「5か月通行止め」の国道に並行する「中部縦貫道」いまどうなってる?
長野県松本市と岐阜県高山市を結ぶ主要ルートである国道158号が、土砂崩れにより長期の通行規制を余儀なくされています。そうしたなか2026年6月、国道158号の代替路として整備が進められている高規格道路「中部縦貫自動車道」の事業評価が行われ、関係者間で進捗が共有されました。
安房峠道路の平湯料金所。高山東道路はここからさらに西へ延伸する区間(乗りものニュース編集部撮影)
中部縦貫道は長野県松本市を起点に、岐阜県高山市などを経て福井県福井市に至る延長約160kmの計画で、文字通り中部山脈を縦断して長野道-東海北陸道-北陸道を連絡します。特に岐阜(東海北陸道)-福井(北陸道)を結ぶ区間は、工事が佳境を迎えています。
一方、今回の不通区間と並行する岐阜県内の区間が、「高山清見道路」と「高山東道路」です。
「高山清見道路」は高山市街地の高山ICから東海北陸道の飛騨清見ICまで15.2kmが暫定2車線で開通しており、高山市から山を越えて高速道路へアクセスする地域に不可欠な道路となっています。これをさらに長野県寄りの丹生川町まで9.5km、延伸させる事業が進められています。全線では24.7kmの道路になります。
この区間では改良工や橋梁工事などが進められていますが、2022年に一部の切土法面で地滑りが発生し、対策として当初の切土工法からトンネル構造へ変更することになり、事業費が59億円増加しました。さらに、近年の物価上昇も影響し、合計で108億円の事業費増額となっています。
2025年度末での事業進捗率は用地については100%ですが、全体では約61%という状況。ただし、2024年度末の段階からほぼ進捗率は動いていません。
安房峠から“もう一本”の長大トンネル建設へ
もう一方の「高山東道路」は、長野・岐阜県境部を貫く「安房峠道路」の高山方面への実質的な延長区間にあたります。平湯ICから西側の久手IC(仮称)までの5.6km区間が、2024年度に新規事業化されました。
この区間の大部分は、平湯峠を貫く約4.9kmの長大トンネルです。並行する国道158号のカーブが多い区間をバイパスするルートとなります。ちなみに、安房峠道路の「安房トンネル」は標高1373mと、NEXCOが管理する有料の自動車専用道路としては最も高い位置を通ります。
計画では、延長約5km、最大土被り500mという高土被りのトンネルとなり、断層破砕帯などが分布する難しい地質状況が予想されるため、現在、ボーリング調査や空中電磁探査などで着工前の重点的な準備が進められています。
こちらの区間も、物価上昇により52億円の事業費増額が見込まれていますが、未だ地質調査などの段階のため、全体の進捗率は2025年度末で1%にとどまります。なお、これら事業評価資料は今後修正の可能性があるとされています。
事業化していない区間で崩れて「大迂回」
他方、高山東道路と高山清見道路のあいだ約17kmの区間は、中部縦貫道が事業化されていません。国道158号が災害で長期通行規制となっているのは、まさにこの区間です。2026年2月に土砂崩れが発生し、復旧作業中の4月にも同じ箇所で再び土砂崩れが起こりました。
2026年2月25日の土砂崩れ発生直後の国道158号(画像:国土交通省)
これにより、崩落現場の前後約2.4kmが全面通行止めとなっているほか、丹生川町から安房峠道路の平湯IC付近へ抜ける約27.5kmの区間でも大型車の通行規制が続いています。
このため、ドライバーは大幅な迂回を強いられています。関係機関が推奨する広域迂回ルートの一つは、国道41号を北上し国道471号を経由するものですが、高山市街地から平湯ICまでの距離は、国道158号経由の約33kmに対し、2倍以上の約75kmに及びます。国道158号の長期不通は、改めてこの地域の交通の脆弱性を浮き彫りにした形です。
ちなみに、中部縦貫道のルートは「東京~北陸」、富山西部や金沢、福井との最短路にもなり得ます。たとえば富山県の氷見漁港から東京の豊洲市場までの輸送時間は、中部縦貫道経由で約5時間から約4時間へと短縮されるといいます。
ただし、岐阜県よりも遅れているのが長野県側で、長野道から続く「松本波田道路」の5.3kmについては建設が進んでいますが、そこから安房峠道路までの最も険しい山岳区間(波田~中ノ湯、約27km)については事業化されていません。
