映画「リング・ワンダリング」に出演する女優の阿部純子さん。同作は、漫画家を目指す草介(笠松将さん)は絶滅したニホンオオカミを題材に漫画を描いていますが、肝心のオオカミをうまく形にできずにいます。そんなある日、彼はバイト先の工事現場で、逃げ出した犬を探しているミドリ(阿部さん)と出会い…東京の下町を舞台にしたヒューマンドラマです。
オトナンサー編集部では、阿部さんに単独インタビューを実施。台本の感想や共感したことなどについて聞きました。
監督の姿勢に刺激を
Q.台本を読まれていかがでしたか。
阿部さん(以下敬称略)「最初に読んだときは、どういった作品になるのか文章だけではなかなか理解できませんでした。悪い意味ではなく、期待が大きかったです。一言で表すのが難しいですが、一番強く引かれたのは、金子雅和監督の世界観。これまでの作品の中でも、人間だけではなく自然や目に見えないもの、人間だと思っていたものが人間ではなかったりする話の展開が面白いと思いました。この作品も、そういうものが大きな役割を担うんだなと楽しみでした」
Q.役に共感できるところはありましたか。
阿部「今回は時代も違ったので、もし、ミドリのいた時代に身を置いたらどうなるか、ということを膨らませながら演じていました。最初は共通点を探すところから始めましたが、家族の風景は時代が変わっても普遍的なものだと思いました」
Q.役作りにしたことを教えてください。
阿部「昭和初期の一般の方々の体験談などを読んで、もし、自分がその場にいたらどんな感情になるか想像していました」
Q.オオカミにはどんなイメージをお持ちですか。
阿部「ニホンオオカミがどんな生き物なのか、図鑑で調べました。もう絶滅して、いなくなったということが信じられない、神秘的な生き物だと思いました」
Q.金子監督から要望はありましたか。
阿部「私は、主人公である草介との時間のギャップがある役柄なので、演技面で距離感を保つ方がいいという話はしました」
Q.現場の雰囲気はいかがでしたか。
阿部「一貫して穏やかな雰囲気でしたが、特に映像美にこだわり抜く監督の姿勢に刺激を受けました。雪のシーンは金子監督がトレッキングして見つけてきた所で、大自然の中で撮影できて神秘的な気持ちを味わいました」
Q.理想の女優像を教えてください。
阿部「いつも頂いた役を全うすることに一生懸命なので、理想の女優像がまだ見つかっていません。ただ、内側から出てくる感情を表現できて、ナチュラルな雰囲気を持っている女優さんはすてきだと思います」
Q.演じる際に意識していることはありますか。
阿部「映像では監督の世界観が大部分を占めると思いますが、目いっぱいアンテナを立てて、自分が何を任されてそこにいるのか、考えながら演じています。ボールを投げてもらって返す方が得意なので、『このシーンはどう思う』とか、『こうアプローチしたい』という監督の言葉に、頑張って応えようとしています」
Q.コロナ禍はどのように過ごされていますか。
阿部「体調を崩してしまうと仕事にも影響してしまうので、毎日緊張しながら過ごしていました。でも、それだと心が疲れてしまうので、今はペースを乱さないようにしたり、散歩したり、音楽を聞いたりしてリラックスする時間を大切にしています」
映画「リング・ワンダリング」は2月19日から全国公開。
オトナンサー編集部
