カレンダーで10月11日に「スポーツの日」と書いてあるのを見て、「祝日だ!」と勘違いしている人はいないでしょうか。今年のスポーツの日は、東京五輪の開会式が行われた7月23日に移動したため、10月11日は平日で、10月は祝日がありません。
ところで、この「スポーツの日」はかつて、「体育の日」だったはずですが、どういう経緯で10月の祝日となり、現在の名称になったのでしょうか。歴史をさかのぼっていくと、どうやら、「体育の日」よりも前、60年前にも「スポーツの日」があったようなのです。内閣府の担当者に聞きました。
祝日ではない「スポーツの日」が存在
Q.現在の「スポーツの日」の前身は「体育の日」だと思いますが、その由来を教えてください。
担当者「『体育の日』は国民がスポーツに親しみ、その精神を通じて健康な心身を培い、明るく、住みよい社会をつくることを願って、祝日とされました。日にちの選定にあたっては、1961年に制定されたスポーツ振興法(スポーツ基本法の前身)において、『スポーツの日』として10月の第1土曜日が定められていたことを尊重し、あわせて、1964年の東京五輪を記念して、その開会式の日だった10月10日が選ばれました。
最初の『体育の日』は1966年10月10日でした。その後、1998年に『国民の祝日に関する法律』(祝日法)が改正され、2000年から、『体育の日』は10月の第2月曜日となりました。いわゆる『ハッピーマンデー制度』の一環です」
Q.「体育の日」ができる前、今から60年前に「スポーツの日」があったということでしょうか。
担当者「そうです。ただし、当時の『スポーツの日』は現在の『スポーツの日』とは違って、祝日ではありませんでした。祝日である『体育の日』ができた後、(祝日ではない)『スポーツの日』に行うとされていたさまざまな行事を『体育の日』に行うことになったようです」
Q.祝日の「体育の日」を「スポーツの日」に名称変更した理由は。
担当者「2018年に議員立法で提出された祝日法の改正により、スポーツを通じて世界各国と協調していくという観点から、学校教育としてのイメージの強い『体育』の語を用いた『体育の日』から、世界的に広く用いられている『スポーツ』の語を用いた『スポーツの日』に改められました」
Q.「スポーツの日」は昨年、今年と、日付が移動しています。
担当者「当初2020年の予定だった東京五輪・パラリンピックの開催に伴い、大会時における国民の機運醸成、ならびに開会式、閉会式前後の交通混雑の緩和を図るため、祝日法の特例として、2020年、2021年に限り、3つの祝日の日程が移動されました。このうち、今年2021年の『スポーツの日』は東京五輪開会式の7月23日となりました」
Q.「スポーツの秋」ともいわれ、10月はスポーツにふさわしい時季だと思うのですが、祝日移動によって、結果的に今年10月の祝日はゼロになりました。スポーツにふさわしい時期に祝日がないのは残念な気がするのですが、どのように捉えていますか。
担当者「先ほど述べた、東京五輪・パラリンピックの開催に伴う経緯で、2020年、2021年に限り祝日が移動しました。ご理解いただけますと幸いです」
Q.今後もまた、スポーツの日が移動する可能性はあるのでしょうか。
担当者「繰り返しになりますが、昨年と今年の祝日移動はあくまで、特例として行われたものです。今後、スポーツの日を移動させるといった話は今のところ承知しておりません」
来年2022年は10月第2月曜日、なじみ深い10月10日が「スポーツの日」となります。
オトナンサー編集部