ドアに「青い小さなスポンジ」が?
歌やダンス、ドラマなどのエンターテインメントから、メイクにファッション、グルメまで、次々と新しいトレンドを生み出している韓国。羽田空港から2時間半余りと近いこともあって、韓国旅行も大人気となっています。
韓国では多くのクルマが「ドアガード」を付けたまま走っている(まるも亜希子撮影)
そんな韓国に、筆者(まるも亜希子:カーライフ・ジャーナリスト)は2026年の初夏、現地メーカーの取材のために訪れました。そして現地の路上を眺めていた際、道行くクルマに“謎のアイテム”が付いていることに気が付きました。
それはドアの端っこに取り付けられた、小さな「青いスポンジ」のような物体です。このスポンジ状の物は乗用車だけでなく、タクシーやハイヤーのようなフォーマルなクルマまで、多くの車両が取り付けていました。黒塗りのセダンには、どう考えてもミスマッチな青いスポンジ。これはいったい何なのでしょうか。
筆者は韓国の自動車メーカーの工場(スポンジはここでも目にしました)で、担当者にその正体について聞いてみました。すると、これは「ドアガード」と呼ばれていると教えられました。
ドアガードは新車が工場から出荷される際に付けられる物で、輸送中や納車時に傷がつかないようにする保護材です。そのため、本来は納車されたらすぐに外してしまうのが前提の作りになっています。
しかし韓国は駐車スペースが狭く、狭い間隔や区画での駐車が日常茶飯事なのだとか。そのため、韓国ではドアを開けた時のいわゆる「ドアパンチ」の発生がとても多く、「ドアをぶつけてできる傷」という意味の「ムンコク」という韓国語まであるといいます。
そこで「ムンコクの防止にちょうどいいから」と、新車を受け取ってもドアガードを外さず、そのまま保護材として使う人が増えたのだそう。最近では、わざわざドアガードだけを購入して中古車に付ける人もいるうえに、現地ではこの光景を、「クルマ文化の象徴」として面白がっているような側面もあるということでした。
日本も都市部などでは駐車スペースや道の狭さが顕著ですが、さすがに韓国の人々のように、納車時のボディ保護材をドアパンチ対策として付けたまま走っているクルマはそういないでしょう。お隣の国だけに身近な土地でもある韓国ですが、知っているようでまだまだ知らないことも多いなと肌で感じました。
