「1万円」という設定額が絶妙
もし1万円を渡されて、「どうぞ自由に使ってください」と言われたら、あなたならどんなお店でどんなものを買いますか――?
ちょっと夢がふくらむそんな企画を、大丸松坂屋百貨店(江東区木場)が運営する大丸東京店(千代田区丸の内)がこのたび実施しました。
コロナ禍でお出かけもしづらい今日この頃、参加者たちは思い思いのお買い物を楽しんだようです。
抽選で選ばれた100人が挑戦
2020年12月に行われたこの企画は、事前に募集し抽選で選ばれた100人が、大丸東京店の売り場を自由に回って買い物するというもの。
ルールは、
・ひとつの売り場で1商品のみ
・3か所以上の売り場で定価品を購入
・買い物の「テーマ」を設ける
・1万円(税抜き)以内に納める
とのことで、中には何時間も掛けてじっくり商品を選び抜いたという客も。
広い売り場の中で従業員同士も知らなかった名品を探し出した挑戦者もいて、同店は全100人の中から「買い物の達人」6人を選出し、発表しました。
今回、このタイミングでこうした企画を行った理由は何でしょうか? 同社担当者に話を聞きました。
非常時の備え、美、宅飲みセット
まずは「買い物の達人」に選ばれた6人の購入商品を一部紹介します。
「備えておく大切さ、いつでもどこでも持ち歩け!」をテーマに売り場を巡った客は、
・非常用寝袋 6100円(11階、石井スポーツ)
・10年保存トイレットペーパー 385円(10階、東急ハンズ)
・マスク ムーミン 748円(9階、レイジースーザン)
・ジュエリーケース 1980円(3階、インプレッション)
・干支小形羊羹(ようかん)夜の梅 291円(1階、とらや)
・甘熟干し芋スライス 648円(地下1階、らぽっぽ)
・五郎八 444円(地下1階、菊水)
・十四種雑穀ふりかけ 378円(地下1階、明治屋)
の8商品1万974円(税込み)を購入。「東日本大震災では、阪神大震災で備えたものが役立ったので、持ち出し袋に入れておくものをチョイスしました」とのことで、6人中最も多くの品数を選び出しました。
また「美」をテーマに「あこがれのデパコス(デパートコスメ)! 何を買おうかとドキドキ」しながら楽しんだ客は、
・マスカラ 748円(9階、東急ハンズ)
・コンディショニングミスト 3740円(2階、ジョンマスターオーガニック)
・THE MAKE LIP LIQUID13 3520円(2階、アディクション)
・リップベーステスター 2970円(2階、M・A・C)
をチョイスし計1万978円。
「おうち飲みを楽しく」がテーマのお買い物は、
・ル・クルーゼ アイスクーラー 2530円(10階、東急ハンズ)
・ブランケット 5500円、(9階、ドゥ・セー)
・サブレパルメザン 972円(1階、ピエール・エルメ・パリ)
・ローストビーフパヴェ仕立て 1969円 ※100g当たり891円(地下1階、ポール・ボキューズ デリ)
と、自宅でのお酒時間が楽しくなりそうなグッズ・おつまみ4商品計1万971円を選びました。
実店舗での買い物は、やっぱり楽しい
同社・首都圏PR広報の担当者によると、大丸東京店がこうした「お買い物企画」を行うのは今回が初めて。
クリスマスシーズンに合わせたキャンペーンのアイデアを練る中で、「お客様ご自身にテーマに沿った欲しいものを選んでいただいたら、より喜ばれるのではないか」と発案につながったと言います。
2020年以来長引くコロナ禍では、ゆったり売り場を回りながら商品を見定める百貨店でのお買い物も、私たち多くの一般消費者にとって“ぜいたく品”のひとつとなってしまいました。
その一方オンラインを活用した通信販売などは活況を見せているものの、
「実店舗に足を運んで商品を見比べて、自分にぴったりのものを見つけ出す楽しさをあらためてお客様に味わっていただきたかった」
と、担当者は説明します。
上記で紹介した「買い物の達人」以外にも、アルコール消毒で荒れがちな手指をケアするグッズを購入した人、外出自粛で接する機会の減った花など季節を感じられる商品を選んだ人など、コロナ禍を反映した商品選びが多く見られました。
また口々に「とても楽しい企画でした!」という感想が寄せられたそうです。
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もし百貨店で1万円分、自由に買い物できるとしたら、あなたはどんな品物を選びますか? 今回の好評を受け同店は、「いずれ第2弾を計画するかもしれません」。
東京都などへの「緊急事態宣言」発令を受けて2020年1月現在、同店の営業時間は全日10~20時。店頭に消毒液や検温器を設置するなど、感染拡大の予防対策を万全に行い、営業を行っているとのことです。