日常的によく耳にする一般的な言葉の中にも、実は間違った意味合いで使われてしまっているケースがあります。たとえば、目の前に大粒の涙を流して泣いている人がいたら、その人は「号泣している」と思いますか? 文化庁が実施した「国語に関する世論調査」の結果をもとに、多くの人に誤解されている「号泣」の意味をお伝えします。
■「号泣する」の意味は?
※画像はイメージです
文化庁が毎年行っている「国語に関する世論調査」を見ると、間違って理解されやすい慣用句や言葉を知ることができます。今回は、全国の16歳以上の6,000人を対象に行われた令和4年版の調査報告から、「号泣する」という言葉について、見ていきましょう。
■「激しく泣く」と答えた人が4割超
「号泣する」という言葉を聞いたとき、どんな様子を思い浮かべますか? 以下の選択肢から正しいものを選んでみてください。
(ア)「大声を上げて泣く」という意味
(イ)「激しく泣く」という意味
(ア)と(イ)両方
(ア)、(イ)とは、全く別の意味
「号泣する」の本来の意味は(ア)「大声を上げて泣く」が正解。しかしながら、文化庁の調査では、(イ)「激しく泣くという意味」を選んだ人が42.1%で最多となりました。一方の(ア)を選んだ人は30.3%と約3割に止まっています。また、「両方」を選んだ人も25.8%と4人に1人以上でした。
■ 全年代で本来とは違う意味を選択した人が多い
文化庁国語課「令和4年度 国語に関する世論調査」より
年代別で見てみると、どの世代においても(ア)「大声を上げて泣く」より(イ)「激しく泣く」を選んだ人の割合が多くなっています。とくに30代では(ア)を選んだ人が最も少なくなっており、誤って認識しているケースが他の年代と比べて多い傾向が見られました。
また、「両方の意味」を選んだ人の割合も比較的多く、60代以下では2割台後半~3割台にのぼっています。「大声を上げて泣く」と「激しく泣く」が似ているためか、どちらの意味も正しいと思っている人も少なくないようです。
■「大泣き」と混同?
調査結果から、「号泣する」を本来とは異なる意味で理解している人が多いことがわかりました。激しく涙を流して泣いている様子をイメージするため、「激しく泣く」という意味で理解している人が多いのかもしれません。しかし、「号」には「大きな声を上げる」という意味があり、「号泣」とは「大声を上げて泣く」様子を表しています。声を出さずに泣く場合は「号泣」にはあてはまらないのです。なお、似た言葉としては「大泣きする」という言葉があり、こちらは「激しく泣く」と「大声を上げて泣く」のどちらの意味にも使われる言葉です。もしかしたら、「号泣する」と「大泣き」とを混同してしまっている人が多いのかもしれませんね。
(マイナビ子育て編集部)
・調査概要
■令和4年度 国語に関する世論調査/文化庁国語課
調査対象:全国の16歳以上の個人
調査時期:令和5年1月16日~3月15日
有効回答数:3,579