JR東海の新型新幹線車両「N700S」。一見すると従来のN700系に似ていますが、天井まわりにもさまざまな進化が見られます。「明るくなる荷棚」は、明らかに分かるレベル。大きくなって情報量が増えた液晶ディスプレイも印象的です。
新型新幹線「N700S」 視覚的に広く感じられる天井の工夫
東海道・山陽新幹線で17年ぶりとなるフルモデルチェンジ車両「N700S」。見た目こそ従来のN700系(N700A)と似ていますが、全席コンセントなど、さまざまな進化があります。
そのひとつが「天井まわり」。実際にそれを見て、「スッキリしたなぁ」という印象を受けました。
新型のN700Sでは、従来のN700系だと客室天井の中央部分にあった照明を間接照明化したうえ、スピーカーも天井から客室前後にある仕切り壁の上側へ移動。視覚的に車内空間が広く感じられるようにされました。LEDの間接照明で大型の曲面天井パネルを照らすことで、客室全体に暖かみのある光が均一に降り注ぎ、落ち着きのある雰囲気のなかで過ごせるといいます。
N700S普通車の車内。黒い部分は防犯カメラ(2020年6月13日、恵 知仁撮影)。
またその白い天井をよく見ると、小さな黒い窓状の部分がいくつかあります。増設された防犯カメラです。その画像は、車内で非常停止ボタンや、非常用の客室通話装置を扱った際、運転台への通知に加え、指令所へも自動で転送。より迅速な対応を可能にしているそうです。
防犯カメラは天井の、切れ目のようにデザインされた部分へ斜めに設置されており、あまり目立たないのも印象的でした。
停車駅が接近 変化が容易に分かるN700S 情報量もアップ
そしてN700Sの天井でポイントなのが、停車駅直前に明るくなることです。「テンテンテンテテ~ン♪」のチャイムがなり、停車駅の接近を知らせる車内放送が入る頃、調光機能により荷棚が照らされます。意識して見ていれば、容易に分かるレベルで明るさが変わります。
乗客の意識を荷棚へ向けてもらうことで、手荷物の置き忘れを防ぐのが狙い。またN700Sの荷棚は、従来の車両より拡大されているそうです。
ちなみにN700S量産車の荷棚は、廃車になった700系新幹線、N700系新幹線のアルミ合金車体を再利用し、つくられています。新幹線から新幹線への「アルミ水平リサイクル」は、これが初めてとのこと。
大きくなったN700S車内の液晶ディスプレイ(2020年6月13日、恵 知仁撮影)。
さてN700Sの天井まわりでは、客室前後の上部にある列車案内表示も、実際に目にすると印象に残るのではないでしょうか。サイズが従来のLED式電光掲示板から50%拡大された液晶ディスプレイで、くっきり、滑らか、鮮やかに情報を表示。列車の走行位置表示や、停車駅での乗り換え路線案内も行われます。
新型新幹線「N700S」は2020年7月1日(水)、営業運転を開始する予定です。