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「園や学校に行きたくない」と「自律神経」の意外な関係。臨床心理士が考えるGW明けの子どもの行きしぶり対策に納得しかない

マイナビウーマン

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新学期やGW明けになると、幼稚園や保育園に行くのをしぶったり、登園できなくなる子どもが見られます。朝から不機嫌で身支度などを嫌がったり、登園しようとすると「行きたくない」と言ったり、腹痛など体調不良を訴えることも。

今回は「幼児の登園しぶり」について、臨床心理士・公認心理師で、はこにわサロン東京 代表の吉田美智子先生に解説いただきます。

子どもに登園しぶりが見られると、親も「どうして?」「このままで大丈夫?」と不安や焦りを感じたり、「甘やかしてはいけないのでは」と悩んだりすることがあると思います。

まだ幼い子どもにとって、「親といたい」「もっと甘えたい」といった気持ちは、とても自然で大切なもの。というのも、「子どもは親に甘えることを通じて、安定的な対人関係を営むために必要な自律神経を育てているから」という理論があります。このように自律神経のはたらきを起点に、心身の状態や行動などを理解する方法を「ポリヴェーガル理論」といいます。

今回は「ポリヴェーガル理論」に基づいて、子どもの登園しぶりについて考えてみます。

親にしっかり甘えると登園できるようになる理由

私たちの自律神経は、これまで「交感神経」「副交感神経」の2種類だと考えられていました。しかし、副交感神経はさらに2つ(腹側迷走神経・ふくそくめいそうしんけい/背側迷走神経・はいそくめいそうしんけい)に分かれていることがわかってきました。その中で「安心」や「信頼」と関係するのが腹側迷走神経です。

子どもの腹側迷走神経は生まれたときはまだ未熟で、親に甘えることを通じて育っていきます。腹側迷走神経が育つことで、次のようなことができるようになっていきます。

・友だちと楽しく遊べる
・新しいことにチャレンジできる
・集団の中でも安心して過ごせる

これらの力が伸びれば、子どもの登園を後押しする力となります。
ですから、子どもが安心して登園できるようになるためには、親と十分なスキンシップを取り、たくさん甘えることが必要です。子どもにとって、親に甘えることは、安心をチャージする行動なのです。

子どもが登園をしぶってしまう理由

新学期やGW明けは、環境の変化や先々の見通しの持ちにくさから、子どもの不安や緊張が高まりやすくなる時期です。子どもが「行きたくない」と泣いたり、「お腹が痛い」と訴えるのは、自律神経が交感神経優位(不安や緊張)になっていることと関係があります。

たとえば、子どもがかんしゃくを起こして泣いているときに親が温かく落ち着いて接すると、だんだんと子どものかんしゃくが落ち着いてきた、という経験はないでしょうか。これは、ポリヴェーガル理論に則れば「親の腹側迷走神経に同調して、子どもの腹側迷走神経が整ったから」と考えられます。

子どもが元気に登園するには、まず親の不安や焦りが解消していることや、楽に笑顔で過ごせていることが、とても大切です。子どもの登園しぶりを解消するには、親がハッピーであることが必要なのだ、と心得てください。たとえば、ひとりティータイムでホッとしたり、お友だちとのおしゃべりや趣味で気分転換するなど、まずはご自分がリラックスできる時間を持ちましょう。

子どもの安心を育てる工夫

①日常の関わりの工夫

日々の中で大切なのは、親子でゆっくり安心して過ごす時間を持つことです。抱っこする、一緒にお話をするなど、スキンシップや関わりをたっぷり持ちましょう。

この時期は、しつけよりも親子の心地よさを優先して大丈夫。子どもの安心が満たされることで、理解力や実行力が育ちます。安心が満たされた子どもほど、人の話を受け取りやすくなり、結果として「親など、相手の話をきちんと受け止められる」という変化も見られます。

