いわゆるポリコレ?
新しい価値観に配慮した結果?
イギリス空軍は2024年7月29日、第14飛行隊の愛称「クルセイダーズ」を外すと発表しました。
第14飛行隊が現在運用しているビーチクラフト「シャドウ R1」(画像:イギリス空軍)。
第14飛行隊はイングランド東部リンカンシャーのワディントン空軍基地を拠点としています。隊の創設は1915年で、イギリス空軍でも古くから存在する航空隊のひとつです。偵察を主任務としています。
BBCなどイギリスメディアの報道によると、イギリス空軍の広報担当官は「現代的で多様な行動として、英国空軍の理念に反する不快な用語を一切使用しないことに重点を置く必要があります。そのため、第14飛行隊は歴史あるニックネームの使用を禁止した」とのことです。なお、禁止するのは愛称だけで、1937年5月にジョージ6世によって承認された王家の紋章のシンボルを維持する予定とのことです。
クルセイダーや複数形のクルセイダーズは、「十字架を付けた集団」という意味のほかに「十字軍」も指す言葉でもあります。
イスラム教徒から聖地・エルサレムを奪還するために1095年から1303年にかけて、複数回にわたり行われた十字軍の遠征は日本でもよく知られていますが、欧州では、イスラム教徒への配慮や中世の宗教戦争をめぐる価値観の変化などで、「クルセーダー」「クルセイダーズ」といった文言の見直しを図る運動が起きています。
BBCによると2022年のカタールワールドカップの際に、反差別団体がイングランドサポーターに対し、スタジアム内で十字軍や騎士の衣装を着ないよう勧告したこともあるそうです。
ちなみに、この発表を受けイギリス議会でもかなりの保守派として知られるリフォームUK(旧ブレグジット党)のナイジェル・ファラージ下院議員は「イギリス空軍が伝統を捨て『woke(ウォーク:意識高い系)』に目覚めた」と公式Facebookで批判しています。