「ご飯」「パン」「シリアル」はいずれも、朝食の“主食”の定番。毎日、好みや気分によって選んでいるという人も多いのではないでしょうか。一方で、ダイエット中は「どれを選べばいいの？」と悩む人も少なくないようで、「ご飯とパンは太りそう…」「牛乳と食べるシリアルがよさそう」といった声や、そもそも「ダイエット中は朝食を抜く方がいいのでは？」という意見も聞かれます。
ご飯、パン、シリアルのうち、ダイエット中の朝食に選ぶべき「主食」はどれなのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんが解説します。
ダイエット中も朝食を食べる方がいい「4つの理由」
ダイエット中に最適な「朝食の主食」は何なのか、という疑問以前に「そもそも、ダイエット中でも朝食を食べていいの？」「ダイエットをしているときは、朝は食べないようにしているんだけど……」という人もいるかもしれません。
私は、ダイエット中も「朝食を食べる」ことを推奨しています。その理由は、次の4つです。
（1）体温と代謝が上昇する
（2）腸のぜん動運動が促進され、便秘予防につながる
（3）血糖値の上昇を分散させて、急激な上昇を防止できる
（4）昼食のドカ食いを防止できる
血糖値が急激に上がると、血糖を脂肪として細胞内に取り込む働きがある「インスリン」が分泌されます。食事回数を分散することで、血糖値の急上昇を避けることができると考えられます。
また、体は糖を中心に代謝を回し、エネルギーを作ります。寝ている間にも糖は消費されているので、朝一番に朝食で糖を中心とした栄養素を補給することは、しっかりと代謝を回すために大切なことです。
では、ダイエット中に最適な朝食の主食は、「ご飯」「パン」「シリアル」のどれなのか。全体的な栄養バランスが重要なので、3つのうちのどれが“最適”だと言い切ることはできませんが、あえて選ぶなら「ご飯」です。
ご飯を主食にするといい理由は、「米は咀嚼（そしゃく）回数を稼ぎやすく、満腹中枢を刺激しやすい」「ご飯自体に脂質が少ない」「脂質が比較的少ないメニュー（焼き魚、みそ汁、納豆、おひたしなど）を組み合わせやすい」ということが挙げられます。
パンはそれ自体に脂質が含まれる上、おかずやトッピングになるのはハムやソーセージ、スクランブルエッグなど、脂質を多く含む献立構成になりやすいです。つまり、ご飯の方が、栄養バランスを取りやすいという意味で優れているといえるでしょう。なお、白米より玄米や雑穀米の方が、消化に負担はかかるものの、代謝に必要なビタミンやミネラルが含まれ、食物繊維も豊富です。
なお、各主食のメリット／デメリットは次の通りです。ダイエット中だけでなく、普段の朝食でも参考にしてみてください。
【ご飯】
・メリット：ご飯自体に脂質や添加物が少ない。低脂質のおかずも合うため、栄養バランスが取りやすい
・デメリット：おかずの塩分が多くなりがちで、人によってはむくみやすくなる
【パン】
・メリット：手軽に食べやすい。焼いても、そのままでも食べられる
・デメリット：脂質が増えやすいメニュー（卵料理、加工肉など）と合わせがち。サラダを組み合わせた場合も、ドレッシングをかけることで脂質や余分なカロリーを取り過ぎる恐れがある。パンに蜂蜜やジャムなどを塗ると血糖値が上がりやすい
【シリアル】
・メリット：牛乳をかけるだけで手軽に食べられる。食物繊維を摂取できる種類の商品もある
・デメリット：牛乳とシリアルだけでは、ビタミンCなどの水溶性ビタミンが不足しやすい。シリアルやグラノーラはたっぷりの砂糖やドライフルーツなどが添加されており、血糖値が上がりやすい
慌ただしい朝の時間に、理想的な朝食を準備するのは大変なことです。それぞれの主食のメリット・デメリットを意識しつつ、「ご飯を食べるときは、一緒に納豆を食べるようにする」「主食をパンにするときは、ゆで卵を組み合わせる」「シリアルは砂糖なしのものを選ぶようにする」など、まずは簡単にできそうなことからチャレンジしてみましょう。「無理なく継続できる」ことが何より大事です。
オトナンサー編集部
