ワンコインといっても500円ではない
中野坂上名物のワンコインバーガーをご存じでしょうか?
筆者(下関マグロ。食べ歩き評論家)は最初、お土産でいただきました。けっこう自分の好みの味で、価格を聞けば「ワンコイン」とのこと。ちょっと高いなと思ったら、ワンコインといっても500円ではなく、100円なのだそうです。そりゃ、安い。どんな店で売っているんだろうか出掛けてみました。
場所は、中野坂上駅から青梅街道を新宿方向へ歩いたところ。青いテントが目印の稲垣商店(中野区本町)があります。
お昼時にうかがいましたが、山のようにワンコインバーガーが並んでいました。ラップで包まれただけの簡単な包装です。手書きのメニューがいい感じ。
お土産でいただいたバーガーには、揚げたレンコンがパンに挟まっていました。レンコンのシャキシャキした食感とやわらかいパンがとてもよく合い、おいしかったのです。だから今回は、ひとつはそれをいただこうと思いました。
しかも内税
おっと、レンコンバーガーは残り1個です。お店の人にレンコンバーガーが人気なのかと聞けば、そういうわけではなく、数が少ないから早く売り切れちゃうとのことでした。聞けば、朝の7時半からお店をやっているのだそうです。
この日は、レンコンバーガーとコロッケバーガーをいただきました。支払ったのは200円。しかも内税。うれしい!
それぞれのバーガーにはフェルトペンで印のようなものが付けられています。レンコンバーガーは「レ」。コロッケバーガーには「ロ」と書かれていました。
近所の公園でいただきましたが、かなり満足。ソースがかかっていて、キャベツの千切りがちょっとだけ入っています。キャベツはもっと入っていればとも思いましたが、100円なら文句は言えないですよね。それが2014年10月のことです。その後、筆者は新宿から上野に引っ越したので、再び行くことはありませんでした。
価格は100円のまま
2019年10月に消費税が8%から10%に上がったとき、あの店はどうしたんだろうかと、いくつか激安のお店が頭に浮かびました。稲垣商店もそのひとつ。というわけで、再び稲垣商店へ行ってみました。
時刻は午後3時。ワンコインバーガーは、もうほとんど残っていません。うれしいことに価格は100円のまま。なんと、値上げしていませんでした。よかったぁ。
ただし、袋が10円になっています。そういえば、以前からできるだけ袋を持参してくださいとありました。なので、今回はエコバッグ持参です。
ブタカツとメンチをいただきました。で、ご主人にお話を聞きました。
発売は5~6年前から
店内ではたばこやお総菜なども売っています。お話をうかがったのはご主人の稲垣和夫さんです。
――このお店は、ご夫婦で切り盛りされているのでしょうか。
そうだね。
――もともと、こちらのお店はどのようなお店だったのでしょうか。
おやじの代では乾物屋をやっていたんだ。
――今では、お弁当やワンコインバーガーを出すお店になりました。どのような経緯があったのでしょうか。
もともとここが自宅だったんだけど、私は家を出てサラリーマンをやってたんだよ。俺が57歳のときにおやじが倒れたんで、帰ってきたの。そのときはサラリーマンをやりながら店のこともやってたね。今、72歳なんだけど、12年前に定年退職になって本格的に商売をするようになったんだよ。
――このワンコインバーガーができたのはいつぐらいなんでしょうか。
そうね、5~6年前からかな。
――今はどのくらいつくっているんですか。
1日に150個作るね。
――僕はレンコンバーガーが好きなんです。他にはないですから。
ああ、レンコンバーガーね。あれは最初、失敗作だと思ったのよ。だけど、売れちゃうんだよね(笑)。
――ところで、2019年10月に消費税が上がったじゃないですか。でもワンコインバーガーは値上げしなかったんですね。
ああ、ワンコインだからね。上げないよ。
※ ※ ※
いやぁ~、なんだかうれしいですね。
というわけで、家に帰って晩御飯としていただきました。電子レンジでちょっと温めるとさらにおいしくなりますね。大きさなども以前と同じです。
ちなみにワンコインバーガーは平日のみの販売で、夕方には売り切れていることが多いそうです。