飛行中に2度も雷が直撃したため、関西空港へと目的地を変更したJAL便。しかし「落雷」では機体に異常がないと判断されればフライトが続行されるケースも一般的です。なぜでしょうか。
飛行機に雷 ちゃんと対策はしていますよ
2024年4月3日、宮崎発羽田行きのJAL(日本航空)694便が飛行中、雷に2度直撃したため、関西空港へと目的地を変更しました。乗客乗員は全員無事ではあったものの、機内で異臭が発生したことが目的地変更の要因と報じられています。
しかし、旅客機は雷に打たれても、このように着陸できるほか、機体に異常がないと判断されればフライトが続行されるのが一般的です。なぜ飛行を継続できるのでしょうか。
JAL機(乗りものニュース編集部撮影)。
旅客機には、引火性のジェット燃料や精密機械が詰まっています。もしこれらにそのまま雷が直撃すれば、最悪爆発するのでは、そうでなくても機械が故障するのでは……などと思うかもしれません。もちろん、そうならずに運航が継続できるよう、旅客機の設計には対策が施されています。
たとえば、客室の外殻と飛行機の内部は、電気を通すだけでなく、内部の電子機器の多くから電気の流れを隔離するように設計されていると報じている海外メディアもあります。
航空会社が説明する「雷対策」って?
そして、フィンランドの航空会社フィンエアーは公式サイト上で、機体への落雷について次のように説明しています。
「雷は通常、飛行機のコックピットの前側に落ちます。コックピットの窓の端が典型的な衝撃点となります。航空機の(外板に使用されている)アルミニウムの胴体は電気をよく通し、雷が航空機内部に影響を与えることはありません。放電は航空機の外面に沿って前方に進み、通常は航空機の主翼の先端や翼面、尾翼から再び空中に排出されます」
また、KLM航空によると、エアバスA350などのアルミニウム合金(複合材)ではない胴体ではない場合、超微細な銅メッシュ、または電気を伝導する特殊な種類のアルミニウム塗料が施されているとのことです。
またフィンエアーによると、機体メーカーが航空機の実用化に不可欠な認証「型式承認」を得るため、メーカーは航空機の雷保護が十分であることを証明する必要があるともしています。ただ一方で、被雷した機体はダメージが生じている可能性もゼロではないことから、到着後、入念な整備を行い安全を確認する必要もあるそうです。
現代の旅客機ではこのような対策が練られているものの、過去には、雷雲を要因のひとつとし発生した航空事故も発生しています。そうしたことから、パイロットは「雷雲を見たら避ける」というのがスタンダードになっています。
なお、フィンエアーでは「夜間飛行する場合、パイロットは落雷の可能性がある場合に備えて目を明るい光に慣れさせるために、コックピットの照明を明るいモードに調整します」とのことです。