夏にあえてダラダラ過ごすメリットとは?(画像はイメージ)
夏にアウトドアや旅行などを計画している人は多いのはないでしょうか。中には「充実した休みにしなくては」と考えるケースもあるようで、少し注意が必要かもしれません。「生活を充実させなくちゃ」と焦りを抱える人たちの心理や、「あえて何もしないこと」に対する有用性や心構えについて、心理カウンセラーのうるかすさんに聞きました。
他者との比較
Q.そもそも、「充実していない自分はダメだ」という焦りは、どこから来るのでしょうか。
うるかすさん「充実した日々を送れない自分に対して焦燥感を覚えやすい人は、無意識のうちに『何もせずにダラダラしてはいけない』『予定をたくさん入れて時間を有効活用しなければ』といった価値観が根底にある場合が多いです。『こうあるべき』という理想やこだわりがはっきりしていたり、完璧主義的な考え方が起因していたりするかもしれませんね。
例えば、『予定がいっぱいで充実した生活』を理想とするなら、何もせずにダラダラしたりゆっくり過ごすことは理想と正反対の過ごし方なので、そのギャップに苦しんで焦りを感じてしまう傾向にあります。
また、理想の対象を自分ではなく他人の生活に当てはめて考える場合も、『他者との違い』にギャップを感じてしまい焦りを感じやすくなります。特に最近はSNSで友達や知人だけではなく、まったく知らない人や有名人のキラキラした私生活を簡単に目にすることができますよね。
『あの人はこんなに充実した生活を送っているのに…』というように、自分と他者をどうしても比較してしまうシチュエーションが多くなっていることで、焦りや落ち込み、ネガティブな感情を抱きやすい環境にあると言えるでしょう。
さらに、夏という季節そのものにも影響を受けている可能性があります。夏は旅行、花火、お祭り、レジャー、イベントなど、『特別な体験をして楽しむ季節』というイメージが非常に強い時期です。
もちろんそのイメージ通り、実際に楽しむこと自体は悪いことではありませんが、私たちは知らず知らずのうちに、広告やSNS、テレビなどを通じて『夏は充実していなければならない』『思い出を作らなければもったいない』というメッセージを受け取り続けているという側面もあります」
休むことに罪悪感を覚えないようにするには?
Q.罪悪感なくダラダラ過ごすために、どんな「心の準備」や「環境づくり」が必要なのでしょうか。
うるかすさん「最も重要なのは、『ダラダラすること=悪いこと』ではないという認識に切り替えていくことです。現代社会では効率や生産性を高めることが重要視されており、『休む』という行為にネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。ところが、『休むときにしっかり休む』という習慣がない人ほど、知らず知らずのうちに体や脳が疲労し、日々のパフォーマンスが落ちるといわれています。
ですから、ダラダラするのは怠けや非効率的な過ごし方なのではなく、『心と体を休息させる時間』『自分へのメンテナンスタイム』といったように、『休むことに意義や目的がある』ことを意識付けられるようにすると、少しずつ休むことへの罪悪感が軽減されるのではないでしょうか。
また、心理学や遊びの研究では、『遊び』は本来、何か成果を出したり役に立ったりするためのものではなく、その時間そのものに意味があるとも考えられています。
ところが大人になると、『せっかく休むなら有意義に過ごさなければ』『何か得るものがないと意味がない』と、休むことや遊ぶことにまで成果や効率を求めてしまいがちです。
しかし、何も予定がない時間や、あえて目的を持たずぼんやりする時間というのは、決して無駄な時間ではありません。役に立たない時間、何も生み出さない時間だからこそ、心が緩み、自分の感覚を取り戻せることがあります。『何もしない時間』を怠けではなく、自分を回復させるためのぜいたくな時間として捉え直してみることも大切かもしれません。
さらに、これまで何かしたかったはずなのに、何もせずにダラダラ過ごしてしまったという経験がある人は、『本当に自分がしたいことってなんだろう?』と自分の心の底からの言葉を改めて問いかけてみるのも良いかもしれません。
もしかすると、表面上は『何かしないと』と焦った感情を常に抱えていたとしても、本当は毎日仕事や家事に追われて疲れているから休日ぐらいは休みたい、何も考えずに過ごしたいという本音が浮かんでくることもあります。
他人から見た意識で良しあしを判断するのではなく、『今自分は何を望んでいるのかな?』という気持ちに耳を傾けてあげることも、自分を知るために重要な行為といえるでしょう」
スマホを見ないメリットとは?
Q.休み中にできるだけSNSを見ないことが推奨されています。情報を遮断することで、私たちの脳と心にどんな回復効果がもたらされるのでしょうか。
うるかすさん「『ダラダラしながらSNSを見ているだけでは疲れないのでは』と思うかもしれませんが、SNSをただぼーっと見ているだけのように見えていても、脳は非常にさまざまな情報処理を行っています。
さらに、SNSの構造としてスクロールすることで次から次へと情報が流れこみ、ストップするタイミングを失いやすいというのも、脳が疲労しやすい要因の一つにもなっています。
これに加え、SNSから発信される情報は、先ほども触れたように『他者のキラキラした部分』『充実した生活』の情報が無差別に流されます。そのため、単純に脳が疲れてしまうだけではなく、必要以上にネガティブな感情に飲み込まれてしまうなど、他人からの評価を気にしてしまうリスクが考えられるのです。
現代はいつでもスマホやパソコンなどで欲しい情報が手に入るという手軽さ・便利さがあるのですが、だからこそ自分自身で『情報の取捨選択』をすることも大事です。他人と比較したり不安になってしまったりするような情報は、必要がないときにはあらかじめ見ない選択を心掛けることによって、体も心も真の休息を得られるようになるのではないでしょうか」
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「何もしない」「休む」ということに対して、現代人はネガティブなイメージを持つ人も少なくないかもしれません。しかし、常に情報が飛び交い心も体も疲弊してしまいやすい現代だからこそ、「何もしない時間」というのは、余計な情報を遮断し、自分自身の疲れを癒して回復させてあげる、そんな「自分をいたわる」ことができる大事な習慣になるのではないでしょうか。
オトナンサー編集部
