最後の艦が半島を去ったとの情報。
5月の攻撃以降に艦艇の出入りが激減?
ウクライナ海軍は2024年7月15日、クリミア半島に駐留するロシア黒海艦隊の全ての艦艇がクリミア半島全域から姿を消したと発表しました。
5月に破壊された可能性の高い「ツィクロン」と同型のカラクルト型コルベット(画像:ロシア国防省)。
発表同日にはクリミア半島に最後まで停泊していた黒海艦隊のクリヴァク型フリゲートが移動を開始したとのことです。オレクシー・ネイジパパ海軍長官は「ロシアは占領下のクリミアからほぼ全ての即戦力艦艇の移転を余儀なくされた」と発表しました。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以前から、クリミア半島はロシアが実効支配し、黒海艦隊にとっても重要な寄港地でした。一時的なのか恒久的なのかは定かではありませんが、こうした重要拠点から黒海艦隊が後退しなくてはならなかった背景としては、度重なるウクライナ軍の艦艇に向けた攻撃が影響しています。
ウクライナ海軍は黒海で動かすことのできる艦艇が殆どないということで、侵攻が開始された当初、大きく劣勢を強いられると予想されていました。しかし、自爆ドローンや自爆ボート、アメリカやイギリス、フランスなどから供与を受けたミサイルなどで、黒海艦隊に度重なる攻撃を実行しました。
それらの攻撃により、2022年4月には黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」を撃沈されたほか、ウクライナ側の主張によると、これまで約27隻のロシア黒海艦隊の艦艇が沈没・破壊、または損傷を負ったとされています。
2024年の5月には、巡航ミサイル発射機能を持つカラクルト型コルベット「ツィクロン」が地対地ミサイル「ATAMCS(エイタクムス)」の攻撃によって破壊されたと報じられています。「ツィクロン」」の損害以降、クリミア半島ではロシア艦艇の活動がほぼなくなっており、同艦への攻撃が直接的な後退につながった可能性が高いとみられています。