東海道新幹線の「こだま」は、各駅に停車するため時間がかかるイメージですが、だからこそゆっくり、じっくり新幹線の旅を堪能できるのがメリットです。しかも「のぞみ」より安く利用できます。どのような方法があるのでしょうか。
むしろ「こだま」もあり?
東京?新大阪を結ぶ日本の大動脈、東海道新幹線。私(和田 稔:鉄道ライター)もよく利用しますが、急ぎの用事ならともかく、時間がある時は「こだま」のグリーン車に乗車することもあります。各駅停車の「こだま」は時間がかかるイメージですが、だからこそじっくりグリーン車を堪能しよう、という作戦です。安く、じっくり利用するには、どのような方法があるでしょうか。
東海道新幹線(乗りものニュース編集部撮影)。
そもそも新幹線のグリーン車と聞くと、相当な料金がかかるのでは……と感じてしまいますが、商品によってはとてもお得に乗れるのです。
1人の場合に最も安く乗れるのは「EXこだまグリーン早特3」です。「エクスプレス予約」「スマートEX」から購入できる商品で、グリーン車にもかかわらず東京~名古屋間は9170円、東京?新大阪間は1万1140円です。予約は乗車日の3日前まで可能で、「早めに予約してくれるなら安い価格で販売しますよ」というパターンのひとつです。
ただし、販売座席数に限りがあること、また、ヘビーユーザーを中心に知れわたっているためか、週末を中心に発売開始からあっという間に売り切れてしまいます。平日ならまだしも、金曜?日曜は争奪戦と考えて良いでしょう。実は私も「EXこだまグリーン早特3」を購入できたことはありません。
やっぱりリーズナブルな商品は、売り切れるのも早いのか……と肩を落とすのはまだ早いです。「こだま」は他にもお得なグリーン車の乗車方法があります。それが「ぷらっとこだま」です。
「ぷらっとこだま」のメリットとデメリット
「ぷらっとこだま」は、JR東海ツアーズが販売する募集型企画旅行です。ただ、実際には「ちょっと制約の多いきっぷ」と考えても差し支えありません。「エクスプレス予約」「スマートEX」の会員登録が必要ですが、会費無料の「スマートEX」でも大丈夫です。
東海道新幹線N700Sのグリーン席(画像:写真AC)。
値段は東京?名古屋間が9720円、東京?新大阪間が1万2470円。「EXこだまグリーン早特3」に比べると割高ではありますが、直前でも比較的空きが見つかりやすい点はメリットです。
購入は乗車前日の23時30分まで可能で、シートマップによる座席指定もできます。チケットレスで券売機に並ぶ必要はなく、乗り換え改札口の利用も可能です。この辺りは「エクスプレス予約」「スマートEX」と同等の恩恵を受けることができます。
さらに電子チケットによる1ドリンク引換券が付いており、乗車日当日から8日間まで引き換えが可能であることもうれしいポイントです。対象ドリンクは指定の駅売店で販売されている320円以下のもので、それを加味するとさらにお得という見方もできます。
ただし、「ぷらっとこだま」の制約として、他の列車への変更が一切できないこと、予約した乗車・降車駅以外での乗降が不可能(東京・品川のみ有人改札で乗降可)であることとが挙げられます。乗り遅れたら無効となり、払い戻しや後続列車の自由席利用はできません。手前の駅で下車することなども不可能で、注意が必要です。
ちなみに「ぷらっとこだま」は普通車指定席も販売されており、東京?名古屋間が8810円、東京?新大阪間が1万1210円と東海道新幹線の中では最安値ではあります。ただ、それぞれ910円、1260円をプラスするだけでグリーン車を利用できるというコストパフォーマンスが大きな魅力であり、「グリーン車なら『こだま』でゆっくり移動しても良いかな」と思わせてくれるのです。
各駅停車で「のぞみ」の通過待ちも多い「こだま」だからこそ、その特徴を逆手にとって、お得にたっぷりグリーン車を味わう。落ち着きのある車内で、ゆったりと読書や物思いにふけりながら移動するのも良いものです。