長期間、家電製品にアルカリ乾電池やマンガン乾電池をつい入れっ放しにしてしまい、乾電池が液漏れを起こして困った経験はありませんか。そもそも、なぜ乾電池が液漏れを起こしてしまうのでしょうか。乾電池が液漏れした場合、どのような方法で取り出したらよいのでしょうか。
乾電池などの製造を手掛ける、パナソニック エナジー(大阪府守口市)エナジーデバイス事業部 マーケティング戦略部の住廣泰史さんに、正しい処分法などについて聞きました。
電池の「過放電」が原因で液漏れ
Q.リモコンなどの家電製品にアルカリ乾電池やマンガン乾電池を入れっ放しにしていたところ、電池が液漏れをしていることがありますが、なぜなのでしょうか。液漏れが発生する原因について、教えてください。
住廣さん「リモコンなど、スイッチのない機器には、常に弱い電流が流れていることがあります。そのため、使用していない間も、気が付かないうちに電池が消耗してしまうことがあります。
電池の容量がなくなってもそのまま機器の中に放置すると、弱い電流が流れ続け、電池が通常の使用可能範囲を超えてさらに放電された状態、いわゆる『過放電状態』になります。過放電状態になると、電池内部からガスが発生し、電池内部の圧力が高まります。そこで、破裂を防止する目的で電池内部の部品に設けられた安全弁が作動し、電池内部のガスを電池の外に逃がします。その際、ガスと一緒に電池内部の電解液が外に出てきます」
Q.アルカリ乾電池やマンガン乾電池の液漏れを防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。対処法について、教えてください。
住廣さん「機器が動作不安定な状態になった場合は、電池の消耗が原因と考えられるため、早めに電池を交換してください。また機器を長期間使用しない場合も、電池を取り外してください。
このほか、電池を交換する際は、すべての電池を新品の同じ種類の製品に取り換えてください。使用済みの電池や容量が異なる電池を一緒に使用すると、容量の少ない電池が過放電状態になり、液漏れの原因になります」
Q.アルカリ乾電池やマンガン乾電池が液漏れをした場合、どのように対処したらよいのでしょうか。家電製品から乾電池を取り出す際の注意点や液漏れした家電の取り扱いなどについて、それぞれ教えてください。
住廣さん「アルカリ乾電池の内部から出てくる液体の主成分は水酸化カリウムであり、非常に強いアルカリ性の水溶液です。液漏れした液が目に入ったり肌に付いたりした場合、そのまま放置すると失明や化学やけどになる危険性があります。
そこで、液漏れした液を直接触れないようご注意ください。万一、体に液が付着した場合は、大量の水で洗い流してください。また、目に入った場合はこすらずに直ちに大量のきれいな水で洗い流し、できるだけ早く医療機関で診療を受けてください。
マンガン乾電池の内部から出てくる液体は、塩化亜鉛を主成分とする弱酸性の水溶液です。体に大きな影響を与えるわけではありませんが、目に入った場合は、こすらずに大量のきれいな水で洗い流した後、医療機関で診療を受けてください。皮膚に付いた場合も速やかに水で洗い流してください。
機器から液漏れした乾電池を取り出す際は、液や白い粉が皮膚に付いたり目に入ったりしないように十分に注意してください。乾電池を取り出す際はビニール手袋や保護用の眼鏡を使用することをお勧めします。液漏れした乾電池はビニール袋などに入れて、お住まいの市区町村の指示に従って捨ててください。
機器に付着した液や白い粉は、数枚重ねたティッシュペーパーやウェットティッシュなどでよく拭き取ってください。きれいに拭き取った後、水分を多く含んだ布などで何度も清掃することで、機器が再び使用できる場合があります」
また、同社エナジーデバイス事業部 マーケティング戦略部の黒田靖さんによると、充電式乾電池(充電池)でも、液漏れすることがあるといいます。
特に、満充電の充電池と充電されていない充電池を混ぜて使用した場合のほか、種類や銘柄(ブランド)が異なる電池を混ぜて使用した場合、充電されていない充電池や容量が少ない充電池が過放電されることで、液漏れが起きる場合があるということです。
そこで、充電池を使用する際は、同じ種類の電池や同じ銘柄の電池を使うとともに、電池が切れた場合は別々に充電するのではなく、同時に充電した上で再度使用することを推奨しています。
オトナンサー編集部