②遊びの工夫

では、自律神経を育てるにはどうすればよいのでしょうか。自律神経を育てるために大切なもののひとつが「遊び」です。遊びは子どもの健やかな成長に欠かせません。

親子で、歌遊びやにらめっこ、くすぐり遊びをしてみてください。これらの遊びを通して、安心や興奮しても落ち着く力が育ちます。公園で身体を動かしたり、大きな声を出して遊んだりすることも、緊張をやわらげて自律神経を育てることに役立ちます。
お絵描きや砂遊びなど、好きな遊びに没入すると、子どもは遊びを通じて、自分で不安や緊張をやわらげる体験ができて、自信がつきます。子どもが一人で遊びに集中しているときは見守り、「見て!」と見せにきたら「じょうずにできているね」など感想を伝えられるといいですね。

最近ではタブレットによる動画視聴など、子どもにデジタル機器を使わせているご家庭もよくあります。しかし、これらは神経が興奮しやすく依存しやすくなってしまうと言われているので、使い方には注意が必要です。

③登園時の朝の工夫

朝は安心して出発できることを優先するのがおすすめです。

笑顔で声をかけて、やさしく、ゆっくり関わることを通じて、「大丈夫、安心だよ」というメッセージを伝えましょう。身支度や準備も、無理に自分でやらせることにこだわらず、手伝ってあげても大丈夫です。

「王子、お着替えをお手伝いしましょうか」「姫様、カバンにタオルをお入れします」のように、ごっこ遊びにすると、親も気楽に手伝えて、子どもも楽しく動けるようになります。
「こんなに甘やかして大丈夫?」と心配になるかもしれませんが、子どもは安心が満たされると、自分から離れていきます。しっかり甘えられた日は、むしろスムーズに登園できることも多いのです。

朝は、 親子で無理なく過ごせること、そして、子どもが機嫌よく登園できることを最優先にしてみてください。元気に登園できるようになってから、少しずつ自立を促せばよいのです。

まとめ

新学期やGW明けの登園しぶりは、ポリヴェーガル理論においては弱さやわがままではなく、子どもの自律神経が乱れているサイン、子どもからの「SOS」だととらえることができます。子どもの気持ちに温かく答えてあげることで、子どもの自律神経の乱れが整い、安心・安全が回復し、元気に登園できるようになっていきます。
子どもの自律神経を整えることは、今だけでなく、小学校入学以降の学校生活や、大人になってからの対人関係の安定にも関係していきます。

ですから、どうか、今は我が子に安心をたっぷりと与えてあげましょう。子どもはその安心を力に、少しずつ外の世界へと歩み出していけるのです。

* * *

吉田先生の著書『すぐ怒る わがまま 言うことをきかない 子育ての「うまくいかない」は自律神経を育てると解決する』(高橋書店)は、子育ての「困った!」に対して子どもの自律神経に注目した新しい育児書。「子どもの自律神経を育てるってどういうこと?」「〇歳の自律神経の育て方は?」など、基本的な解説から具体的な遊びまで詳しく紹介されています。

吉田美智子先生 プロフィール
臨床心理士・公認心理師、はこにわサロン東京代表。
東京都・神奈川県・埼玉県スクールカウンセラー、教育センター相談員などを経て、2016年、はこにわサロン東京を開室。主な技法は、ユング心理学に基づいたカウンセリング、箱庭療法、絵画療法、夢分析。子育て相談、親子関係、トラウマケア、ストレスケア、アンガーマネジメントについて、ポリヴェーガル理論に基づいたサポートで2000人以上に寄り添ってきた。日本経済新聞、読売新聞、日経クロスウーマンなどへの寄稿のほか、テレビ出演も多数。著書に『内向的な子のすごい力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

[HP]https://hakoniwasalon.com
[Instagram・X]@hakoniwasalon
[YouTube]https://www.youtube.com/@cptsd-channel

(文:吉田美智子先生/マイナビ子育て編集部)

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