疲労を感じているときにしっかり休むには?(画像はイメージ)
「五月病」という言葉があるように、5月は憂鬱(ゆううつ)になりやすい時期です。「疲れて何もしたくない」「趣味や楽しみだったことをやる気力がない」「何をしても楽しくない」などと感じるとき、単なる疲れなのか、うつ病の可能性があるのか分からないことがあります。
実際に疲労なのか精神疾患なのかを見分けるポイントはあるのでしょうか。疲労と精神疾患の分かれ目や、しっかりと休む方法などについて、心理カウンセラーのうるかすさんに聞きました。
日常生活に支障が出ている場合は受診の検討を
Q.人によっては何をしても楽しくないことがあります。単なる疲れなのか、うつの一歩手前なのかを判断する目安はありますか。
うるかすさん「一時的な落ち込みや疲れとうつの大きな違いは、『ストレスの要因から離れたり休息をとったりしても、簡単に回復しない』という点が挙げられます。
もしも落ち込みや疲れの要因となる事象から離れたり改善されたりすることで、少しずつ回復するようであれば、うつではなく他の要因が考えられるかもしれません。
うつの場合も、軽度であれば休息によって回復する場合もあるのですが、抑うつ状態があらわれる症状はうつ以外の疾患のケースも考えられるため、安易に自己判断することはリスクにもなります。
『うつ』として診断されるには、医師からの問診や心理検査など、さまざまな結果をもとにして複合的に判断するため、ご自身で判断するのは難しいところではあります。
例えば、気分の落ち込みや憂鬱な気持ち、何をしても楽しくないというような精神的な症状のほか、疲労感や睡眠障害などの身体的な症状によって、日常生活に支障がある状態が長期間(2週間以上)持続している場合などがうつの診断条件の一例として挙げられます。
もしも、長期間このような症状に悩んでいるという場合、精神科や心療内科の受診を検討していただくと良いかもしれません」
「休まなければ」という気持ちが負担になる場合も
Q.家族や職場の同僚などから「休め」と言われても、休み方が分からない場合があります。心理学的に有効な「真の休息」とはどのような状態を指しますか。
うるかすさん「休息というと、長時間眠ったりひたすら体を休めることをイメージする人が多いかもしれませんが、ただやみくもに横になって睡眠時間を確保すれば良いというわけではありません。いわゆる『寝だめ』のような行動を取ると、かえって生活リズムや自律神経を乱す要因になってしまい、余計に疲労を感じてしまうリスクもあります。
また、知らず知らずのうちに『効率的に休まなければならない』『しっかりリラックスしなければならない』といった思いが強くなっている場合、それ自体が新たな負担となり、かえってうまく休めなくなってしまうこともあります。
さらに、楽しむことや何も生産しない時間に対して、どこかで罪悪感を抱いてしまう人も少なくありません。例を挙げると、自宅で1日何もせずに過ごすような時間を、『これでいい』と受け止められるかどうかも、休息の質に関わってきます。
『しっかり休む』ために重要なことは、自分自身にとって負担がなく、安心できることをするという点です。
例えば、一般的にリフレッシュや気分転換の一環として適度な運動をすることは心身によいとされていますが、もしも『今日は1人で家にいたいな』という気分であれば無理に外に出る必要はありません。
家の中でできることを習慣にしたい場合、ストレッチをしてみたり、ベランダに出て軽く日光浴をしてみたりなど、『休みたいときにはこれをする』という行動や習慣を作ることで、自然に体も緊張や不安から解き放たれてリラックスできるようになります」
我慢癖を改善するには?
Q.周囲に相談できず、「自分が我慢すればいい」と思ってしまう癖がある場合、どのように変えればよいのでしょうか。
うるかすさん「『自分が我慢すればいい』という考え方は、よく言えば他人に配慮して、協調性のある思考・行動と捉えることもできます。
しかし、このような『自己犠牲』の感覚や行動パターンが癖になってしまうと、限界になるまで自分の気持ちにふたをし続けて、気付いたころには体も心もボロボロになっていたという状況になりかねない、非常にリスクの高い状態です。
『本当は断りたいけど、頼まれた仕事だから我慢して引き受けた』というケースがあったとして、自己犠牲の傾向のある人は、『断るのはよくないこと』と無意識のうちに感じていることが多いです。
このような考え方になるのは、例えば幼いころから『お姉(兄)ちゃんなんだからしっかりしなさい』と言われ続けて、怒りや悲しみといった気持ちを抑え込む場面が多かった、といった経験が積み重なっていることによって起こります。
加えて、カウンセリングの場では、そのように抑え込まれてきた怒りの感情を、関係の中で少しずつ扱っていくことがあります。
怒りを表現したとしても、関係が壊れたり、相手から拒絶されたりするわけではない、ということを体験的に学び直していくプロセスです。
ただし、怒りは必ずしも分かりやすいかたちで現れるとは限らず、ごく小さな違和感や引っかかりとして現れることも少なくありません。
そのためカウンセラーは、そのささやかな怒りの芽が再び押し込められてしまわないように、丁寧に気を配りながら関わっていくことがあります。
癖になってしまっている思考を変えることはそう簡単ではありませんが、まず第一歩のプロセスとして『我慢していることに気付いてあげる』というのが重要です。
我慢することが当たり前になっている人は、今自分が我慢をして自分を苦しめているという状況に気付くのも難しくなっています。相手がどう思うかは別として、『これは嫌だ』『やりたくない』という思いが湧き上がってくることは自然なことであって、その感情すらも押し込まなければいけないわけではありません。
まずは自分の気持ちと向き合い、自分の心と対話する習慣を身に付け、『今自分はどういう感情になっているのかな?』ということを少しずつ意識してあげると、自分がどういう心の状態なのかを少しずつ把握できるようになります」
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無意識に行っている行動や感じている思考は、自分で気付くことがなければなかなか改善することは難しいかもしれません。
なかなか疲労感が抜けないと感じている場合は、「我慢や無理を重ねていないか」と、一度自身の心に問いかけて、ゆっくりと向き合ってみる時間をつくってみてはいかがでしょうか。
オトナンサー編集部
