新大阪にできる北陸新幹線の新駅の位置案が明らかになりました。その駅の長さは、北陸新幹線の他駅より長く確保される見込みです。なぜでしょうか。
延長が約400m確保される見込みの新大阪駅
国土交通省鉄道局と鉄道・運輸機構は2024年11月25日、未着工となっている北陸新幹線の敦賀~新大阪間について、福井県小浜市(東小浜)、京田辺市(松井山手)、新大阪付近に設ける新駅の詳細位置案を明らかにしました。
新大阪駅の延長は約400mとなり、他の駅の約310~約330mより長く確保される見込みです。約400mあれば、新幹線16両編成(現在の北陸新幹線は12両編成)に対応できる長さですが、どのような理由があるのでしょうか。
北陸新幹線(画像:写真AC)。
北陸新幹線は、金沢~敦賀間が2024年春に開業しましたが、敦賀~新大阪間が最後の未開業区間として残っています。関西~北陸間の移動は、敦賀駅で在来線特急から新幹線に乗り継ぐ形が当面続くため、自治体などから早期整備を求める声があがっています。
今回、新大阪の北陸新幹線新駅は駅南側のロータリー付近に設置する方針が示されました。東海道新幹線の既存駅と並行する形で、2面4線の地下駅となる見込みです。深さは約20mで、今後、詳細を決定していくとしています。
では、なぜ新大阪だけ、他の駅より長い400mもの延長が確保されるのでしょうか。
この新大阪駅をめぐっては、国土交通省が2018年頃に、北陸新幹線の地下ホームと山陽新幹線をつなぐアプローチ線を整備する構想を明らかにしています。現在の新大阪駅のホームは容量が一杯で、増発の余力がないため、新たな地下ホームに山陽新幹線を乗り入れさせれば柔軟なダイヤ設定が可能になるというわけです。
駅の延長が長く確保されたのは、将来の山陽新幹線乗り入れに向けた布石なのでしょうか。
鉄道・運輸機構にワケを聞いた
新大阪駅の延長を長く確保する理由について、鉄道・運輸機構は「約400mという延長は、駅の構造物全体の長さで、ホーム長ではありません」としたうえで、「新大阪駅は終着駅のため、オーバーランなどの発生を考慮して、車止めからの距離を長く確保する必要もあり、他の駅よりも延長が長くなっています」と話します。
あくまでも北陸新幹線の事業で、山陽新幹線の乗り入れが関係しているわけではないとしています。現時点では、新大阪駅の地下ホームに山陽新幹線が乗り入れるかは、未知数といったところです。
早期の実現が期待されている北陸新幹線の新大阪駅ですが、難工事が予想されています。駅周辺は既に、東海道・山陽新幹線、JR在来線、大阪メトロ御堂筋線、幹線道路、ビル群などの構造物が密集。大型構造物と近接・交差する条件での工事となります。また、地層が複雑で地下水対策も難しいため、課題に対応した施工方法を検討する必要があるとも指摘されていました。ただ、着工に向けた調査は着実に進んでいるようです。