F-35Aの雷雨での飛行制限が解除されたと4月1日、アメリカで報じられました。愛称が「ライトニング」なのでエイプリルフールを疑う人もいるかもしれませんが、本当の話です。
取材を担当した記者が「エイプリルフールではない」とコメント
アメリカの防衛系メディアである「ブレイキング・ディフェンス」は2024年4月1日、ステルス戦闘機であるF-35A「ライトニングII」の雷雨での飛行制限が解除されたと報じました。
F-35A「ライトニングII」(画像:アメリカ空軍)。
記事によると、国防総省は3月19日、雷雨での飛行制限を正式に解除したと同メディアに明かしたとのことです。この報道には、愛称が「雷光」を意味する「ライトニング」でありながら「今まで雷雨を飛行できなかったのか」と、本国でも驚かれたようです。
また、記事公開日が4月1日、つまり「エイプリルフール」だったため疑う人もいたようで、取材を担当したヴァレリー・インシナさんは公式X(旧Twitter)で、記事リンクとともに「エイプリルフールの話ではないと誓います(笑)」とコメントしています。
F-35は2020年6月に機内不活性ガス発生システム(OBIGGS)に設置されているチューブに不具合が発見されて以降、落雷時に機能するかが疑わしくなったため、雷から40マイル(65km)以内での飛行が禁止されていたとのことです。OBIGGSはガスを発生させ酸素濃度を低下させることにより航空機の火災や爆発を防止する装置です。落雷時に機能しないまま火災が起きた際は、人命にかかわる重大事故に発展する危険性もあります。
今回の飛行制限の解除は、OBIGGSに修正プログラムを施し安全が確保されたからとのこと。なお、具体的にどのあたりが改善されたのかは、安全保障上の理由から明かされなかったようです。
実は、F-35は2020年にこの問題が生じる以前にも、雷に対する対策の必要性が訴えられていました。
本来航空機は、落雷による計器の故障を防ぐため、電流をスムーズに機体側に流す「ライトニングストリップ」という対策が施されています。
しかし、ステルス機であるF-35は、機体表面が複合材で構成されているため、受動的な雷防護の装備がないとのことで、2018年8月には日本の岩国基地に所属する海兵隊が、保有するF-35Bを雷から守るため、避雷針などの避雷装置を購入し基地内に設置する必要があると要望していました。