まるで歌舞伎町のキャッチ…! タイ人気観光地へのバス
タイの首都「バンコク」から東部の人気観光地「パタヤ」に向かう交通手段は、乗合バスが主役です。同区間はタイ国鉄東本線も走っていますが、各駅停車のため所要時間は4時間以上かかり、かつ本数も極めて少ないため、外国人旅行者には利便性が高いとは言えません。
バンコク東バスターミナル、通称「エカマイバスターミナル」は、BTSエカマイ駅からすぐに位置する(植村祐介撮影)
またタクシーも日本よりは割安ですが、バンコク市街地からパタヤ市街地まではホテルを通しての申込みで2000バーツ(約9800円、2026年10月現在)前後、市中の旅行業者を通すと1400〜1600バーツ(約6900〜7800円、同)ほどと、それなりの予算が必要です。また街中を流しているメータータクシーも、パタヤまでの長距離は交渉制となり、旅行業者が手配するタクシーより高めの運賃となるのが一般的です。
これに対しバスであれば所要時間は約2時間、運賃もおおむね150バーツ(約740円、同)で、時間と費用のバランスにすぐれています。このため多くの外国人旅行者はバスを選びますが、バンコクからパタヤに向かうバスには、ひと筋縄ではいかない“落とし穴”があることをご存じでしょうか。
バンコク市街地からパタヤに向かうバスの出発地として多くの旅行ガイドに紹介されているのが、その所在地から通称「エカマイバスターミナル」と呼ばれる「バンコク東バスターミナル」です。高架鉄道BTSの「スクンビットライン」の「エカマイ駅」から徒歩2分で、市街地中心部からは15〜30分程度と、大きな荷物を持っていても、アクセスはそれほどたいへんではありません。
ところが、はじめてパタヤに行く旅行者がこのバスターミナルに入ると、チケットの購入で戸惑うことになります。
なぜなら、ターミナルのエントランスを“コ”の字に囲むチケット売り場のあちこちのブースから「パタヤー、パタヤー」という掛け声が上がっているからです。
その掛け声のするブースを見ると、どこも「PATTAYA」という表示があります。ブースによっては、スタッフがPATTAYAと書かれたスチロールのボードを手に持ち、反対側の手でパンパン叩いていることもあります。パタヤ行きのきっぷを扱うブースがたくさんあって、旅行者はどこできっぷを買えばいいのかわからなくなります。
バス会社選びで地獄を見る可能性!?
日本のバスターミナルであれば、ターミナルに入ったところに行き先と出発時刻を示す表示板があり、窓口では行き先を告げてきっぷを買うのが一般的です。会社ごとに窓口が分かれていても、きちんと案内があります。
しかしエカマイバスターミナルにはそうした秩序はなく、複数あるパタヤ行きのバスの運行会社が、それぞれ旅行客を捕まえようと、必死で声がけをしているのです。それはあたかも夕方の繁華街での呼び込みのようです。そしてパタヤ行きのきっぷを買う旅行者は、美味しくて安い居酒屋を探すように、パタヤ行きのバスを選ばなければならないのです。
もちろん、どの運行会社でも似たり寄ったりのサービス、所要時間のバスを運行しているのであれば、問題はありません。しかし実際は会社によってバスのタイプも異なれば、所要時間も異なります。
たとえばある会社のバスはパタヤまでの道中、複数の町を経由してお客さんを乗り降りさせるため、時間がかかります。また別の会社のバスはマイクロバスでの運行で、乗り心地がよくありません。
またパタヤが通過点のため、大通りのバス停で降ろされるバスもあります。その場合、バス停から街中までの移動は、地理不案内な旅行者を割高な運賃で待ち伏せる「ソンテウ」(トラックの荷台に座席を設えたローカルの乗りもの)に頼らざるをえません。
さらになかには「ロットゥー」(ハイエースバンに4列シートを詰め込んだ車両)で運行する会社もあります。ロットゥーは車内も狭く、荷物を置くスペースも十分にはありません。もし乗ってしまうと、窮屈な姿勢のまま、約2時間の辛い旅を体験することになってしまいます。
初心者におすすめの利用法
はじめてパタヤを訪れる旅行者におすすめなのは、ターミナルを入ってきっぷ売り場のいちばん右の「13番ブース」の「ROONG REUANG COACH」という大手バス会社です。
13番ブースの「ROONG REUANG COACH」が運行するパタヤ北ターミナル行きのバス。ソンテウに乗り換え、50バーツ(約240円、2026年10月現在)程度で市街地中心部にアクセスできる(植村祐介撮影)
このバスは終着地が「パタヤ北バスターミナル」で、市街地への連絡もスムーズです。また週末など混雑期には売り場に列ができますが、販売状況によって臨時便も追加設定されるため、それほど長い待ち時間にはならないのが通例です。
もしこのブースに長い行列ができていたり、ブースに表示されている出発時刻が1時間後だったりすると、列もなく、出発時刻も早い他のバス会社を選びたくなります。しかしそれは旅慣れていて、かつバスの経由地やパタヤでの降り場などの詳細がわかる人以外には、おすすめできません。
バンコクからバスでパタヤを訪ねる際は、日本では考えられない「バスの呼び込み」という落とし穴に留意し、快適な移動を楽しんでいただければと思います。
