サウジアラビアの制作会社「マンガプロダクションズ」と、日本の「東映アニメーション」が共同制作したアニメ「アサティール2 未来の昔ばなし」のプレミア試写会が、2024年10月28日に東京都内で行われた。
「Made in Saudi with Japan」によるアニメ
未来のサウジアラビアが舞台の「アサティール2」は、最先端のスマート・シティー「ネオム」にある「オクサゴン」という街に住むことになった一家の話。
マハ、ライアン、スルタンの三姉弟が、アスマお婆ちゃんの語るアラビア半島に伝わる昔ばなし「アサティール」から、大切なことを学び成長していく様子が描かれる。
前作「アサティール 未来の昔ばなし」(2020年公開)は、全世界40以上のプラットフォームで配信され、1億回以上の視聴回数を記録するなど、大きな反響を呼んだ。
今回、放送を目前に、プレミア試写会とメディア発表会が開催された。イベントには「マハ」役声優の大空直美さん、マンガプロダクションズCEO(最高経営責任者)のイサム・ブカーリ氏、東映アニメーション顧問の清水慎治氏らが登壇。
ブカーリ氏は、前作の反響について「Made in Saudi」でも「Made in Japan」でもなく「Made in Saudi with Japan」という形をとったことが大きかった、と話した。
さらに2055年の両国の国交樹立100周年の未来に向け、
「日本のリーダーがサウジのリーダーと会って『子どもの時、アサティール未来の話を見ました』と言っていただいて、その後に素晴らしいパートナーシップを構築していただけることは間違いないと思います」「コンテンツは平和へのパスポートだからです」
とビジョンを語った。
東映アニメの清水氏は、2011年に「アラビア地方の民話集のアニメを作ってほしいと頼まれた」と明かし、こう制作過程を振り返った。
「中東と生活も風習も文化も違いますから、日本人でできるのかなと。ただ、『まんが日本昔ばなし』という日本でも民話のヒットシリーズがあるので、どうしようかなと思って。断りたいけど断れないなという時からもう13年半ですね。でも、今日の日迎えて、あの時断らなくてよかったなとつくづく思います」
さらに、「世界中で戦争が増えていますが、世界中の人が民話のエッセンスみたいなものを感じてもらうと、戦争も収まるのかなという期待を込めて作りました」と本作への思いを語った。
野沢雅子さん「アニメから学ぶことは多い」
「マハ」役の大空さんは、これまで知ることがなかったサウジアラビア文化に触れ、伝統衣装の「アバヤ」を羽織り、食文化や衣装に魅力を感じたと話した。さらに、サプライズで「アスマお婆ちゃん」役の声優・野沢雅子さんからのコメントVTRが流れた。
「この仕事をしていて良かったと思うのは、いろいろな国の生活を知れることです。またどこの国でも常識は変わらないと思います。ダメなものはダメ、これは良いことですよね、というのは同じだと思います。アニメから学ぶことは多いと思います。お子さんにまずアニメを観ていただいて、段々と年齢をあげていって大人の物語になるのが、生きていくうえで大切なことだと思います」
ブカーリ氏は作品の魅力について試写会後に集まった記者に対して、こう語っている。
「家族で見られるような作品であることは大変貴重です。サウジアラビアの物語を世界に伝えられるのも貴重だと思います。同じ作品の中で、未来パーツも昔のパーツもあって、希望と価値観の両方を提供できることは大変すばらしいと思います」
「アサティール2」は、11月3日からテレビ東京系で放送がスタートする。毎週日曜朝7時の放送だ。<J-CASTトレンド>