作のひとつと言われる1969(昭和44)年の映画「イージー・ライダー」で、自由を求めて思うがままさすらった主人公も、やはりハーレーに乗っていました。今後もまたどこかの映像作品で、おのれの信念に従って生きるキャラクターがハーレーを乗り回す時がやってくるのでしょうか。
