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濃霧で視界真っ白… 着陸できる/できない旅客機なぜ発生? 背景に「超有能装置」

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霧が多く発生する成田空港などでは、視界が悪くても着陸できるフライトとできないフライトがいます。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。そこにあるのは、高性能な着陸システム。その歴史や仕組みなどを見ていきます。

ほぼ見えずとも着陸OKな「ILS CATIIIb」

 霧といえば北海道の摩周湖が有名ですが、道内にある釧路空港は、霧で視程が著しく悪かったとしても着陸ができるように、日本でもっとも高度な着陸システムを、最初に導入した空港として知られています。

 現在、釧路空港は、滑走路上にいるパイロットが、中心線灯などを見通せる最大距離が100m以上といった視界でも対応できる「CATIIIb」という精度での着陸が可能とのこと。これはつまり、「視界がほぼない」状況でも安全に着陸ができる装置が備わっていることを意味します。

 この「CAT」という言葉、これはもちろん猫ではなく、着陸のため進入中の飛行機に、電波を発射し正確な進入コースをガイドすることで、パイロットの着陸をサポートする無線着陸援助装置「ILS(計器着陸装置)」というものの精度(カテゴリー)を指します。精度の低いものからCATI、CATII、CATIIIa、CATIIIb、CATIIIcと区分けされています。

Large 201007 ils 01濃霧がかかる滑走路のイメージ(画像:写真AC)。

 2020年現在、釧路空港と同じレベルの高度なILS「CATIIIb」は、羽田空港、そして成田空港にも一部備わっています。

 実は成田空港も霧が発生しやすいともいえます。同空港の霧は、春や秋の早朝で湿度が高く、気温が急激に下がったときなどに発生します。そのため同空港の運用開始時刻である朝6時よりも早い時間帯から濃霧が発生することも多く、その影響で羽田空港に行き先を変更するなどのニュースが年に一度くらい話題になることも。

 筆者(種山雅夫:元航空科学博物館展示部長 学芸員)は個人的に、比較的近い場所にある印旛沼など湿地が多いために霧が発生するのではとも思いますが、暖かい九十九里浜からの湿った空気なども影響があるかもしれません。

悪天候での着陸ガイドシステム どんな歴史が?

 視界が悪くなっても飛行機が安全に着陸できる「自動着陸誘導システム」の発展は、ヨーロッパの空港が進んでいるといわれています。一方で、航空大国のアメリカでは、気象条件が比較的良い空港が多いことなどから、ヨーロッパほど、その部分に神経を払う必要がなかったのかもしれません。

 一方、「霧のロンドン」といった言葉があるように、イギリス製の旅客機はホーカー・シドレー(現BAEシステムズ)のHS121型「トライデント」旅客機で、初めて自動着陸装置を標準装備するなど、比較的早い段階から誘導システムに対応した飛行機をデビューさせていました。

Large 201007 ils 02ホーカー・シドレー「トライデント」2E型(画像:Hugh Llewelyn[CC BY-SA〈https://bit.ly/2Vh1bOa〉])。

 ヨーロッパではイギリスだけでなく「航空交通システム」の面においても、第二次世界大戦終了以降発達しました。このことから、着陸誘導システムが先んじて発展したのではないでしょうか。

 そして、先述の現代の空港でも多く導入されている着陸システムのILSに至るわけですが、いわゆるボーイング737クラス以上のいわゆる「成田でよく見かけるような旅客機」は、ILS機器を搭載しているのが一般的です。

 とはいえ実は、それらの旅客機すべてがILSで着陸できるわけではないのです。たとえば、同じボーイング787型機を使っていても、視界不良時に着陸できるフライト、できないフライトがあるのはこのためです。

実はすべて対応しているわけではない「ILS」あれこれ

 というのも、パイロットは、そのILSの精度ごとに資格を保有する必要があります。また、航空会社側も一定以上の精度(CATII以上)でのILS対応をするには、使用条件を満たし、日本国内の航空会社であれば国土交通省の認可を受ける必要があるのです。

Large 201007 ils 03成田空港のA滑走路の北側「16R」に着陸するニュージーランド航空のボーイング787型機(2020年、乗りものニュース編集部撮影)。

 パイロット側から見るとILSは、パイロットの前の計器盤に「姿勢指示器」という計器があり、そこに写る横と縦に棒が進入コースとのズレを表すことでガイドします。霧などで視界が著しく悪いときでも、パイロットはその表示の縦と横の棒がちょうど画面の中心で交わったキレイな「十字」となるように操縦(自動操縦が大半)することで、正しい進入コースで滑走路まで安全に辿り着けるというわけです。

 ちなみに、成田空港でにおいても、すべての滑走路で「視界がほぼない」気候でも着陸できるILSを備えているわけではありません。成田の場合、第1ターミナルの向かいにある4000mのA滑走路の北側「16R」のみに「CATIIIb」を設置しています。

 なお、このILSでの着陸、いまでは普通の人でも、家で「疑似体験」することができます。たとえばマイクロソフトのフライトシミュレーターなどが該当し、ILSでの進入のスタートラインから始まり、最後に通過するインナーマーカーを経たのち、急に滑走路が広がる、といった経験をシミュレーター上で積むことが可能です。ILSに乗ったら、「ローカライザー・キャプチャー」と発声しましょう。

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