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【VIVANT】別班や外事4課は実在する? 「公安と刑事の違い」を元警視庁刑事が解説

オトナンサー

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「公安警察」とは?(画像はイメージ)
「公安警察」とは?(画像はイメージ)

「公安警察」とは?(画像はイメージ)「公安警察」とは?(画像はイメージ)

 俳優の堺雅人さんが主演の連続ドラマ「VIVANT(ヴィヴァン)」第2シーズン(TBS系、毎週日曜午後9時)の放送が7月26日から始まりました。

 同ドラマの公式サイトを確認すると「公安」「自衛隊の非公認部隊である『別班』」といった言葉が記載されていますが、実際にドラマを見て「公安って本当にあんな組織なの?」「別班って実在するの?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。ドラマはエンターテインメントですから、もちろん演出もあります。一方で、「公安警察」という組織そのものは実在します。

 今回は元警視庁刑事の立場から、「公安とは何か」「刑事との違い」「警察庁や公安調査庁との違い」など、VIVANTを見る際に知っておくともっと楽しめる”公安トリビア”をご紹介します。

「警察庁」「警視庁」「公安調査庁」はまったく違う

 ドラマを見ていると「公安」という言葉が何度も登場しますが、実は混同されやすい組織が3つあります。

 まず警察庁は、日本全国の警察を指揮・監督する国の行政機関です。自ら日常的な捜査を行うというより、全国的な警察運営や制度設計、広域犯罪対策などを担っています。警察庁には警備局や外事情報部が置かれ、全国レベルの警備・公安政策を所管しています。

 一方、警視庁は東京都を管轄する都道府県警察です。「庁」という名前から国の組織と思われがちですが、実際には東京都の警察本部にあたります。ドラマで描かれる公安部の捜査に近いイメージを持つ人が多いのは、この警視庁公安部でしょう。

 そしてもう一つが公安調査庁です。こちらは警察ではなく、法務省の外局に位置付けられる行政機関です。国内外の公安情勢に関する情報収集・分析を行い、破壊活動防止法や団体規制法に基づく調査などを担当しています。警察ではないため、逮捕権や捜査権は持っていません。

そもそも「公安警察」と「刑事」は仕事の目的が違う

 ドラマでは同じ「警察」として描かれますが、公安警察と刑事警察では、そもそもの目的が異なります。刑事警察は、殺人や強盗、詐欺など、起きた犯罪を捜査し、犯人を検挙することが主な役割です。

 一方、公安警察は、テロやスパイ活動、外国勢力による情報活動、過激派による違法行為など、国の安全や公共の秩序を脅かす事案を未然に防ぐことを目的としています。

 簡単に言えば、刑事警察は「事件が起きた後に動く警察」であり、公安警察は「事件を起こさせないために動く警察」です。同じ警察官でも、見ている世界は少し違うのです。

「外事第4課」は実在する?

 VIVANTでは「警視庁公安部・外事第4課」という名称が登場し、俳優の阿部寛さん演じる主要キャラクターの野崎守が所属しています。実際、警視庁公安部には外事第1課から外事第4課までが設置されています。それぞれの役割の違いですが、外事第1課はロシア・東欧を担当、第2課は中国・東南アジア、第3課は北朝鮮、第4課は中東の国際テロや過激派への対応を担う編成とされています。

 具体的な担当分野については公表されていない部分も多く、「○課はこれだけを担当している」と単純に説明できるものでもありません。公安という仕事自体が、公開できる情報と非公開情報の線引きが非常に厳しい世界だからです。

 ドラマはあくまでフィクションですが、実在する組織名をモデルにしている部分があるため、現実と重ね合わせながら見ると、より興味深く感じられるでしょう。

公安警察の任務は「何も起こらない状態」を守ること

「事件が起きていない時、公安は何をしているの?」と思う人も多いでしょう。公安警察の仕事は、「何も起こらない状態」を守ることです。

 そのため、「情報収集」「情勢分析」「関係機関との連携」「テロや過激化の兆候把握」など、地道な活動が中心になります。ニュースにならないことこそ、仕事がうまくいっている証拠ともいえるのです。

 私自身は刑事として勤務していたため、公安部で働いた経験はありません。ただ、現場では昔からこんな風に言われていました。

「公安のことは、あまり詮索しないほうがいい」

 もちろん冗談半分です。それだけ公安は、一般の刑事から見ても”少し別世界”というイメージがあったのは事実です。

 とはいえ、決してドラマのような謎の秘密組織というわけではありません。刑事が犯罪捜査の最前線を担うように、公安は日本の安全保障や公共の安全を支えるという、別の使命を担っているのです。

「別班」は実在する?

 別班が存在するのかどうか、VIVANTを見た人の多くが気になる疑問でしょう。結論から言えば、公的に存在する組織ではありません。石破茂前首相が2023年、別班について「あるともないとも言えません」と語りました。

 また、小泉進次郎防衛大臣が2026年7月28日に「陸上自衛隊の『別班』といったような組織は、これまで存在しておらず、また現在も存在していません」と明言しましたが、ドラマはドラマとして楽しみつつ、現実の公安組織や警察制度を知ることで、作品の世界観はさらに奥深く感じられるでしょう。

 ドラマでは、どうしてもアクションや極秘任務に目が行きます。しかし元刑事として注目してほしいのは、「公安」と「刑事」は、同じ警察でも目的がまったく違うという点です。この違いを知っているだけでも、VIVANTの登場人物たちの役割や組織の描写が、より立体的に見えてきます。

 フィクションといえども、背景には現実の警察組織や治安を支える仕組みが存在しています。そんな視点を持ってVIVANTを見直すと、また違った面白さが見えてくるかもしれません。

治安戦略アナリスト・危機管理スペシャリスト 小比類巻文隆

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