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新生「Vポイント」誕生! Ponta、楽天ポイント、dポイントに対抗...Vポイント経済圏に巻き込むには? カギはTポイントの「モバイル化」

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「Vポイント」と「Tポイント」が統合へ(プレスリリースより)
「Vポイント」と「Tポイント」が統合へ(プレスリリースより)

三井住友フィナンシャルグループ(FG)の「Vポイント」と、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の「Tポイント」が統合し、統合後の名称が「Vポイント」に統一されることになった。

さまざまな店舗や飲食店などで使える「共通ポイント」の草分けといえるTポイントの名称は、誕生から約20年で消えることになった。

新生Vポイントは、Tポイントの知名度と三井住友FGの決済サービスを組み合わせ、ポイント経済圏を広げる楽天グループなどに対抗する。

アクティブユーザーは7000万人、24年には8600万人見込む Tポイント加盟店15万店、国内外Visa加盟1億店でポイントが使える

三井住友FGとCCCが2023年6月13日に発表した。その場でお披露目された新生Vポイントのロゴは、Tポイントの象徴だった青と黄色でVを表すデザインになった。

2つのポイントの統合は、2022年10月に発表されていた。

その内容は、CCC傘下でTポイントを運営するCCCMKホールディングスに、三井住友FGが4割出資し、三井住友FG傘下の三井住友カードが運営するVポイント事業を統合し、共同運営するというものだ。

今回はその具体的戦略を発表した。

新生Vポイントは、2024年春をめどに提供を開始する。会員数は、Tポイントが約7000万人、Vポイントが約2000万人。アクティブなユーザー数に限っても、足下で7000万人、統合される2024年には8600万人に拡大すると見込む。

これにより、Ponta(1億1300万人以上)、楽天ポイント(1億人以上)、dポイント(約9500万人)のなどに匹敵する国内最大規模の共通ポイントになる。

統合された新生Vポイントは、Tポイント加盟店15万店だけでなく、三井住友VISAカード発行のクレジットカードなどを使い、Visa加盟店(国内750万店、全世界200か国で1億店)で決済した時にも、ポイントを使ったり貯めたりできる。

さらに、利用者同士でポイントを送りあうことも可能になる。こうした利用範囲の広さが大きな強みといえそうだ。

Tポイント苦戦の背景に、スマホ決済の急拡大 決済とポイントの一体化などで出遅れ

Tポイントは2003年に登場した。TSUTAYA書店のほかコンビニや外食、ガソリンスタンドなどの幅広い企業と加盟店契約を結び、各店はTポイントを集客に利用する一方、CCCは手数料と購買データを受け取るという「ウィンウィン」の関係を築き一大勢力に成長した。

だが、近年は電子商取引(EC)を軸に、決済サービスを進める楽天ポイントやdポイントに押されてきた。特に、長く協業関係にあったソフトバンク(SB)の提携を2023年3月に解消したのが決定的だった。SBがグループのキャッシュレス決済「PayPay(ペイペイ)」のポイントにシフトしたためだ。

Tポイント苦戦の背景にあるのが、スマホ決済の急拡大だ。

買い物で必ず使う「決済」とポイントが一体化することで、消費者はストレスなくポイントを利用できる。さらに、ポイントを証券投資など金融サービスに結びつけた「ポイント経済圏」が急拡大。Tポイントは決済・金融サービスとの連携に出遅れ、一気に地盤が沈下した。

新生「Vポイント」は、知名度の課題解消へ アプリを通じたスマホ決済が軸か

一方のVポイントは知名度に課題があった。

会員数約5200万人のクレジットカード大手「三井住友カード」を利用するとポイントがたまり、カードブランド「Visa」の加盟店で使える。現在、カード利用者のうち、Vポイントの会員は約2000万人で、新生Vポイントへの移行を機に、利用の拡大を図る考えだ。

新生Vポイントの方向は、アプリを通じたスマホ決済が軸になるだろう。

三井住友FGはクレジットカードやデビットカードなどが利用できる総合金融アプリ「Olive」をすでに投入し、金融や決済、保険などさまざまな金融サービスを切れ目なくつないで提供する基盤は整えている。

Tポイントアプリをニューアルする新生Vポイントアプリにも、Visaカードのプリペイドカードとしてチャージして決済できる機能を付け、オンライン決済にも使えるようにするだろう。

さらに、Visaのタッチ決済(対応のカードやスマホ登録)でもポイントを貯めたり使ったりできる――といった具合に展開していくことになる。

Tカードだけ利用する「アナログ層」のスマホアプリへの移行がカギ

ただ、相乗効果を上げるうえで、懸念されるのが、Tポイントのモバイル化の遅れだ。

Tポイント利用には、専用の「Tカード」と、スマートフォンのアプリの「モバイルTカード」の2種類がある。だが、新生Vポイントの展開がスマホ中心となれば、Tカードだけを利用する「アナログ層」が受けられる恩恵は限られてしまう。

Tポイントはもともとカードで提供されていたこともあり、Tカードのみで利用している人が4分の3程度にのぼるとされる。そうした人たちがVポイントの恩恵を広く受けるにはモバイルTカードに移行してもらう必要があるが、高齢者層を中心にスマホを苦手とする人も多いとみられる。

Tカード会員をどこまでVポイント経済圏に巻き込めるかは、Tカードのモバイル化がカギを握っている。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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