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岡本太郎の傑作『明日の神話』は、なぜ東京の「渋谷駅」に展示されているのか?

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巨大ターミナル渋谷にある意味について

 東京のターミナル・渋谷駅(渋谷区道玄坂)には巨大な壁画があります。芸術家・岡本太郎(1911~1996年)の<明日の神話>(1968~1969年)です。

 その大きさに圧倒されるのはもちろんのこと、中央に描かれた骸骨(がいこつ)のような人やメラメラ燃える炎など、抽象的なモチーフから強い力を感じる作品です。

 毎日この壁画の前を通り仕事やショッピングに行くという人もいるでしょう。この作品は何を描き、なぜ渋谷に設置されているのでしょうか。その意味をあらためて問い直してみたいと思います。

<明日の神話>に描かれているものは?

 まず目に飛び込んでくるのは絵の中央に立つ骸骨のような人間です。炎に包まれた人は両腕を広げ天を仰いでいます。その目は真っ赤です。周りには炎に焼かれている小さな人影が多数描かれています。

渋谷駅にある岡本太郎作<明日の神話>(画像:読者提供)

 次に印象的なのは画面下から広がる赤い炎です。左から右へ勢いを増して燃え盛り、右に向かって大きく手のひらを広げ、不気味な笑みを浮かべ何かを捕まえようとしているようです。

 炎の行く手には、生き物たちがいます。生き物たちは炎から逃げるように画面の外へと向かっています。

 画面全体には青黒い色が広がっています。空が雲や煙に覆われて鮮やかな色を失っているようです。画面左上からは白色と黒色が稲妻のように伸び、空を切り裂いています。

 その稲妻の奥からは不気味な灰色の塊が連なっています。仮面のようなその塊は赤い舌をちらつかせ、ギョロリとした瞳で見下ろしています。中央の人を境に煙とも雲とも思える渦巻に形を変えながら画面右へと続いています。

 画面の細部を見てみると、大きく手を広げた炎の下には海が描かれています。蒸気のような黒い気体を出しながら、海に浮かぶ白い船が一隻。さらに右には擬人化された船がいて、クジラのような生き物を釣り上げようとしています。

描かれたのは第五福竜丸の被ばく

描かれたのは第五福竜丸の被ばく

 この絵が描いているのは原爆が炸裂(さくれつ)する瞬間と第五福竜丸の被ばくです。

 1945(昭和20)年8月に広島、長崎で人に対して原子爆弾が炸裂。その後第2次世界大戦は終戦を迎えますが、米ソの緊張状態は続きます。1950年代はアメリカ、旧ソ連が盛んに核実験を実施。核兵器の威力と核戦争勃発の緊張が高まった冷戦時代でした。

 一連の核実験の被害のひとつが第五福竜丸の被ばくです。

江東区夢の島にある、都立第五福竜丸展示館(画像:写真AC)

 1954(昭和29)年3月1日、マーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカが水爆実験を実施。爆発によって砕けた珊瑚はキノコ雲に吸い上げられ、放射能を含んだ「死の灰」となり周辺の海や島に降り注ぎました。爆心地から160km東にいた第五福竜丸にも死の灰が降り、乗組員23人が被ばくしました。

<明日の神話>に描かれているのは核兵器の炸裂の瞬間と、それにより放射能や炎に貫かれた人々です。画面上部の一連の不気味な灰色の渦は爆発により発生したキノコ雲。画面右下の擬人化された船は、マグロ漁をしていた第五福竜丸なのです。

 岡本太郎は他にも核や原子爆弾の炸裂をテーマにした作品を制作しています。同じく第五福竜丸の被爆を描いた<燃える人>(1955年)や<瞬間>(1955年)、<死の灰>(1956年)など、反核を芸術で発信し続けました。

メキシコからたどり着いた<明日の神話>

メキシコからたどり着いた<明日の神話>

<明日の神話>は当初から渋谷にあったわけではありません。

 制作のきっかけは1967(昭和42)年、メキシコの実業家がメキシコシティ中心部に建設中のホテルに設置する壁画を岡本太郎に依頼したことによります。

 同時期に岡本太郎は大阪万博のための<太陽の塔>を制作中。日本とメキシコを往復しながら制作したこの作品は、完成後ロビーに仮設置されましたが、実業家の経営悪化とホテル建設の中断により行方不明となります。

 幻の作品となっていた<明日の神話>は2003(平成15)年、秘書で養女の岡本敏子さんによってメキシコ市近郊の資材置き場で発見されました。「<明日の神話>再生プロジェクト」が発足し、2005年から日本で修復し、汐留や東京都現代美術館で公開されました。

渋谷駅に<明日の神話>がある意味は

 設置場所にはいくつか候補がありました。被爆地である広島、<太陽の塔>がある大阪、そして東京です。

 最終的に岡本太郎が生活と制作の拠点としていたアトリエ(現・岡本太郎記念館、港区南青山)がある渋谷が選ばれ、2008年、渋谷マークシティ連絡通路に恒久設置されました。

 国内外から多くの人が訪れ、モノ・情報が飛び交う中心地であり、若者のトレンドの発信地でもある渋谷。そこが核の惨禍を描いた作品の設置場所である意味を、私たちはどう考えたら良いのでしょうか。

誰もが見ずにいられない衝撃の赤色

誰もが見ずにいられない衝撃の赤色

 1990年代に生まれ、埼玉・東京で育ち、広島で新聞記者として2年間を過ごした筆者はこう考えています。「二度とこの過去が訪れない明日を積み重ねよ」というメッセージを発信しているのではないか、と。

 筆者は戦争も冷戦時代も体験していません。しかし広島市中心部で過ごした2年間は原爆ドームや街なかにある被爆時の写真、小学校に設置されている慰霊碑などを日常的に目にしていました。

広島市にある、原爆ドーム(画像:写真AC)

 自分が今歩いている道は、過去に原爆により焼け野原になった場所で、誰かが苦しんで、息絶えた場所かもしれない。平和な1日が過ぎている「今」からさかのぼった過去を常に意識していました。

 東京や埼玉では、広島にいたときに比べて戦争の痕を目にする機会は多くありません。しかし渋谷駅で<明日の神話>の前を通過するとき、この絵を視界に入れずに歩くのは難しい。どんなに急いでいても鮮烈な赤色が目に飛び込んでくるのです。

作品が指し示す「明日」とは何か

<明日の神話>に描かれているのは核の惨禍だけではありません。画面左の抽象化された人物たちは寝そべって頬杖をついたり手を広げて踊ったり、平和な未来の世界を生きているようです。

 核の被害があった過去を変えることはできません。しかし私たちは絵の中央に描かれている人々ではなく、画面左の人々のように過ごせる「明日」を積み重ねなければいけない。そんなメッセージを、渋谷に集う老若男女、世界中の人々に伝えようとしているのではないでしょうか。

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