「黒字でも運賃値上げ」要求
2001年に始まる21世紀は、2026年で4分の1が経過したことになります。2001年といえば11月にJR東日本でSuicaが導入され、12月に湘南新宿ラインの運行が始まりました。一方、25年後、2051年の総人口は9515万人、しかもその4割が高齢者になると予測されています(国立社会保障・人口問題研究所最新推計)。
2026年3月の運賃改定でJR山手線内は19%以上の値上げとなる区間も(画像:写真AC)
その頃の日本がどうなっているのか、未来予想は容易ではありませんが、私たちは1年1年を積み重ねて生きていくしかありません。その第一歩となる2026年の鉄道はどんなトピックスがあるのでしょうか。
まずは、毎年の恒例行事となりつつある運賃値上げです。すでに認可を受けているJR東日本と西武鉄道が3月14日に運賃改定を実施します。改定率(値上げ率)はJR東日本が平均7.1%、西武鉄道が平均10.7%ですが、JR東日本については電車特定区間、山手線内の運賃区分を廃止するため、東京~新宿間など近距離では19%以上の値上げとなる区間もあります。
2022年の東急電鉄に始まる過去の運賃改定は、総括原価方式という運賃算出制度のもと、コロナ禍の影響で赤字となった鉄道事業の収支を改善するために行われました。つまり鉄道事業が黒字のJR東海、JR西日本は、現行制度では運賃改定を行えません。
しかし、足元では物価の高騰、人件費の増加、金利上昇が急速に進み、長らく続いたデフレ経済、超低金利時代は過去のものとなりました。赤字になるまで運賃を値上げできないのでは、安定的な設備投資は不可能として、JR東海とJR西日本は物価に連動した運賃改定を認めるよう要求しています。主張が認められれば、運賃改定の波はさらに広がっていきそうです。
地方私鉄は「試練の1年」に?
収支悪化で廃線の危機を迎える路線も増えています。富山県で100km以上の路線網を持つ富山地方鉄道は「本線滑川~新魚津間、立山線岩峅寺~立山間について、2025年中に地域から必要な支援を得られなければ2026年11月に廃線する」と沿線7市町村に通知し、協議を開始しました。
富山県と沿線自治体は2026年度の支援を決定し、廃線危機はいったん回避されましたが、2026年中に中長期的な路線維持の議論を進める予定です。今年は富山地方鉄道のみならず地方私鉄にとって重要な1年となるでしょう。
3月のダイヤ改正では、近年のトレンドであるワンマン運転の拡大が目立ちます。JR東日本は横浜線・根岸線(八王子~大船)の8両編成、仙石線(仙石東北ラインを除く)でワンマン運転を開始。
ただ、前年にワンマン化した南武線では、10分以上の遅延が2倍になるなど、システムの変更に伴う問題が拡大しました。JR東日本は今回のダイヤ改正で、これまで実施してきた遅延防止対策実施後の状況や利用状況を踏まえ、南武線の「停車時間の調整や折返し時間の拡大など一部ダイヤの見直しを行い、安定性を向上」させるとしています。教訓は新規導入区間にもしっかり反映されるでしょうか。
また、東武鉄道は伊勢崎線(東武スカイツリーライン)の緩行線北千住~北越谷間で、ホームドア整備完了に伴い3月14日から普通列車のワンマン運転を開始します。東横線、目黒線などをワンマン化した東急電鉄に続く、本線都心区間での本格的なワンマン運転として注目です。
JR東日本で始まる二つの「新たな取り組み」
今回のダイヤ改正では、開業から40年以上が経過してリニューアル工事や地震対策工事が必要な東北新幹線東京~盛岡間、上越新幹線高崎~越後湯沢間について、最終列車が20分程度繰り上げられます。すでに大宮~高崎間と越後湯沢~新潟間は2024年に繰り上げを実施しており、施工効率が10%以上改善するなどの成果を上げていました。
加えてJR東日本は2025年12月9日、サステナブルな鉄道メンテナンス体制を構築するため、2026年度中に京浜東北線(田端~田町)と横須賀線(東京~品川)で日中時間帯の運休を伴う工事を行うと発表しました。
夜間工事は長時間を確保できず、準備作業と復旧作業の時間も必要です。また、夜間中心の勤務形態が忌避され鉄道工事従事者の確保が困難になっていることから、日中に集中して効率的に作業します。
京浜東北線は平日の連続した3日間の日中時間帯に実施する計画で、作業中は山手線の線路を電車が走ります。横須賀線は金曜終電から日曜初電まで連続した工事を行い、横須賀線は品川、総武線快速は東京駅で折り返す計画です。今後、他路線への拡大は効果を見ながら検討する方針です。
もう一つ注目すべき新たな取り組みが、「E3系」の座席を撤去し、床面をフラット化した荷物専用新幹線のデビューです。2025年秋の登場を予定していたところ、「E8系」の補助電源装置トラブルの影響で延期していましたが、いよいよ3月23日に運行を開始します。
列車は盛岡~東京間でE5系「やまびこ」の旅客営業列車と連結して走行します。積載量は最大1000箱(計17.4トン)で、荷物は盛岡新幹線車両センターと東京新幹線車両センターで積み降ろし、途中駅での取り扱いはしません。車両センター内の輸送には、段ボールを搭載し自動走行が可能な「AGV(無人運搬車)」を使用し、省力化を図ります。
まずは盛岡を正午前に出発し、東京に16時頃に到着する上り列車1本の運行ですが、需要を見ながら仙台~東京間、東京~新潟間など他方面への展開、下り列車の設定を検討していくといいます。
今後、働き手も乗客も減っていく中で、鉄道事業者は新時代のあるべき姿を模索しています。2026年はそんな未来が垣間見える1年になるでしょう。
