「ジャンボジェット」といえばボーイング747型機、というのは広く知れ渡っていますが、必ずしも747型機というわけではなくなっているようです。その「ジャンボジェット」と同姓同名の航空会社、地域性が背景の異色なポイントもありました。
スペルは異なるもうひとつの「ジャンボジェット」
アメリカの航空機メーカー、ボーイングが2020年7月に「ジャンボジェット」の愛称をもつ747型機の生産を、2022年で生終了すると発表しました。1970(昭和45)年に初期モデルが就航して以来、半世紀にわたる歴史に幕が下ります。
747型機の愛称である「ジャンボジェット」は、日本だけでなく世界でその二つ名として親しまれてきました。ところがこの呼び名、実は近年になって、747型機のみを指すだけではなくなっているようです。
「ジャンボジェット」航空の飛行機(画像:bandabarn[CC BY〈https://bit.ly/2DNShTI〉])。
2014(平成27)年、アフリカ ケニア航空の完全子会社として、ひとつのLCC(格安航空会社)が同国にデビューしました。ナイロビのジョモ・ケニヤッタ国際空港を拠点とする「ジャンボジェット(Jambojet)」航空です。
この「ジャンボ(Jambo)」はケニアの母語、スワヒリ語の挨拶に由来します。日本語でいえば「こんにちは航空」となるでしょう。一方747型機の「ジャンボジェット」は「Jumbo Jet」なので、スペルが異なります。
ただし、747型機の「ジャンボ」も元をたどれば、アメリカに輸入された巨大なゾウの名前が由来とされ、この名前が一説ではスワヒリ語の挨拶からつけられたともいわれていることから、起源をたどれば関係性があるとも言えなくはないでしょう。
LCCなのにプロペラ機投入 異色の機材編成のワケ
航空会社のほうの「ジャンボジェット」は、ボーイング747型機を保有しているわけではありません。
同社は当初、親会社のケニア航空から148席を配するボーイング737-300型機を2機、リースで導入しました。ちなみに2014年当時の利用料金は33ドル(約3430円)からとされています。737シリーズを使用するLCCは世界でも多く、ここは一般的な点ですが、その後ジャンボジェット航空はLCCとしては珍しい方向に舵を切っていきます。
世に知れ渡った「ジャンボジェット」のひとつ、NCAのボーイング747-8F型機(2020年、乗りものニュース編集部撮影)。
737-300型機の経年にともなって、ジャンボジェット航空が後進のモデルとして導入したのが、ボンバルディアのDHC8-Q400型機。いわゆるターボプロップ機です。海外メディアでは一時、737-300型機の後継機として737-700型機を導入予定とされていたものの、これが見送られました。2020年現在、ジャンボ航空は全機DHC8-Q400型機で運航しています。
同社によると、ターボプロップ機は離着陸に必要な滑走距離が短く済むことが大きな利点であるとのこと。おもに就航しているアフリカ地域の空港は、滑走路が短い空港が多いことなどから、DHC8-Q400型機が選定されたとしています。