他人が社会的に成功していたり、自分が好きな人が他の人と仲良くしていたりしているのを見て、ついねたんでしまったことはありませんか。この場合、どのような心理が働いているのでしょうか。他人をねたむ人の心理状態や、ねたみとうまく付き合う方法などについて、心理カウンセラーの平井綾乃さんに教えていただきました。
「他人の良い部分に気付くことができる」という長所も
Q.そもそも、人をねたんでしまう人、ねたまない人は何が違うのでしょうか。人をねたむ原因も含めて、教えてください。
平井さん「まず『ねたみ』は、自分が持っているはずのものを他人が持っていることに対する、怒りの感情です。誰しもが多かれ少なかれ抱くものではありますが、他人をあまりねたまない人は、概して『自分自身や置かれた環境に納得している人』『物足りないものがあってもそれを得るために努力ができる人』と言えるでしょう。
一方で他人をねたんでしまう人は、いわゆる『隣の芝生が青く見えやすい人』です。自分が持っているものに満足できず、かと言って得るための努力もしていない人は他人をねたみやすいでしょう。また、幼少期に十分に甘えられなかったことや、過去の挫折を自分なりに乗り越えることができなかったことなどが原因で人をねたむこともあります」
Q.では、人をねたむのが癖になっている場合、改善するにはどのような対策が有効なのでしょうか。
平井さん「人をねたむ癖を改善したい場合、最終的には与えられた環境、持っているもので何事も勝負していくことを受け入れ、努力で手に入るものならば淡々と努力を重ねるしかありません。一方、努力しても手に入れられないものがあるのを受け入れる際は誰でも苦痛を伴います。そのため、改善には時間がかかることもあると思います。
例えば容姿や若さ、体質など、ねたみの中にはどう頑張っても手に入れられないものもあるかもしれません。その場合、代わりにどのようなもので自分の世界を充実させていくかを検討するしかありませんよね。『容姿は満足ではないけど、誠実な性格はまあまあ合格点だと思うからこれで勝負するか』といった具合です。ですが、それは口で言うほど簡単なことではありませんし、一朝一夕で納得できる話でもないと思います。心の内面を丁寧に掘り下げる必要があるため、伴走役としてカウンセリングを利用しても良いでしょう」
Q.人をねたんでしまう癖を放置した場合、将来的にどのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。ねたみとうまく付き合う方法も含めて、教えてください。
平井さん「人をねたみやすい人の特徴として、他人と比較する癖がついていたり、他人からの評価ばかりを気にしていたりします。そのため、人をねたむ癖を放置した場合は、将来的には人生を振り返ったときに後悔しやすく、その失望から情緒不安定になる可能性があると思われます。また、自分の『満たされない気持ち』を周囲に投影する癖がついているため、自分ではなく、他人を責める傾向になりやすく、対人関係で孤立しやすいかもしれません。
しかし、人をねたむ気持ちは他人の良い部分に気付けるという長所でもあります。比較してしまう癖があるのなら、その人の良い部分をまねしたり、自分にしかない強さを磨いたりするなど、気持ちを良い方向に向けていくことも可能です。誰かをねたむ気持ちを完全になくすのは難しいですが、良い方向に視点を変えていくことはできますよね」
オトナンサー編集部