池袋に中華フードコートが次々誕生している......そんな情報を得て夕方に行ってみました。西池袋という、普段はあまり足を踏み入れないゾーン。ガールズバーやホストクラブなどが目に入ります。
「客引き行為は違反である! 直ちにやめなさい!」という警察のアナウンスが繰り返し流れていて、身を引き締めました。
まず立ち寄ったのは、都内でも品揃えが随一という中華系スーパー「友誼商店」。乾燥ナツメが120gも入ったパックが320円、サンザシのお菓子も223円で安いです。
カニ味のスナック、大豆ミートのジャーキーなど、珍しい品だらけです。多種多様の豆やキノコが売られていたり、体に良さそうな品も多いです。八角のようなスパイスの匂いが漂っていました。
ちなみにこの建物の2階には「聞声堂中文書店」という中華系書店や、おしゃれなフードコートもありました。書店には兵器雑誌などマニアックなものも。この雑居ビルだけでも旅行気分が味わえます。
安さとおいしさ、デジタルとアナログが渦巻く空間
そこから近い雑居ビルの3階にあるのが、今回のメインの目的地「沸騰小吃城」です。エレベーターから出ると、レジとドリンクカウンターがあり、フードコートの席が広がっています。
モールのフードコートと同様に空席に座ろうとしたら「ご案内します」と軽く注意されました。日本のフードコートとは勝手が違うようです。
中国というと日本よりもデジタル文明が発展しているイメージです。テーブルにはQRコードが書かれた紙があり、スキャンするとスマホにメニューが表示されて注文できるようになっていました。
スマホを持っていない人、ガラケーの人、バッテリー切れの人はオーダーできないという情報社会の過酷な現実が。ちょうどスマホを買い替えたので、無事にメニューを表示できました。
「福清・沙県グルメ」「点心・上海グルメ」「東北串焼き」「広東グルメ」「湖南・湖北・雲南グルメ」「四川・重慶グルメ」「麻辣滷味」「土鍋」など、ジャンルもかなり充実していて中国大陸の広大さを思い知らされます。
そして値段の安さも驚きです。現地の味と現地価格を体験できるお店です。
例えば牛肉串焼き1本160円、焼きまんじゅう一串180円、バンバンジー780円、エビチリ780円、ラー油入りワンタン600円、じゃがいも細切り和え580円など。鴨頭焼き300円、麻辣カモの血鍋780円といった上級者向けメニューもあります。
数あるメニューから、マーラーウズラの卵380円、過橋米線(麺料理)780円、卵入りニラパイ260円、などをオーダー。
店内にはフードコート風に各料理のシェフがスタンバイしているコーナーがあり、スマホでオーダーが届くと「チン!」というベルの音が鳴ります。デジタルとアナログがいい感じに融合しています。
フードコートですが自分で料理を取りに行く必要がなく、店員さんが運んできてくれます。ドン! と乱暴にテーブルに置かれるのがまた現地っぽいです。
店員さんはクールですが、料理はどれも安くておいしくて盛りがいいです。テーブル同士の距離が若干近めで、食事中大きな声で会話している人がいるのが気になりましたが、ガチ中華のスパイスで免疫力が高まることを祈ります。
ネコ型配膳ロボット少しせつない
店内にはネコ型配膳ロボット「BellaBot」まであって、さすが中国の人はハイテク意識が高いと思ったのですが、基本、手押しで使われていました。
しかも料理を片付ける用に使われて、お店の人がテーブルを回って汚れた皿を乗せた後、自動で洗い場へ......。
猫ロボットが汚れた食器を運ばされ「ご注文の料理を持ってきましたニャン」と、洗い場でしゃべっているのが切ないです。
でも、どんな機械も独自の使い方を編み出せるところに中華パワーを感じました。スマホでオーダーして最後の会計は現金払い。デジタル化と思わせてアナログ、という脱力感にもハマりそうです。
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。
