「ギガ」と「クオン」が真の兄弟車へ 生産拠点を“一本化”
いすゞ自動車は2026年2月12日、大型トラックの生産機能を、現在の藤沢工場(神奈川県藤沢市)から、グループ傘下であるUDトラックスの上尾工場(埼玉県上尾市)へ移管すると発表しました。長年、いすゞのフラッグシップとして親しまれてきた大型トラック「ギガ」が、将来的にはUDの本拠地から送り出されることになります。
いすゞの大型トラック「ギガ」(画像:いすゞ)。
今回の決定の核心は、いすゞとUDトラックスが共同で進めている「大型トラックの共通プラットフォーム」の市場投入を見据えた生産体制の再構築にあります。
これまで、いすゞは「ギガ」、UDは「クオン」と、それぞれが独自の設計思想に基づいた大型トラックを開発・生産してきました。しかし、脱炭素化や自動運転技術への対応など、トラックメーカーに求められる開発要件は年々高度化・複雑化しています。
そこで両社は、次世代モデルにおいて車台(プラットフォーム)を共通化することを決定。開発リソースを統合し、生産もUDの上尾工場へ一本化することで、飛躍的な効率化を図る狙いです。これにより、将来の「ギガ」と「クオン」は、外観や乗り味のチューニングこそ異なれど、骨格を共有する事実上の「兄弟車」として、同じラインから世に出ることになります。
一方、「ギガ」の生産が離れることになるいすゞの藤沢工場は、決して縮小するわけではありません。同工場は今後、世界的に需要が高まる小型トラック「エルフ」や中型トラック「フォワード」、およびそれらのエンジンやコンポーネントの生産にリソースを集中させます。
特に小型トラック分野ではEV(電気自動車)の普及が急速に進んでおり、藤沢工場はこれら電動車のマザー工場としての役割をより強めていくことになります。
いすゞは2021年にUDトラックスを子会社化して以来、スウェーデンのボルボ・グループとも戦略的提携を結び、協業の可能性を模索してきました。
今回の生産拠点の再編は、「藤沢は中・小型とパワートレイン」、「上尾は大型」という、グループ内での明確な役割分担(すみ分け)を完成させるものであり、統合プロセスが「製造の現場」レベルで最終段階に入ったことを象徴しています。
物流の「2024年問題」やカーボンニュートラルへの対応など、トラック業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。グループの総力を結集し、神奈川と埼玉、2つの拠点がそれぞれの得意分野で競争力を高める体制が整ったといえるでしょう。
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