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半数が経験、突然キレる高齢者が激増中 脳の衰えと退職後の生活の変化に理由が

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キレる高齢者が増えるのはなぜ
キレる高齢者が増えるのはなぜ

【おはよう日本 けさのクローズアップ】(NHK)2017年11月17日放送
突然の怒りはなぜ? 高齢者「キレる」理由は

駅のホームで、コンビニのレジで......、高齢者が激昂して大声を上げる姿を頻繁にみかけるようになった。

なぜ、最近の高齢者は突然キレるようになったのだろうか。番組では、脳科学と社会学の観点からその理由に迫った。合わせて超簡単な怒りを和らげる方法を紹介する。

空席があるのに「ここは年寄りの座る場所だ、どきな!」

番組では冒頭、実際にキレた高齢者の「被害」に合った若者2人のケースを紹介した。

(1)男性会社員Aさんが駅のホームの椅子に座りスマホを見ていると、いきなり足を杖で叩かれた。70代くらいの女性にこう怒鳴られた。

「ここは年寄りの座る場所だ、どきな!」

他にも空いている椅子がいくつかあるのに...。Aさんはあわてて逃げた。

(2)薬局のレジで女性薬剤師Bさんが、70代くらいの男性に「お支払いはカードでよろしいですか?」と尋ねると、男性は突然激昂した。

「待て! 不機嫌そうな顔をしやがって! その対応は何だ、謝れ!」

Bさんは番組スタッフに「どこでスイッチが入り、どうキレるかがわからないので、本当に怖いです」と語った。

「お爺さん・お婆さんの原宿」と呼ばれる東京・巣鴨のとげぬき地蔵尊で高齢者たちにインタビューすると――。

高齢女性「パート先でキツイこと言われると、つい声を荒げてしまいます」
高齢男性「店員が無愛想だと、カッとなることがよくあるね。何だよ、その態度は、と怒鳴っちゃうね」

番組では、65歳以上の高齢者に「日常生活の中で怒りを我慢できない時はあるか?」とアンケート調査を行なうと、「よくある」が4%、「たまにある」が46%で、高齢者の半数に突然キレる経験があることがわかった。また、3割が「年を取るにつれ、怒りを抑えることが困難になる」と答えた。

和久田麻由子キャスター「年を取ると丸くなり、寛容になるイメージがありますが」
高瀬耕造キャスター「カミナリ親父は昔からいました。最近、キレる高齢者が増えているというのは確かなのですか?」
中澤輝リポーター「はい。キレる高齢者が増える原因には3つのポイントがあります。まず、第1は年をとると怒りっぽくなるのは、脳学者の間では自然なことと考えられています」

怒りを抑える役の前頭葉が衰えてくる

いったい、どういうことか。『脳が知っている 怒らないコツ』の著者、加藤俊徳医師が説明する。

加藤医師「脳の中心部に大脳辺縁系という場所があります。意欲や感情などをつかさどるところで、ここで怒りが作られます。それを抑えるのが前頭葉という知性の場所ですが、年をとると前頭葉の機能が衰え、抑えが利かなくなるのです。また、加齢とともに記憶力や聴力も衰えますから、相手の話を理解できず、怒りに拍車をかけます。脳の衰えを本人が自覚していませんから、訳がわからないまま暴発します」

ただし、個人差があり、すべての高齢者がそうだとは限らない。

第2に「生活環境の変化が大きく影響している」と指摘するのは社会学者の小宮信夫・立正大学教授だ。その典型的な例として、大手メーカーを9年前に定年退職した木村悦治さん(68歳)のケースを紹介した。木村さんは管理職コースを上りつめ、職場や家庭では穏やかな人柄として知られ、声を荒げることはなかった。ところが退職後、キレることが多くなった。

妻の美智子さん「小さなことで怒りを爆発させるようになりました。銀行の窓口で書類の不備を指摘されると、バーンとテーブルを叩き......」
木村さん「会社での人間関係は、上に行くにつれ周囲が私の考えを理解しようと努め、柔らかく、温かく接してくれるじゃないですか。ところが、退職すればただのジイサンです。若い者に思いっ切りバカにされると怒りが抑えられなくなります」
小宮教授「今は年功序列ではなく、能力主義の時代ですから、若い人に年寄りを敬う気持ちはありません。高齢者にとっては、昔、自分たちが年寄りに対して接した態度をなぜ若い人がとらないのかという怒りがあります」

第3の理由に、小宮教授は「高齢者には、今の情報社会、ITやSNSに付いていけず、置いてきぼりにされているという不安があります」と指摘する。

高瀬キャスター「高齢者がますます怒りっぽくなる社会になっているということですね。では、どうしたらよいのでしょうか」

怒りを覚えた時の対処法として、日本アンガーマネージメント協会代表理事の安藤俊介さんはこうアドバイスした。

安藤理事「『腹が立ったら6秒待つ』。これを実践してください。やってみると、かなり怒りが収まります。6秒間は、前頭葉が怒りを抑制するのに必要な時間なのです」

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