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そば屋の隠語「直実(なおざね)」って何? 都内の超老舗店がツイートして話題に「本当に粋」「試してみたい」

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「直実にしてくれ」ってどういう意味?

 業界で通じるちょっとした隠語や専門用語は、知っていると何だかかっこよく感じるものです。とりわけ古くから伝わる日本食にまつわるものは、粋でセンスの光るものが多いよう。

 1869(明治2)年創業の老舗そば店「神田錦町更科」(千代田区神田錦町)のツイッターアカウント(@kandasarashina)が投稿したのは、そば店で通じる、ある隠語。その意味を知ったユーザーたちから、感嘆の声が上がっています。

意味を知ると納得、そば店で通じる隠語とは(画像:神田錦町更科さんのツイート)

「蕎麦(そば)屋の隠語で『直実にしてくれ』というのもあります。
 通のお客様が蕎麦をあつもりにして食べるとき、源平の戦いで平敦盛を討った熊谷直実に例えそう呼びます」

 直実は、ナオミではなく「なおざね」と読みます。熊谷直実とは平安末期から鎌倉時代初期に生きた武将。1184(寿永3)年、一ノ谷の戦いで平敦盛を討ち取った人物です。

 敦盛、あつもり、熱盛……という掛け言葉。歴史を知っていて初めて意味が分かるそば店の隠語に、なるほどと膝を打つフォロワーは多かったようで、

「こうした言葉って、本当に粋ですよね」
「直接的なネーミングをしないところが江戸の粋ですねぇ……」
「なんで討った側なんだろう? 食うから?」
「私も一度言ってみたい」「試してみたい」

と、さまざまなリプライ(返信)が寄せられました。

さくら、きん、岡にあがる……隠語いろいろ

さくら、きん、岡にあがる……隠語いろいろ

 ただ、そうした言葉を使う客は少しずつ減っているようです。

 神田錦町更科さんは同じツイートの中で、

「もう『直実』を知ってるお客様も少なくなりました」

とも触れ、フォロワーからも「こういう文化なくならないで欲しいな」という声が上がっていました。

 同店は、江戸三大老舗そば屋の麻布永坂 総本家 更科堀井の唯一の分店。初代・堀井丈太郎が神田錦町の地に分店を開業し、2021年9月現在、4代目の堀井市朗さん、5代目の堀井雄太朗さんが継いでいます。

「戦前くらいまでは、隠語が普通に使われていたと聞いています。東京生まれの江戸っ子で、蕎麦(そば)通の方が使っていたそうですね」

そばの実(画像:写真AC)

「お客さまが注文するときに使う隠語としては、ほかにも『さくら』なら蕎麦の量を少なめに、『きん』は蕎麦の量を多めに。『岡にあがる』は天ぷらを別盛りにするという意味です。いろいろありました」

 一方で、チェーンのそば店や立ち食いなどの業態が台頭し、古いお店が姿を消していくとともに、隠語を伝える人やお店も少なくなっていったといいます。

 創業から150年を超えた同店。食の多様化が進む中、そばの今後をどのように展望しているのかを尋ねました。

「蕎麦は何百年も続いたものなので無くなることはないと思いますが、新しいことにチャレンジしていかないと若い人に見放されてしまうかもしれません。アンテナを張って、ツイッターの活用や新しいメニューにもチャレンジしていきたいと考えています」

「のれん」に込められたゲン担ぎとは?

「のれん」に込められたゲン担ぎとは?

 実は同店のツイッターアカウントは、新型コロナウイルス感染拡大による1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月に開設したもの。

「あのときは売り上げが(通常時の)半分以下になりました。少しでもお客さまに知ってもらおうとアカウントを作ったところ、ツイッター上でお客さまとつながる縁もでき、たくさんの いいね やフォローが励みになっています」

 最後に、そば好きの読者にひと言をお願いしました。

「蕎麦は古い食べ物ですが、お店は努力して歴史や伝統文化を現代に伝えようとしています。隠語など難しく考えずに、ぜひ一度食べにきてください!」

 同アカウントではほかにも、店の「のれん」にまつわるゲン担ぎなど、古くから伝わる文化・伝統を発信しています。

店ののれんにも、いろいろな意味が込められているという(画像:神田錦町更科さんのツイート)

 のれんの店名を赤い字で書かないのは、赤字を連想させるから。

 のれんの枚数を奇数にするのは、奇数は割り切れず余りが出る、商売繁昌の願いが込められているから――。

 思わずへぇーっと口にしてしまうような伝統を受け継いでいる店は、東京広しといえどもずいぶん珍しく少なくなりました。

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