多くの健康診断や人間ドックで実施されている「血液検査」。毎年受けているという人も多いと思いますが、中には、採血時に注射を行った部分に「あざ」ができてしまう人もいます。ネット上でも「結構大きい青あざができたときはさすがにびびった」「採血の後、あざみたいなのができることが多くて憂鬱」といった経験談も聞かれます。
どうして採血後、「あざ」ができる人とそうでない人がいるのでしょうか。eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。
血液が皮下組織に漏れ出すと…
Q.まず、「血液検査」について教えてください。
市原さん「血液検査では、肝臓や腎臓といった臓器の異常を調べたり、血糖値やコレステロール、中性脂肪、尿酸などの数値を調べたりと、さまざまなことが分かります。健康診断で特に異常を指摘されず健康な人は、年に1回の健康診断での血液検査で十分です。
何か症状があるなど不調のときには、病院で血液検査を行い、不調の原因を調べます。例えば、糖尿病などで定期的に病院に受診している人は、1~2カ月に1回は血液検査をすることが多いです。かかっている病気によって血液検査の頻度は変わります」
Q.採血後、注射した部分に「あざ」ができることがあるのはなぜですか。
市原さん「血液検査は、静脈に針で穴をあけて血液を採取するのですが、その穴から血液が皮下組織に漏れ出ることで、あざができることがあります。一般的に『内出血』と呼ばれるものです。
採血時にできたあざは、通常であれば1週間程度、長くても1カ月程度で消失します」
Q.採血後に「あざ」ができやすいのはどんな人ですか。
市原さん「血液がサラサラになる薬を内服している人や、高齢者は、血管がもろくなっているのであざができやすいです。採血後、止血のために、針を刺した場所を5分間押さえる必要がありますが、この圧迫が不十分な場合もあざになります」
Q.中には「採血をしてくれる看護師や医師の技術によるのでは?」と疑問を持っている人もいるようですが、実際のところ、採血の技術と「あざ」は関係があるといえるのでしょうか。
市原さん「確かに、採血の際に皮下で針を動かした場合は、血管のダメージを大きくさせてしまうので、内出血になることがあります。医療者側から見て、血管が細い人や硬い人、血管が逃げてしまう(動いてしまう)人は採血の手技が難しいので、内出血の可能性は上がります」
Q.採血時になるべく「あざ」ができないようにするには。
市原さん「脱水の状態では採血がしにくくなり、内出血のリスクが上がるので、病院へ行く前にしっかりと水分を摂取してください。ただし、水分摂取を事前に禁止されている場合はそれに従いましょう」
オトナンサー編集部