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セールスパーソンに欠かせない「質問力」...ニーズの核心を突く、聞き出し方とは?(大関暁夫)

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ここまでの一連のシリーズのうち、前回(営業活動の成功率高めるには?...最重要ポイントは「ヒアリング」、どこを意識して聞いたらよいか?)は、フィールドセールス部隊の重要なステップである「ヒアリング」に関し、特にその基本となるヒアリング・ポイントについて「3Cトライアングル」の考え方に沿って説明しました。今回は、「ヒアリング」の前提となる「質問力」についてお話します。

「欲しい情報を聞き出す」営業の5つのステップとは?

私は常々、営業の5ステップの中で、「ヒアリング」が最も難しいと強調しています。その理由は、ヒアリングで相手とのやりとりを経て、「欲しい情報を聞き出す」という目的を達するためには、準備とノウハウの吸収、さらにトレーニングが必要だからです。

繰り返しますが、セオリーとしての営業のステップは、「予備調査」→「カットイン」→「ヒアリング」→「セールス」→「クロージング」の5ステップです。オンライン営業導入によって、インサイドセールス部隊とフィールドセールス部隊への分業体制が確立された場合、前者がはじめの2ステップ「予備調査」→「カットイン」を、後者が「ヒアリング」以降を担当します。

しかし、「脈あり」として、フィールドセールス部隊に、情報トレースされたターゲット先であっても、アポイントを取り付けた後にいきなり「ヒアリング」から入ることが出来るのかと言えば、答えはNOです。

インサイドセールス段階でのメール等のやり取りで、企業として自社を知ってもらい、それなりの親近感を得ていたとしても、フィールドセールス担当は相手にとって初対面者ですから、いきなり「ヒアリング」から入るのはハードルが高いのです。まずは、相手のヒアリングに対する警戒心を解くことから入るのが常套です。

そのためには「予備調査」→「カットイン」のステップが、この段階でもそれなりに必要であると言えます。

「予備調査」をしっかりおこない、奥行きのある質問を

ここでの「予備調査」は、前回説明した「3Cトライアングル」における下のトライアングルが必要事項です。

具体的には、「自社商材に関する十分な知識」、「相手先企業の基本事項(業種、ポジショニング、沿革、業界情報等)」、「考え得る自社の競合先と想定されるその提案」――この3つが重要です。加えて、インサイドセールス部隊がどのようなアプローチをして、どのように関心を示してくれたのかについても、しっかり情報共有することは当然です。

「自社商材に関する十分な知識」は、これがないと、的確な質問ができないという「質問力」養成の必須要素です。商品知識がないと、なぜヒアリングうまくいないのかといえば、人間は自分が持っている情報や知識の範囲内でしか質問ができないからです。

テレビのインタビューや対談番組などでも聞き手が「下手くそ」だと感じる時は、大抵その人の知識が不足しているのです。営業ヒアリングの場において、もし質問内容が陳腐であったなら、相手からこの聞き手は知識が浅いと思われてしまい、「ヒアリング」ステップは不調に終わってそこから先には進めなくなるでしょう。

一方「相手先企業の基本事項」は、初対面での「カットイン」時の予備知識として不可欠です。

この予備知識を織り込みながら、「御社のことを知っています」「関心を持って調べてきました」という話から始めることは、営業折衝における「イロハのイ」です。

相手からすれば、自社に関心を持ってくれているという事実は、営業マンが誰にでも一律のセールスをしているわけではなく、自社のことを調べた上で「役に立てそうだ」と思ったから声を掛けてきた、という印象を持たせることにつながります。そうすると、ヒアリングに協力的になる条件が整うのです。

ヒアリングでの最大の目的は、質問を重ねて、ニーズに関してより核心に近づくことであり、相手の回答により多くの必要情報を盛り込ませるような聞き方が必要です。

ここで「質問力」の差が出るわけなのです。「質問力」の大前提は、非定型質問を基本としてヒアリングを仕掛けるということです。

非定型質問とは、「YES」「NO」で答えることが出来ない質問です。逆に「YES」「NO」で答えられる定型質問、たとえば、「...の理由は〇〇でしょうか?」というような問いかけでは、「そうですよ(YES)」と答えられた段階で、やり取りが完結してしまいます。すると、聞き手が手詰まりになる可能性が高くなってしまうのです。

5W1Hを上手に組み合わせて質問!

初歩的な非定型質問ヒアリングとして、5W1Hで質問を繰り出していくというやり方があります。

What(何が)、When(いつからorいつまで)、Who(誰が、誰に)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)を、上手に組み合わせて質問を繰り返していくことで、質問が途切れずに核心に近づいていくことが可能になるのです。

ひとつの事柄に関し、最大6つの非定形質問でヒアリングをすることを基本に据えれば、「質問力」は確実に高まって、手にする情報量は目に見えて増えることでしょう。

以上をまとめると、「ヒアリング」ステップで真のニーズを聞き出し有効なセールスにつなげるためには、「質問力」の向上が不可欠であるということ。そして、「質問力」の向上にはまず、「予備調査」をしっかりおこない奥行きのある質問ができる下地づくりをする。

そのうえで、5W1Hを駆使した不定形質問を繰り返しながらニーズの核心に迫っていくことが、次なる「セールス(プレゼンテーション)」のステップをより有益なものにするのです。

あとは場数を踏むこと、あるいは経験豊富な上司や実績が上がっている先輩のヒアリングの仕方を見て学ぶことで、「質問力」は確実に磨かれていくはずです。(大関暁夫)

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