艦艇なしで黒海艦隊を後退させる。
ドローンとミサイルだけでロシア艦隊に脅威を与える
イギリス国防省は2024年2月26日、ウクライナ侵攻から2年が経過した現時点でのロシア黒海艦隊の作戦行動範囲の変化について見解を示しました。
2022年に撃沈された「モスクワ」と同型のスラヴァ級ミサイル巡洋艦(画像:イギリス国防省)。
公開された内容によると、2022年2月24日の侵攻開始当初、ロシア黒海海軍は戦闘艦をほとんど保有していないウクライナ海軍相手に、黒海全域で自由な行動能力を維持し、とりわけ黒海北西部で活発に動き、ウクライナの地上部隊や後方の都市を圧迫していました。
しかし、2024年2月時点では大きく戦況が変化し、ロシア黒海艦隊は主な活動拠点を黒海東部に移し、その作戦範囲を縮小させています。
ウクライナ軍がロシア艦隊の活動範囲を侵攻開始時より縮小させることに成功した経緯としてイギリス国防省は、ウクライナ軍が開発した水上ドローンや地上発射型の対艦巡航ミサイル「ネプチューン」、イギリスやフランスが供与した空中発射型巡航ミサイル「SCALP-EG/ストーム・シャドウ」の集中運用による、艦艇での戦闘によらない攻撃が功を奏していると報告しました。
ウクライナ側が仕掛けた水上ドローンや巡航ミサイルを用いた戦法は、ゲリラ的効果もあり、ある意味でテロ組織相手の非対称戦に近い状態になっているとのことで、イギリス国防省は「陸上と海上での複合攻撃作戦を通じて、ロシアの脅威認識を新たな高みに押し上げた」と評価しています。
なお、ウクライナの水上ドローン部隊にはタランタルIII型コルベット「イワノヴェツ」、ロプーチャ級揚陸艦「ツェーザリ・クニコフ」が、「ネプチューン」対艦ミサイルの攻撃では黒海艦隊の旗艦であったスラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」が撃沈されています。