秋です、涼しくなってぐっとお出かけしやすくなる時期。本記事では、ベテラン中学受験指導家・宮本毅先生が「中学受験に役立ち、かつ将来のお子さんの人生を豊かにするおすすめのお出かけ先」について紹介します。
秋といえば「実りの秋」
日本の「秋」を象徴するもの、それはなんと言っても「実りの秋!」。
自然豊かな日本では古来より様々な「実り」が楽しまれてきました。
なかでも「果物」は、種類も豊富で甘みも強く、人々の心を惹きつけてやみません。
春や冬の果物ももちろんたくさんありますが、特に「秋」は「フルーツ狩り」が各地でさかんにおこなわれますので、ご家族でお出かけして見てはいかがでしょう。
山梨の扇状地でぶどう狩り 6月~10月
10月はギリギリ最終盤ですね!
ぶどうは山梨県が一大産地なので、ぜひ訪れてみてください。ワイン工場などの見学もくっつけると、ママやパパも楽しめるのでは?
甲府盆地は川が運んだ石や砂がたい積してできた扇状地が広がっています。土地は水持ちが悪く、水田には向きません。一方水はけのよい土地では果物が甘く育つため果樹栽培に適しており、ブドウや桃が多くつくられるようになりました。
ぶどう狩りは社会と理科の学習がいっぺんにできるので、学習の入り口としては非常に適しています。
平地が多く標高の低い千葉で梨狩り 7月~11月
秋といえば梨の季節! みずみずしくておいしいですよね!
梨は千葉県や茨城県・栃木県など関東地方でよく生産されています。千葉県を車で走っていると、そこかしこに「梨狩り」の看板を見つけたりします。
千葉県ってあまり知られていないのですが、日本で一番標高の平均が低いんです。その数値はなんと標高45m!ひくう!
どういうことかというと、千葉県は山地が少なくて平野ばかりということです。そのため広大な農地を取りやすく、さまざまな農業がおこなわれており、農業生産高も全国トップクラスです。
秋の実りを楽しもう!
他にも秋には、「リンゴ狩り(9月~12月。長野県や岩手県が有名ですが、群馬県などでもさかんに栽培されています。山地の涼しい気候を利用しています)」や「みかん狩り(10月~1月。関東近くなら温暖な伊豆半島でたくさん作られています。)」、「クリ拾い(9月~10月。ブナ科の高木で落葉樹。雄花と雌花に分かれて咲く花として中学受験でもおなじみです)」などが楽しめます。
果樹園などに出かけなくても、広い公園に出かけていってドングリ(ブナ科)でも拾いながら、常緑樹と落葉樹のちがいを話題にしたり、陽樹と陰樹について語ったりしてみてください。
公園内の樹木には名前や科が書かれたプレートがかかっていたりしますので、親子で名前クイズを出し合ったりするのもよいでしょう。
鎌倉のハイキングコースを歩こう
中学受験の歴史を学ぶ上で子ども達を大いに悩ませることがらに「鎌倉仏教」があります。
浄土宗・浄土真宗・時宗・日蓮宗・臨済宗・曹洞宗と六宗派もあり、かつ、それぞれの宗派を開いた僧の名前も覚えなければなりません。
どの宗派が栄西でどれが親鸞だったっけ? ごちゃごちゃになってわからなくなってしまいますよね。
でも、実際に自分の足で歩いてお寺を見に行くと、単なる暗記事項が「活き活きとした記憶」に代わり、グッと頭に入りやすくなるものです。
体験に勝る学びなし。
お子さんが将来5年生になったときにきっと、「あの時連れて行っておいてくれてありがとう」と感謝されるはずです。
この秋に是非、鎌倉を訪れてみてください。
鎌倉にある主なお寺は次の通りです。鎌倉大仏やあじさい寺などの観光地は敢えて入れていませんが、どのお寺も趣があってとても素敵ですよ。
臨済宗の開祖・栄西を思いながら建長寺へ
「鎌倉五山(臨済宗)」の第一位のお寺。
臨済宗は栄西というお坊さんが平安末期に宋(中国)に留学して禅宗を学んで帰国。のちに建仁寺(京都市)を建立、臨済宗を開きました。お茶を飲む習慣を日本に広めたのもこの人。
なお建長寺は「けんちん汁」の発祥の地としても有名です。
国宝の舎利殿は必見! 北條時宗ゆかりの円覚寺
「鎌倉五山(臨済宗)」の第二位のお寺。
鎌倉幕府第8代執権、北条時宗が1274年と1281年におこった元寇の戦没者追悼のため、中国から無学祖元を招いて創建しました。
境内には国宝である「円覚寺舎利殿」があります。円覚寺舎利殿は、受験では写真付きで紹介されることの多い、超有名な建物です。
日蓮の激情が印象に残る安国論寺
超マニアックなお寺で、恐らく鎌倉を訪れる観光客はまずこのお寺には来ないでしょう、笑。
そのくらい知られていないお寺ですが、日蓮宗の開祖である日蓮さんが時の権力者である執権、北条時頼に提出した「立正安国論」という、多宗派をディスる批判する内容の書物を書いた場所とされます。
敷地内の「富士見台」と呼ばれる高台からの景色は絶景で、由比ヶ浜を三方の山が取り囲む様子がよく見られます。
鎌倉はハイキングもおすすめ!
そのほか鎌倉にはハイキングコースがいくつか整備されています。
おすすめは建長寺の境内から瑞泉寺まで抜ける「天園ハイキングコース」と、円覚寺のある北鎌倉駅前から浄智寺へ向かい、途中、銭新井弁財天に寄り道して鎌倉大仏に抜ける「葛原岡・大仏ハイキングコース」ですね。
どちらのコースとも踏破するのに3時間以上は見たほうがいいですが、途中、鎌倉の絶景も拝めますので、是非チャレンジしてみてください!
「朝比奈切通し」や「化粧坂(けわいざか)切通し」など、鎌倉七口と呼ばれる切通しを散策してみるのも面白いと思いますよ。
ただし、これらは観光地からずいぶん離れたところに点在していますので、行かれる際には必ずご自身で下調べをお願いします。遭難しちゃうといけませんからね。
子ども達の心に好奇心の種をまこう!
ひとつだけ注意点があります。
お勉強と絡めて少しでも子ども達に知識を覚えてもらおうと、パパママが張り切って事前準備して、あれも話そうこれも教えよう、としてしまうと、子どもは白けてしまい、かえって効果を損ねてしまうものです。
将来、塾の授業で出てきたときに「あ、この切通し行ったね」とか「山梨のシャインマスカットおいしかったねー」といった話ができればそれで充分。
習ったときに、体験と学習が結びつき記憶につながることが重要であって、今覚えさせることが重要なのではありません。
大切なのは「子ども達の心に好奇心の種をまく」こと。
まいておけばそのうち芽を出し、茎をのばして花を咲かせるものですから。
※中学受験ナビの連載『低学年のための中学受験レッスン』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ。