パリ五輪の射撃の混合エアピストルで、銀メダルを獲得したトルコのユスフ・ディケチュ選手が、日本のSNSなどで「無課金おじさん」として注目を集めていますが、かつて銃を取り上げられたことがあるとか。
憲兵時代に使っていた銃を取り上げられた?
パリ五輪の射撃の混合エアピストルで、銀メダルを獲得したトルコのユスフ・ディケチュ選手が、日本のSNSなどで「無課金おじさん」として注目を集めています。
トルコ国家憲兵隊(ジャンダルマ)の隊員(画像:トルコ内務省国家憲兵隊司令部)。
エアピストルで他の選手が装備していたゴーグルや耳当てなどを使用せず、飛行機かホテルのアメニティから拝借したのではという耳栓のみをつけ、ラフなTシャツ姿で射撃に臨む独特のスタイルが、課金ありのゲームで無課金の基本装備で挑んでいるように見えることが話題になっているのです。
日本のSNSでは「本職だろw」「本物のヒットマンでは?」「射撃スタイルがシティーハンターの冴羽っぽい」といった声のほか、射撃時のイラストが投稿されるなど大バズりとなりました。また、ネコと戯れている画像も発見され「普段どこに課金してるんだよと思ったら、めっちゃ猫に課金してた」といった声も出ています。
さてこのディケチュ選手、やはりプロでした。普段はトルコ国家憲兵隊の元下士官(曹長)であり、現在は憲兵隊スポーツクラブで射撃競技の選手として所属し、2008年の北京から5大会連続で五輪に出場しているベテラン選手です。トルコ国家憲兵隊は「ジャンダルマ」と呼ばれ、名称はフランス語で国家憲兵を意味する「ジャンダルム」に由来します。
平時は、内務省所属で国内の治安維持・主要施設の警備・交通取締りの任務などに従事している組織ですが、有事にはトルコ陸軍の指揮下に入り、各種銃火器・火砲や軍用車両の扱いも心得ている組織です。そういった経緯を考えると、ディケチュ選手は日本のSNSの指摘の元ではありますが「本職」です。
実は、かつてディケチュ選手は競技に使用していたピストルを取り上げられたこともあったようです。トルコメディアの「T24」によると、ディケッチ選手は、五輪の出場資格を得るために、国家憲兵隊を退役後も使用していた特別なピストルを憲兵隊総司令部に回収されたとのことです。
今回の銀メダル獲得後のコメントでディケチュ選手は「昨年、前の所属先は、私が五輪資格を得るために大会に赴く4日前に銃を取り上げた」と批判。ピストルに関しては、トルコのスポーツ連盟や競技関係者の尽力により新しい物が手に入ったとのことです。
ディケチュ選手はまだそのことを許していないようで、「この成功を私から銃を取り上げた者と沈黙を守った者以外の(トルコ国民)8500万人にプレゼントします」と会見で発言しています。この発言による影響なのか、現地報道によると元の上司に当たる内務省と国家憲兵総司令部は祝辞を出していないそうです。