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陸自の「島しょ防衛体制」現状は? 訓練重ねる水陸機動連隊 「オスプレイ」部隊も新設

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島しょ部の多い日本の守りを固めるため、およそ5年という急ピッチでその体制が整えられつつあり、その中核にある水陸機動団は、アメリカ海兵隊と共に訓練を重ねています。部隊の足となる「オスプレイ」の運用部隊も誕生しました。

島しょ部の守りのために水陸両用戦の訓練重ねる水陸機動連隊

 2020年1月5日から2月27日にわたり、アメリカのカリフォルニア州で日米共同軍事訓練「アイアン・フィスト20」が行われました。

Large 200327 ardr 01日米共同訓練「アイアン・フィスト20」に参加する陸上自衛隊の水陸両用車AAV7(菊池雅之撮影)。

 この訓練に今回、初めて、水陸機動団 第2水陸機動連隊が参加しました。水陸機動団長 平田隆則陸将補は、「昨年、第1連隊が戦力化したことをこの演習で確認した。今年は第2連隊の戦力化を推進する」と熱く意気込みを語っていました。「アイアン・フィスト」自体は、2005(平成17)年度から実施している訓練ではありますが、今回は陸自にとって特別な訓練となったようです。水陸機動団の完成は日本の島しょ防衛体制に必要不可欠だからです。

 2020年3月現在、防衛省・自衛隊は、島しょ防衛体制を完全な形とすべく大改革を断行中です。そのひとつとして、2018年3月に日本版海兵隊とも呼ばれる水陸機動団を発足しました。

 水陸機動団には、いくつかの部隊がぶら下がっています。中核となるのが、海上からボートや水陸両用車AAV7を使って島しょ部へ上陸する水陸機動連隊です。第1、第2と番号の振られた660名程度で構成される部隊がふたつあります。

 第1水陸機動連隊は、ゼロから作られた部隊ではありません。2002(平成14)年3月に、九州・沖縄エリアの防衛警備を担当する西部方面隊内に創設された西部方面普通科連隊が改編され誕生しました。この部隊が水陸両用戦をアメリカ海兵隊から学ぶため、「アイアン・フィスト」訓練がスタートしています。

 第2水陸機動連隊は、水陸機動団発足とともに新編された部隊で、一部、西部方面普通科連隊の隊員も含まれていますが、全国の部隊から集まってきた隊員で構成される全く新しい部隊です。そのような理由から戦力化が急がれているのです。

「アイアン・フィスト」訓練内容は市街地戦から上陸戦まで

 今回の「アイアン・フィスト20」にて、第2連隊は約300名が渡米し、アメリカ軍から多くを学びました。先生役を務めたのはキャンプ・ペンデルトンに司令部を置く第1海兵遠征軍です。キャンプ・ペンデルトンはアメリカ海兵隊の主要基地のひとつで、ロサンゼルスとサンディエゴの中間あたりに位置するオーシャンサイドという街にあります。

 そのキャンプ・ペンデルトンにて、アメリカ海兵隊のMV-22B「オスプレイ」を使ったヘリボン(ヘリによる輸送、降下)訓練、市街地戦闘訓練や実弾射撃訓練など、第2連隊はさまざまな訓練を実施しました。

Large 200327 ardr 02日米共同訓練「アイアン・フィスト20」における市街地戦闘訓練の様子(菊池雅之撮影)。

 その最後は、実際に上陸訓練をともなう総合訓練です。第2連隊は米海軍のドック型揚陸艦LSD-52「パールハーバー」へと乗り込みました。隊員のほか、9両のAAV7も積み込まれます。第2連隊の隊員たちはそのAAV7に分乗し、レッドビーチ訓練場にある浜辺を目指します。

 先に上陸したアメリカ海兵隊員たちは、AAV7から下車すると、敵が潜伏する街を制圧していきます。この戦闘をバックアップするため、第2連隊も浜辺に到着。さらに奥へと部隊を進めていきました。

 こうして、すべての訓練項目を終え、第2連隊はスキルアップを果たしました。

水陸機動団の「足」MV-22B「オスプレイ」部隊も誕生

 今年3月26日(木)、陸上自衛隊 木更津駐屯地に新しい部隊「輸送航空隊」が誕生しました。MV-22B「オスプレイ」を配備する部隊で、現在、アメリカにてパイロットや整備員の教育が行われています。

Large 200327 ardr 03陸上自衛隊 木更津駐屯地に新設された輸送航空隊に配備されるMV-22B「オスプレイ」(画像:陸上自衛隊)。

 同駐屯地へは、6月に最初の機体が到着します。アメリカではすでに日本へ引き渡される状態となっており、グレーを基調としたカラーリングで、日の丸も描かれています。これが水陸機動団の空の「足」となる予定です。

 さらに水陸機動団では、2023年までに第3水陸機動連隊を立ち上げる計画です。第1、第2連隊は長崎県にある相浦駐屯地に配置されていますが、第3連隊については北海道とするプランも出ています。これは上陸用の浜辺を持つ浜大樹訓練場や日本最大の矢臼別演習場など、訓練環境が整っていることが理由といわれています。とはいえ北方の守りも必要不可欠であり、ロシアに向けたアピールの意味もあるようです。

 自衛隊は5年間という急ピッチで、日本の島しょ防衛体制を確立させようとしています。ここまで述べてきたように、続々と部隊が新編され、次は戦える部隊として錬成をしていく必要があります。まだ道半ばですが、目標に向けて確実に歩みを進めているのです。

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