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軽い・安い・強い! F-16が「世界一売れた戦闘機」になった必然 初飛行から50年 愛称にまつわる苦心まで

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高性能ゆえの高コストなF-15を支える軽量戦闘機として誕生

 1974年2月2日(非公式では1月20日)に初飛行を果たしたF-16「ファイティング・ファルコン」は、以来、約半世紀ものあいだ開発国のアメリカをはじめとして世界中で4500機以上が運用されるベストセラー機となりました。

Large figure1 gallery5飛行中のF-16戦闘機(画像:アメリカ空軍)

 また、当初は第4世代ジェット戦闘機として開発されたものの、さまざまな改良を加えられて進化を続けた結果、現在では第4.5世代ジェット戦闘機に分類されています。

 このように、「傑作」と呼ぶに相応しいほどの名機へと昇華したF-16ですが、開発時は低コストな軽量戦闘機というコンセプトでした。

 そもそも、ジェット戦闘機が実戦に投入されたのは第2次世界大戦末期のこと。その後、朝鮮戦争時で本格的なジェット戦闘機どうしの対決が勃発しましたが、そのときはまだ機関銃または機関砲を空対空戦闘用兵器としており、敵機を撃墜するには、その背後に回り込んで射撃しなければなりませんでした。ゆえに、この頃のジェット戦闘機には、ドッグファイト(格闘戦)能力が強く求められており、そのためには高い運動性能が不可欠でした。

 ところが、空対空ミサイルが登場すると、それを用いた空戦ではガン・ファイトほどの運動性能は求められず、戦闘機はミサイル発射のためのプラットホーム兼誘導装置と考えられるようになります。ただ、当時は空対空ミサイルの誘導性能が未熟で、ベトナム戦争などでは空対空ミサイルを用いた空戦だけでなく、機関銃を用いた空戦も多発しました。

 その結果、敵機の後方に付かなければロック・オンできない当時の空対空ミサイルを使用するにしても、敵機の背後をとって照準する機関銃を使用するにしても、相応の高い機動性が求められたのです。

 そこで、元戦闘機パイロットのジョン・リチャード・ボイドは、自身の従軍経験などから「エネルギー機動性理論」という空戦理論を提唱。彼の周りには同理論を信奉する仲間が集まり“ファイター・マフィア”と通称された一派が形成されるようになります。彼らの論調はアメリカ空軍の次期主力戦闘機(F-X)の開発プロジェクトにも多大な影響を及ぼし、結果として空戦能力に優れたF-15「イーグル」の誕生にもつながりました。

マルチロール機へ進化し、生産数爆増へ

 しかし、ボイドと“ファイター・マフィア”の面々は、高性能かつ高コストなF-15では数を揃えられないことも重々理解していました。当時、世界は冷戦状態にあり、アメリカのライバルである、ソ連が大量の戦闘機を保有していたため、質的な優位だけでなく数的にも対抗できるだけの戦闘機を保有する必要があったのです。

Large figure2 gallery6飛行中のF-16試作機(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 この思想は「ハイ・ローミックス」と称されて、“ハイ”にあたるF-15に対し、ローにあたる低コストな戦闘機の開発が要望されるようになりました。こうして、生まれたのがF-16です。

 当初、F-16は格闘戦能力に優れた軽量戦闘機として開発されましたが、低空・低速での運動性能が良好なことから、対地攻撃任務にも好適な機体と考えられます。その結果、F-15が制空戦闘機として運用され続ける一方で、早くから制空戦と対地攻撃を兼務できるマルチロール機として発展し、さまざまな装備が付加されるようになりました。

低コストでコンパクト、かつ多用途性に優れた機体。この点が、予算も潤沢でなく、取得機数も限られる中小国が求める戦闘機の要件にピッタリでした。こうして、ヨーロッパ諸国を皮切りに、世界中の中小国が導入するようになり、ベストセラーへと躍進したのです。

 2018年6月の時点でF-16の生産機数は4604機となっており、これはアメリカ製のジェット軍用機としてはF-4「ファントムII」の5195機に次ぐ第4位です。ただ、すでに機数の増えないF-4と比べ、F-16はまだ生産が続いているので、近い将来F-4を抜いて第3位となる可能性も否めないでしょう。

 ちなみに当初、F-16の愛称として考えられたのは「ファルコン(隼)」でした。しかしすでに、フランスのダッソー社製ビジネスジェット機に「ファルコン」という名称が付けられていたため、頭にファイティングという単語を付与して「ファイティング・ファルコン(戦う隼)」とされたのです。なお、アメリカ軍機で2つの単語から成る愛称を持つ機体は多くありません。

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