ツルツルで平滑に見える旅客機のボディのなかで、ドアの上には横方向に線上の出っ張りが見られます。しかし、ドアの屋根を果たすことは到底できないほど、わずかな出っ張りです。この出っ張りは一体何なのでしょうか。
ずばり「雨除け」
旅客機はフライト中の空気抵抗を減らすべく、極力凹凸のない滑らかな外装が形成されていますが、なかには出っ張った部分も見られます。そのひとつがドアの上。よく見ると、横方向に細長い線状の“出っ張り”があるのです。
JALの旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。
この出っ張りは搭乗などを行う最前方のドア、機種によってはそのほかドアの上にもついており、しかも水平ではなく、機首方向へ斜めに下がっています。
この出っ張りは、雨の際に搭乗者や荷物を雨から守るための機構です。といっても、人が雨宿りできるほどの出っ張りではなく、膨らみはごくわずかなもの。実はこれは「雨どい」の役目を果たしています。
旅客機は円形の胴体であるため、雨どいがないと機体上部に降った雨がボディを伝ってダイレクトに垂れてきてしまいます。それを防ぐために出っ張りをつけ、ドア横に雨水を流すというわけです。斜め方向についていることが一般的なのも、雨水が流れやすくするためとされています。
ちなみに、旅客機の胴体の出っ張りはほかにもあり、たとえば機首部分のヒゲのようなものは、大気速度を測るために用いられる「ピトー管」や温度計、胴体の上についた「コブ」はWi-Fiアンテナです。後者は外観で「機内Wi-Fiが使えるかどうか」見分けるポイントにもなります。