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コロナが明けたらまず行きたい? みんな大好き「食べ放題」の歴史を振り返る

アーバン ライフ メトロ - URBAN LIFE METRO - ULM

ライフ・美容

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ルーツは1980年代初頭?

 新型コロナウイルス感染拡大による非常事態宣言で、都内の多くの飲食店は休業するなど食べ歩きもままなりません。

 食べたいときに食べたいものを、思いきり食べることがいかにありがたかったのか――改めてこのことを感じつつ、今は我慢しながら「収束したら、あれを食べよう、これを食べよう」と毎日考えています。

 今や、東京の街中で「食べ放題」という文字を見かけない日はありません。非常事態宣言下にあっても「ライス食べ放題」などを打ち出し、客の減少に歯止めを掛けようとしている店もあります。どこまで行っても、人は「食べ放題」という文字に心を躍らせてしまうのでしょう。

食べ放題のイメージ(画像:写真AC)

 そんな食べ放題ですが、実はバブル景気崩壊後に本格化し、30年あまりのときを経て熟成された食文化なのです。

 もともと、食べ放題がいつどこで始まったのかは明らかではありませんが、食べ放題やバイキングという言葉をキーワードに過去の雑誌を読み込んでいくと、1980年代初頭の若者向け雑誌でそのような記事がちらほらと特集され始めていたことがわかります。

当時は「一種のキワモノ扱い」だった

当時は「一種のキワモノ扱い」だった

 当時の食べ放題は、決して多くの人が受け入れるようなものではありませんでした。主なターゲットは食いしん坊な男子高校生や大学生で、ようは「質よりも量」を求める若者たち向け。

 そのため世間の食べ放題に対するイメージは、「たくさん食べられるけれども、質は悪いし、大しておいしくない」だったのです。『週刊プレイボーイ』1982年10月5日号では、「<大盛・食べ放題>の店・チャレンジガイド」という記事を掲載しています。

食べ放題のイメージ(画像:写真AC)

 この記事、タイトルには食べ放題とは書いていますが、大盛りチャレンジメニュー系が中心。シニカルな書き方を是とする当時の風潮もありますが、そうしたメニューに対するスタンスが独特です。

「オエーッ<2Lスープ>の責め苦!!」
「70分で餃子124個食うって、人間!?」

と、今だったら取材した店からクレーム必至の言葉が並びます。

 しかし、これは当時の風潮を如実に表しています。大盛りや食べ放題は、食文化の中でも一種のキワモノ扱い。オシャレさなどかけらもなかったのです。

1990年代初頭にイメチェン

 そんな風潮がガラリと変わったのが1990年代初頭です。

食べ放題のイメージ(画像:写真AC)

 バブル景気が崩壊し不況の兆しが見え始めた1992(平成4)年頃から、それまで高級感で売っていた飲食店や一流ホテルのレストランが続々と食べ放題の導入を始めます。「ランチ・ビュッフェ」「バイキング」などさまざまな言葉が、あちこちでみられるようになります。

 この時期の食べ放題のジャンルは大きくふたつに分かれていました。

 ひとつは、繁華街の飲食店がランチタイムに導入した1000円程度で食べられるスタイル。もうひとつは、一流ホテルのレストランを中心に始まった2000~3000円程度のスタイルです。

 前者が人気を集めるのは当然ですが、後者もまた「安い!」と話題を呼びました。というのも、当時はまだバブル景気の余韻が残っている時代で、一流レストランのランチコースであれば3000円オーバーなんて当たり前。それと同等のものが、もっと安く、食べたいだけ食べられるのですから人気を呼ぶのは当然でした。

「オーダーバイキング」というニュースタイル

「オーダーバイキング」というニュースタイル

 さらに食べ放題を実施する店舗が増加すると、次第に価格破壊も進みました。

 1993年時点で、ヒルトン東京(新宿区西新宿)のマーブルラウンジの平日バイキングは2266円。新宿プリンスホテル(新宿区歌舞伎町)のプリンスバイキングは1800円。

 とりわけ後者は、「定食で1000円。その後、喫茶店でコーヒーに500円払うなら大して変わらない」と、近隣のサラリーマンやOLが続々と詰めかける人気店になりました。

 この時代に急増した食べ放題の店は、それ以前とは異なり、料理の質も高いものでした。店側のメリットは同じ料理を大量につくるため、時間や手間が掛からないこと。そして、ホールスタッフの人数を削減できることなどが挙げられます。今でも店側のメリットとして解説されるものは、この頃に次第に形作られていったのです。

 1990年代を通して定着していった食べ放題の新たな波が押し寄せたのは、2012年頃からです。この時期から増加したのが「オーダーバイキング」というニュースタイルです。

食べ放題のイメージ(画像:写真AC)

 決められたメニューから客の注文に応じて調理するオーダーバイキングは、料理を運ぶホールスタッフが必要と一見手間がかかるように見えます。しかし従来のビュッフェ形式と違って、店舗を改装せずともすぐに始められる、食材のロスを減らせるというメリットがありました。

 このオーダーバイキングの普及には、テクノロジーの発展が欠かせません。

 コストを削減したいが、ライバルも多く、安い食材を使って味が落ちればすぐに客は離れてしまう――そんななか、タッチパネル式のメニューの導入が進みました。

 注文を取る必要がなく、客も店側も手間がはぶけることによる効率化は革新的。この時期から食べ放題の店舗以外でもタッチパネルを導入する飲食店は、次第に増えていったのです。

きっとまた、たくさん食べられる日が来る

きっとまた、たくさん食べられる日が来る

 冒頭にも記しましたが、現在は多くの店が休業を余儀なくされています。

 しかし、悲観する必要はありません。ここまで記してきたように、今に続く豪華な食べ放題はバブル景気が崩壊した不況の中でアイデアを駆使して発展してきたものだからです。

食べ放題のイメージ(画像:写真AC)

 きっとまた、おいしいものをたくさん食べることができる。――そう考え、皆さんも強く生きていきましょう。

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