国が高速道路料金の抜本的な見直しを進め、近く中間答申を発表する見込みです。休日割引や深夜割引など、各種割引は大幅な見直しが図られそうです。
全ての割引施策を見直しへ
国土交通省が2021年7月26日(月)、第51回目となる有識者会議「国土幹線道路部会」を開催。今後の高速道路料金施策について中間答申の案が国交省側から発表され、意見が交わされました。
答申案では、「速やかに実現すべき料金制度のあり方」として、各種割引制度の課題と見直しの案が次のように示されています。なお、すべてETCの割引制度です。
深夜0時からの割引適用を待つため、東名・東京料金所に溢れるトラック(画像:国土交通省)。
●深夜割引
・概要:毎日午前0時~4時の間に利用すると30%割引。
・課題:割引適用待ちの車両が滞留。荷主に対して立場の弱い運送事業者が割引適用の深夜に走行せざるを得ないとの意見があり、深夜割引がトラック運転者等の労働環境の悪化につながっている。
・見直しの方向性:割引適用時間帯を拡大し、適用時間帯の走行分を対象にする。割引率を段階的に拡大・縮小させるような工夫についても検討すべき。
●大口・多頻度割引
・概要:ETCコーポレートカードの割引。車両単位と契約単位の割引の双方がある。車両単位の最大割引率で40%(ETC2.0搭載車)。
・課題:深夜割引と重複適用されるため、構造物に与える影響の観点から割引率が高すぎるという指摘と、物流支援の必要性から拡充すべきとの指摘の双方がある。
・見直しの方向性:現下の経済状況を踏まえた拡充と、原因者負担の公平性の観点からの縮小の両面について、引き続き検討。
●休日割引
・概要:土休日に地方部の高速道路で普通車・軽自動車等の料金が30%割引。
・課題:繁忙期の渋滞を激化させている。より効果的に観光需要を喚起する必要。
・見直しの方向性:繁忙期や休日夕方の帰宅時間帯などに割引を適用しない。観光周遊等を対象とした割引の拡充(高速道路会社が地域ごとに設定しているETC乗り放題プランなど)。
また、事前登録が必要なETCマイレージサービスや、この登録者に適用される「平日朝夕割引」についても見直すことが明記されています。
このほか、混雑を緩和する変動料金の導入や、車種区分の見直しなど、答申では広範にわたって料金の見直し案が示される見込みです。